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「教育資金贈与の特例」は使える?贈与する際のポイント

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  今年の税制改正案は、やけにスムースに成立しそうな雰囲気です。先週末に衆議院を通過し、今週中には参議院を通過。取り立てて大きな波乱もなく、成立する運びです。かつて、衆参のねじれから税制案が政争の具に利用され、年度内に決まらずに、一時、ガソリン代が4月だけ安くなるなどというドタバタの年がありました。

  逆説的ですけれど、私たち国民にとっては、多少ドタバタがあったほうがいいですね。なぜなら、それがキッカケになって、自分自身がそのことを考えるから。自分の生活に大きな影響を及ぼすことでも、ドタバタがなければ私たちはよくは考えないんです。社会保険事務所の不祥事がなければ「年金」のことを考えなかったでしょう。

  北朝鮮がミサイルを発射したり、中国や韓国が尖閣やは自国の領土だと大声で主張しなければ、「安全保障」について考えないでしょう?決してドタバタを肯定してるわけではありませんが、ほどほどに考えるキッカケは必要だろうと思うのです。

  さて、税制改正について・・・今年は与野党ともに学習効果がみられるというか、2度目の安倍政権が優れたマネジメント能力を発揮しているというか、淡々と進行しているように見えるのは素晴らしいですね。

  「教育資金贈与の特例」・・・今回の目玉です。教育資金を一括して、子どもや孫に贈与した場合に非課税にする仕組みです。もともと、親が子どもの教育資金を負担するのは当たり前の話ですから、この仕組みはおもに「祖父母から孫への贈与」が対象になります。

  今年の4月から来年の12月までの間に、おもに祖父母が教育資金を一括して30歳未満の孫に贈与する場合、1人あたり1,500万円を上限に、贈与税を非課税にするものです。・・・期間は2年もありません。

  ここでいう限度額1,500万円は、学校の入学金などのこと。塾やお稽古ごとなど、学校以外に支払うお金だと、限度額が500万円になります。仕組みのイメージはこうです。祖父母が金融機関に教育資金としてお金を一括して専用口座に拠出します。孫を受益者として設定し、金融機関はお金を管理・運用します。

  孫は、学費が必要になるごとにお金を払い出して、学校などから領収書を受け取り、金融機関に提出します。金融機関は、税務署に、そのお金が教育費として使われたことを報告します。この仕組は、祖父母にとっては、相続税対策として活用することができます。まとまったお金を一括して、孫に渡すことで、自分が亡くなるときの財産を少なくすることができるからです。
 
  亡くなったときの財産が少なければ、遺族が支払う相続税は少なくてすみます。孫が4人いれば、非課税限度額は1,500万円×4人=6,000万円になりますからね。

  孫が30歳になったときに、このお金を使い切れなかった場合はどうなるでしょう?使い切れないお金には、贈与税がかかります。たとえば、30歳時に口座に1,000万円が残った場合、210万円の贈与税を負担することになります。・・・けっこう多額な税金です。

  つまり、この仕組みは、30歳までに使いきれるように贈与するのがポイントになります。・・・あるいは、贈与されたお金を30歳までに使い切ることがポイント?

  高校3年生の孫に1,500万円を贈与しようとして口座を作っても、普通に大学進学をするのであれば、あと4年間では使い切れないと思いますよ。用途が決まっているので。生まれたての孫のためにお祖父ちゃんが1,500万円を贈与してくれたので、公立学校中心だと考えていた子どもの教育方針を転換して、私立学校中心にする、、、というのも、ヘンな話。

  そもそも2年弱の期間しか使えないので、現在の孫の年齢から「大学を卒業するまでにどれだけ教育費を使うか?」を見積もって、過不足なく贈与するのが賢い方法でしょう。さらにいうと、贈与しすぎないようにすること。贈与をしたばっかりに、祖父母の今後の生活がキュウキュウとなって、子どもが援助しないといけないようになると、本末転倒

  もっというと、わざわざこの制度を使わなくても、毎年、1人110万円までは非課税で贈与できる仕組みがもともとあります。こちらのほうがよほど使い勝手がよいと思うのですがね。

《中村 宏》
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中村 宏

中村 宏

株式会社 ワーク・ワークス 代表取締役社長 山口県生まれ。大阪市立大学経済学部卒業後、 株式会社ベネッセコーポレーションに勤務。2003年にファイナンシャルプランナーとして独立し、 FPオフィス ワーク・ワークス を設立。「お客様の『お金の心配』を解消し、自信と希望にかえる!」をモットーに、個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を行っています。 個人相談件数は1,000件超。 無料のメールマガジン『生活マネー ミニ講座』(平日毎日)配信中。 登録はこちら → http://www.mag2.com/m/0000113875.html ・ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)) ・住宅ローンアドバイザー 寄稿者にメッセージを送る

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