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「投資」より、借金の返済を急げ! 日銀「マイナス金利解除」で金利が上がる可能性大

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「投資」より、借金の返済を急げ! 日銀「マイナス金利解除」で金利が上がる可能性大

前回、みんなが浮かれるほど実体経済は良くないと書きましたが、実際に、数字として出始めています。

実質賃金が23か月連続で減少し、2月の家計調査の消費支出は前年同月比マイナス0.5%で12か月連続減と凍りついたままです。

日銀「マイナス金利解除」で金利が上がる可能性大

物価高が再燃の兆し

こうした中で、物価高が再燃しそうです。

中東の地政学的リスクが高まったこととOPECプラスだけでなくメキシコも原油輸出を大幅に削減したことで供給が先細りし、1バレル100ドルを超え、さらなる値上がりが予想されています。

日本は1ドル154円を超える「円安」が進んでダブルパンチ。

しかも、4月には再生可能エネルギー普及のために電気代に上乗せされる料金が2.5倍になります。

さらに、6月には電気・ガス代の補助金がなくなることで、これらを足し合わせると一般的な家庭で基本的な電気・ガスの料金が年間約3万円の負担増になります。

加えて、この「円安」の影響は、7月頃には「物価高」と言いうかたちで出てきます。

4月に、約3,000品目の食品の値上げがありましたが、今の「円安」の影響は輸入品がに並ぶ2か月後くらい出てくるので、その時に改めて物価高を実感すると思います。

こうした中で心配なのは、日銀「マイナス金利解除」で金利が上がる可能性が出てきたということです。

金利上昇で、ローン残高が増えていく?!

金利の上昇は、借りているお金に悪影響を与えます。

特に、長期で借りている住宅ローン、中でも「変動金利」の住宅ローンは要注意です。

国土交通省の調べでは、22年度に住宅ローンを借りた人の約8割が、「変動金利」だったとのこと。

「変動金利」の住宅ローンは、借りている間に金利が上昇すると、知らない間にローン残高が増えていくというとんでもないことが起てきます。

なぜなら、「変動金利」の住宅ローンの金利は半年ごとに見直されますが、返済額そのものもは5年間は変わらないからです。

具体的に見てみましょう。

今、変動金利だと0.3%くらいで借りられるので、2,000万円を35年ローンで借りても、月々の返済額は5万円程度です。

ただ、金利が1%上がって1.3%になると返済額は約6万円。

2.3%になると約7万円、3.3%になると約8万円と返済額も増えていきます。

ところが、返済額は5年間は月々5万円のまま

仮に、0.3%で借りて半年後に金利が1%上がって約6万円の返済になっても、返す金額は5万円で変わらない。

では、差額の約1万円はどうなるかといえば、「未払い利息」ということで元金に繰り入れられ、これが続くと5年後には元金が約2,050万円に増えているということが起きるのです。

しかも6年目の返済額は、125%までしか増やせないことになっています。

ですから、もっと金利が上がっていたら、ローンをしっかりと返しているはずなのに、どんどん残高が増えていくという恐ろしいことが起きます。

投資より先に返済ですね・・・

「繰上げ返済」のほうが、投資と考えると効果があるかも

対策としては2つ。

1つは固定金利ローンへの借り換え

もう1つは、繰上げ返済で元金を減らしておくことです。

ただ、金利が上がってから慌てて「固定金利」に借り換えても、その時にはすでな固定金利も上がっていますから、月々の返済額がとんでもなく増えている可能性があります。

だとすれば、今のうちに「繰上げ返済」で、ローン残高を減らしておくのが得策かもしれません。

たとえば、変動金利35年ローンを金利0.3%で2,000万円借りて1年の方が、100万円繰上げ返済すると、支払う利息が約10万4,000円減少します(期間短縮)。

借入期間がこれで1年10か月短縮されるので、ローン残高が増えても返済期間を延ばせば対応できます。

ちなみに、固定金利の場合には、「繰上げ返済」はより有効です。

同じ条件で固定金利1.3%で借りている人の場合、100万円を繰上げ返済すると、総返済額は約53万3,000円減ります。

100万円投資してノーリスクで150万円になる投資商品などはないですから、下手に投資するよりよっぽど有効でしょう。

老後を安定させる資産形成へ

金利の上昇は株価上昇の頭を抑えます。

だとしたら、住宅ローンがある人は、「新NISAで資産形成」などという言葉に踊らされず、今あるローンの「繰上げ返済」をした方が、老後を安定させる資産形成につながるのではないでしょうか。

《荻原 博子》
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荻原 博子

執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子 荻原 博子

経済ジャーナリスト 1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「私たちはなぜ貧しくなってしまったのか」(文藝春秋)「一生お金に困らないお金ベスト100」(ダイヤモンド社)など著書多数。 寄稿者にメッセージを送る

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