※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

遺言書を書く時に「相続させる」と「遺贈する」を使い分けていますか?

コラム コラム
遺言書を書く時に「相続させる」と「遺贈する」を使い分けていますか?

 遺言書の書き方で、財産を「与える」とか「譲る」と書くことがあります。また、遺言で財産を譲るのだからと、誰に対しても「遺贈する」と書いてあることもあります。一般的には遺言書を書く場合の財産の承継方法としては、「相続させる」又は「遺贈する」という用語を使います。

相続及び遺贈の定義

 相続とは、なんらの手続きをすることなく当然に、被相続人の財産が相続人に引継がれることをいいます。これに対し、遺贈は遺言によって、遺言者の財産を無償譲渡することをいいます。

 一般的には遺言で相続人以外の者に遺産を与える場合に「遺贈する」と表現をします。遺贈は相続人及び相続人以外のいずれに対してもできますが、「相続させる」遺言は相続人に対してしかできません。

相続人以外の者に対しては……「遺贈する」のみ
相続人に対しては……「相続させる」「遺贈する」どちらも可

遺贈の効力

 受遺者は、遺言の効力発生の時に生存していなければなりませんので、遺贈者の死亡する前に受遺者が死亡している場合は、遺贈の効力は生じません。

※遺贈する者を遺贈者といい、遺贈を受ける者を受遺者といいます。

 それでは、相続人に対する遺言では、「相続させる」又は「遺贈する」のどちらでもよいのでしょうか?

「相続させる」と「遺贈する」の損得

 財産が不動産である場合には、相続と遺贈に次のような相違があります。

・登記手続きについて

 遺贈による所有権移転登記の申請は受遺者単独ではできません。受遺者と相続人全員又は遺言執行者との共同申請をする必要がありますが「相続させる」の場合は単独で申請できます。

・登記申請時の登録免許税が違う

 登録免許税は、遺贈の場合は評価額の1000分の20、相続の場合は評価額の1000分の4です。ただし、遺贈のうち法定相続人に対するものについては、相続と同じ1000分の4とされます。

・ 借地権又は借家権の取得の場合

 遺贈よる権利移転については原則として貸主の承諾が必要となります。相続の場合は不要です。

・農地の取得の場合

 遺贈による権利移転については農業委員会または都道府県知事の許可が必要となります。相続の場合は不要です。


相続人に対しての「遺贈する」は不利

 相続人に対する遺言では、「相続させる」又は「遺贈する」のどちらも有効ですが、遺言書の文言たった二文字の違いで、相続人に思わぬ負担が生じてしまいますので、十分に注意を払う必要があります。(執筆者:宮村 昭)

《宮村 昭》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

宮村 昭

宮村 昭

1950年生まれ。ファイナンシャルプランナー(CFP) 大学卒業後、金融機関に入行。アパレルメーカーの財務統括等を経て、ファイナンシャルプランナー業務に従事。セミナー講師・個別相談・執筆等で活動中。 <保有資格>:1級FP技能士、CFP、住宅ローンアドバイザー、アマチュア無線技士 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集