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生命保険を活用した相続対策の実例3つ 相続税にまつわる井戸端会議(2)

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生命保険を活用した相続対策の実例3つ 相続税にまつわる井戸端会議(2)

 前回は、相続税増税についての問題点を確認しました。今回は、引き続きその対策について3つの実例をもとにご紹介します。

事例1:税理士事務所における実例

税理士「先日、相続税の相談を受けたけど、保険を使っての対策として何かいい方法はないかね?」

私「現状は何か着手されていらっしゃるのでしょうか?」

税理士「賃貸マンションの活用も銀行から案内されて検討したけどね…」

私「そうですか、確かにマンション経営も選択肢の一つですね。けれども登録免許税や不動産取得税の諸経費や固定資産税、そして何より入居率などを考えると煩わしい問題が多いですね。」

税理士「それに建物の維持管理費用や入居者の管理とかも考えて、結局その話はボツになったよ。」

私「なるほど、それでは先生もご存知かと思いますが、相続人が保険金を受け取る事により、相続人の相続税の負担を軽減する方法は如何ですか。」

税理士「法定相続人に500万円ずつの非課税枠を活用する方法だね。」

私「そうです。仮に5000万円の保険金を受け取っても、法定相続人が妻と子供2人であれば、500万円×3人=1500万円が非課税になりますから、5000万円-1500万円=3500万円になりますね。」

税理士「保険金でキャッシュが増える事は相続財産も増える事になるが、相続税の財源の確保が出来るから結果手取りが増える。それに税金支払いの為の現金準備が出来るのがいいね。」

私「はい、相続財産が不動産や株が多くて現金比率が少ない場合は助かりますね。」

税理士「では、どんな保険がいいの?」

私「やはり、お勧めは負担の軽い定期保険は如何でしょうか。設定した期間内で、高い保険金が保障されますよ。」

 …この事例で紹介されている生命保険金の非課税枠は、意外にご存じない方が多いので是非一度検討してみて下さい。

事例2:某FPイベント会場での相談者(S様)からの質問

S様「主人は62歳です。近々に退職しますが、相続財産として現金と持家で約7000万円がありますが相続税が不安です。子どもは三人で既に独立しています。子供達に生前贈与していく方法がいいと聞いたのですが、どのようにすればいいのでしょうか。」

私「まず改正後の基礎控除額は5400万円(3000万円+600万円×4人)ですね。つまり相続財産を1600万円(7000万円-5400万円)圧縮すれば相続税はゼロになります。単純に贈与の非課税枠の110万円を3人のお子様に毎年贈与すれば、5年目に1650万円を贈与した時点で基礎控除内に収まります。」

S様「そうですか、5年で何とかなりますか。」

私「ただ注意すべきことは、持ち戻しと言って相続3年以内の贈与財産は、相続財産に加算されます。ですから、計算上では8年目以降に相続が発生すれば基礎控除内に収まりますね。」

S様「でも亡くなる時なんて、いつなのか解りませんよね。」

私「勿論です。ただ平均余命からすれば男性はおよそ80歳ですから、ご主人の年齢からすれば検討に値すると思いますよ。さらに、お子様は贈与された現金でご主人を被保険者として、終身保険等に加入して解約返戻金を受け取る事によって現金を増やす方法もあります。」

S様「どういう事ですか?」

私「つまり、解約返戻率が100%を超えたところで保険を解約するのです。増えた分については所得税を支払います。贈与を受けた現金をそのまま銀行に預けておくよりも増やすことが出来ます。もし、途中でご主人が亡くられた場合でも期間にもよりますが、支払った保険料以上の保険金を受け取ることになります。この場合は一時所得となり、相続税ではなく所得税が課税されます。」

 …この事例では生前贈与を活用していますが、無用なトラブルを避ける為に注意すべきポイントをご紹介しておきます。

(1) 毎年、贈与契約書を作っておく。
(2) 贈与されたお金は貰った子供が管理する。
(3) 保険に加入する方法をとったら、保険料控除は子供が申請する。

これらのポイントは贈与がなされた事実、現金が実際に親から子供に贈与され、子供が自らの意志で管理している事を明らかにする為です。


事例3:私の法人のお得意様である真似氏(専務)へのご提案

真似氏「もう67歳になったよ。あと3年で退職予定だよ。」

私「そうですか、老後は悠悠自適で羨ましいですね。ところで、何か相続税対策はされていらっしゃいますか。」

真似氏「そんな対策を考えるほどの財産は持っていないよ。」

私「しかし、基礎控除も縮小されていますし、不動産もお持ちでしたよね。私の父の場合、今まで9000万の基礎控除でしたが、来年1月以降は6割の5400万円になってしまいます。」

真似氏「だからと言って、すぐに何か手を打つのも難しいでしょう。」

私「例えば、生命保険にはご加入されていらっしゃいますか?」

真似氏「子供も成人したから一部解約したよ。残っているのは葬式代程度の生命保険とがん保険くらいかな。」

私「そうですか、専務のお子様は3人でしたね。奥様を入れて法定相続人を4人とすると、1人で500万円ですから2000万円までは生命保険金が非課税になりますよ。」

真似氏「つまり、現金で2000万円持っている場合と、保険金で2000万円貰った場合とでは、同じ2000万円でも相続税に差が出るって事?」

私「そういう事になります。専務の場合ですと、例えば簡単な告知で加入が出来る一時払い終身保険がいいと思います。銀行に預けているだけで近々ご利用の予定がないようでしたら、一時金で保険料を支払います。4,5年で解約返戻率も100%以上になり、保障が一生涯つく保険です。」

真似氏「なるほど、保険を解約して増えた解約返戻金を家のリフォームなどに使ってもいいし、死亡して保険金で受け取れば非課税の特典も受けられるってことだね。」

 …この事例では、生命保険の非課税枠と資産運用効果を加味した事例です。

 キャッシュが豊かで当面使う予定もない場合には、掛捨てよりは保険料が高いですが、老後のシニアプランの楽しみも相続税対策と併せて盛り込む事が出来ます。

まとめ 保険の現場から

 以上、それぞれのケースで相続税対策に保険を活用しています。保険営業の現場でもお客様から相続対策についての問い合わせが増えていますが、生命保険金の非課税金額については初耳とおっしゃる方が多いのには驚いています

 恐らく生命保険加入のきっかけは、残された家族の生活保障を第一に考えますから、相続についての観点からは馴染みが薄いかもしれません。いい機会ですから、お手元の保険証券を保障と相続の両面から再度確認してみては如何でしょうか。(執筆者:松山 靖明)

《松山 靖明》
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松山 靖明

松山 靖明

不動産管理の営業を経て、現在は生命保険に携わる。一貫して法人に関与し、経営者に寄り添える営業を目指す。他に地域の市民講師として年金・相続等の講演。NPO法人 日本FP協会(大阪)の「くらしとお金のFP相談室」2020年 相談員。スカラシップアドバイザーとして高校にて講演活動など積極的に展開。 <保有資格>:FP技能士1級、CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)、TLC(トータル・ライフ・コンサルタント 生保協会認定FP)、宅地建物取引士、DCプランナー2級、第2種情報処理技術者、小学校教諭、養護学校教諭、ビジネス法務エキスパート、ファシリティマネージャー、第一種衛生管理者、社会保険労務士、年金アドバイザー2級、生命保険支払専門士 寄稿者にメッセージを送る

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