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日経平均最高値更新が手放しに喜べない2つの理由

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日経平均最高値更新が手放しに喜べない2つの理由

日経平均が1989年のバブル期の最高3万8,915円(12月29日)を抜きました

といっても、途中で日経平均銘柄の入れ替えなどもしているので、連続性はないのですが。

エヌビディアの業績好調で、半導体やAIを中心に買われていて、特定の業界が株価を大きく押し上げている感があります。

ただ、今の株式相場は良い材料には敏感に反応するので、沸きに湧いているようです。それは、うれしいことですが、ただ、冷静になると先行きの不透明さは拭えません

思い返すと、今の相場の盛り上がりは、昨年4月頃に“投資の神様”ウォーレン・バフェットが来日し、日本株への追加投資を検討すると言った頃から始まっているように思います。

日本企業は業績が良いのに安値だと言われて買われ、東京証券所が株価純資産倍率(PBR)が低い企業が多いということで自社株買いを進め、中国経済が不況ということで今まで中国市場に流れていた投資資金や、中国と関係が深いアジア各国に流れていたお金が日本に流入してきました。

さらに、アメリカの景気が堅調で金融引き締めムードが出てきたことで日米の金利差が広がって円安に。日本の投資家も、投資信託や外貨投資などで「ドル」を買って「円」を売る取引を活発に行ったので、「円安」に拍車がかかりました。話題のNISAも、約半分は海外投資です。

ですから、外国人投資家もここぞとばかりに買いに入り、2月16日現在で外国人投資家が6週連続の買い越し、個人投資家も3週連続買い越しとなっています。

日経平均が最高値を更新したが…はたして手放しで喜んでいいのか?

1. 実体経済は、それほど良くない

好材料が重なって、買いが買いを呼んでいる株式相場ですが、そこに死角はないのでしょうか。

実はよく見ると、今の株価の好材料に紛れて、悪材料が陰に隠れてしまっています

不況の中国から流れてくる投資資金は株式市場には歓迎かもしれませんが、そもそも中国はアメリカと1、2位を争う日本の貿易相手国そこが不況に陥れば、日本もダメージを受けないわけがない

企業業績も、良いとはいっても上場している企業はほんのひと握り。日本の株式会社の99%は非上場企業で下請けが多く、昨年の倒産件数は8,000件を超え、バブル崩壊以来の高水準。しかも、4月以降は「ゼロゼロ融資」が返済できずに、さらに多くの企業が倒産するのではないかと言われています。

日本の株を魅力的に見せている「円安」も、庶民にとっては輸入物価を押し上げる悪材料。日本では7割の人が中小零細企業にお勤めですが、給料が上がらないところが多く、そんな中で物価が上がっているのですから、実質賃金が20か月連続で下がっているというのもわかります。

しかも、その先にあるのは、岸田「増税メガネ」のステルス増税です。

株価好調でも、実質経済は良くないうえにステルス増税が待ち構えている

2. 庶民生活には、増税が目白押し!

昨年「インボイス制度」がスタート。収入が1,000万円以下の人は増税ですが、1,000万円以上の人も、請求書の記載項目が増えたり、取引の控えの保存義務が生じたり、消費税の計算が複雑になるので、人を雇ったり経理を外注してコスト高になり、増税と変わらない状況になっている人もいます。

2024年度からは、「森林環境税」という増税が待っています。国内に住所のある個人に対して課税される国税で、個人住民税の均等割と合わせて1人年間1,000円が森林整備の目的で徴収されることが決まっています。

また、今まで相続する場合、

相続者に対する110万円の無税控除は3年間は「持戻し」といって相続税に算入されましたが、

これが7年間に延長になったことで、今年から実質的な、相続税増税となっています。

さらに政府は、「子ども・子育て支援金」を2026年4月に創設するため、

  • 初年度はひとりあたり月平均300円弱、

  • 28年度には500円弱を

医療保険料に上乗せして徴収する方針。

加えて、すでに今後5年間で43兆円の防衛費を税金でまかなうために増税がありそうですが、ここにきて43兆円では足りないのでもっと増やすと言い始めました。

給付については、児童手当の支給対象が高校生まで拡充されることで16歳から18歳の子供の扶養控除を縮小する案が出ていますが、家庭によっては、控除の縮小が手当額を超える増税につながるかところも出てきます。

年金についても、「マクロ経済スライド」で実施目減りが鮮明になっていて、厚生年金のモデルケースでは、年1万円強の実質年金の目減りになり、こうした年金額の抑制は27年度まで続く見通し。

そのほか、

  • 医療費の診療報酬改定で初診料などを引き上げたり、

  • 10月からは51人以上の企業で働く年収106万円を超えるパートから社会保険料を徴収する

など、家計への負担増は目白押し。

物価高に増税ラッシュに、家計への負担増は目白押し

“投資の神様”の言葉を肝に銘じよう

株高に話を戻すと、冒頭のバフェットは

「自分が理解していない投資を始めたり、ほかの人が儲けたからといってやり始めたりしても、上手くいくことはない。最低なのは、株が上がっているという理由で買うことだ」

と言っています。

家計のお金が乏しくなっているので投資でひと儲けと思っている人は、この“投資の神様”の言葉を肝に銘じましょう。

《荻原 博子》
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荻原 博子

執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子 荻原 博子

経済ジャーナリスト 1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「私たちはなぜ貧しくなってしまったのか」(文藝春秋)「一生お金に困らないお金ベスト100」(ダイヤモンド社)など著書多数。 寄稿者にメッセージを送る

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