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「住宅ローン借り換え目安の3ヶ条」は当てにならない

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  先日テレビで、住宅ローンの借り換えについて、目安となる3ヶ条が紹介されていました。目安の内容は現在のローンと新しいローンの金利差が1%以上、借入残高が1,000万円以上、残りの借入期間が10年以上で借り換えの効果が得られると言うものです。

  でもこの3ヶ条、まったく当てになりません。

  紹介された瞬間、「いまだにこんなことをテレビで取り上げるなんて!」と正直驚きました。

  仮に借入残高1,000万円、借入期間10年金利2.2%のローンを元利均等返済で組むと、月々の返済額は92,912円で、10年間の総返済額は11,149,428円になります。借り換えで、金利を1%下げて1.2%で計算すると、月々88,475円で、総返済額は10,616,990円になり、532,438円総返済額は下がります。

  ところが、当たり前の事ですが、金利を0.1%下げた2.1%でも月々の返済額は92,462円で総返済額は11,095,438円となり、53,990円総返済額は下がります。

  つまり、借り換えのための経費さえ掛からなければ、金利が0.1%でも下がれば、借り換え効果があります。ですから借り換えのポイントは借り換えの効果が借り換えの費用を賄えるかどうかなのです。

  借り換え費用の大きな支出項目として、保証料事務手数料抵当権設定のための司法書士報酬があります。しかしこの費用、保証料・事務手数料は金融機関の住宅ローン獲得競争のため、司法書士報酬は平成15年4月の司法書士報酬の完全自由化のため、借り換え費用自体が下がっています

  ですから借り換え目安の3条件、出版年数が新しい本では、金利差1%・借入残高500万円・残存年数5年となっているものもあります。最初に借り換えの目安3条件(1%・1000万円・10年)が謳われたのが、いかに古く、また、テレビがいかに意味も分からず使い続けているかがわかります。

  また、先ほど例で挙げた計算、借入残高を1億円にすると、金利が2.2%から2.1%に下がると、総返済額は539.880円下がりますので、金利差0.1%でも十分に借り換え費用を賄えます。必ず3条件全てを満たす必要はなく、どれかが突出していれば、3つの内、どれかが条件を満たさなくとも、借り換え効果は出るという事です。

  結局、借り換え効果があるかないかは、シュミレーションしてみないと判りません。でもそれではインパクトが無く、視聴者に強く訴えかけられません。ですからマスコミは、本来、多種多様な事を一般論化させ、キーワード化させたモノを、時代遅れでも有り難がるのだと思います。

  意外なところで、意外な業界の法の改正が影響を与えますので、標語化された情報は時代背景と、年代にご注意を。とくに税法が絡むものは、何年に書かれた情報かを必ず確認してください。

《田島 稔之》
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田島 稔之

田島FP事務所(T.F.P.O) 代表 東京情報大学情報学科卒。大学卒業後、小売業に就職。その時にFPと出会い、FPとして独立することを決意。資格取得後、実務経験を得るために転職。不動産業、生命保険セールスを経て2006年田島FP事務所(T,F,P,O)を開業する。「FPにとっての金融商品は、医者にとっての処方箋。診察あっての処方箋」をモットーに、あくまで診察がメインのコンサルティングを行っている。長野県長野市を拠点に、住宅ローン相談や401Kセミナーを中心に活躍している。 <保有資格>:CFP®  1級ファイナンシャル・プランニング技能士  住宅ローンアドバイザー 寄稿者にメッセージを送る

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