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10月からのインボイス制度で、さらなる増税の波か?

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10月からのインボイス制度で、さらなる増税の波か?

10月から、「インボイス制度」がスタートします。

収入の少ない事業者ほど財布を直撃される制度なので、さまざまなところで反対運動が起きていて、私も集会への出席や反対署名その他にできる限り協力していますが、「聞く耳」を持たない岸田政権には、こうした声は届きそうにありません。


2割特例を設置

政府も、反対が多いことは考慮し、課税売上が1,000万円以下の免税業者がインボイスを使う場合、売上にかかる消費税額から売上税学の8割を差し引いて納付額を計算できる2割特例を設置しています。

どんな特例かといえば、たとえば売上800万円のサービス業の場合、客から800万円に対して10%の80万円の消費税を受け取ります。

ただし、200万円の仕入れで、仕入れ先がすでに20万円の消費税を納税していると、自分が支払う消費税は80万円-20万円で60万円となります。

今まで、売上が1,000万円以下の業者は、免税があるのでこの60万円は国に収めなくても良かったのです。

それをインボイス登録業者になると、納めなくてはなりません

ただ、いきなり60万円も収めるのは苦しい。

そこで、当初3年間は、消費税の2割の額を収めればていいという特例をつくったのです。

80万円×2割=16万円を収める。

ざっくりこんな感じですが、簡易課税の業者はまたちょっと計算が違うので、詳しいことは税務署で聞いてください。

「2割特例」は、3年で終わる。

確かに、登録業者になっても「2割特例」があれば、収める税金は少なくなります。

ただし、対象となるのは令和5年10月1日から令和8年9月30日まで

この期間を過ぎると、がっつりと消費税を取られます。

消費税は、貧しい人ほど負担感が大きくなる逆進性の強い税金。

コロナ禍で、国が史上空前の税収を挙げたのは、消費税で儲かっていない人からも容赦なく消費税を徴収した結果です。

ちなみに、新型コロナの最中、世界ではドイツやイギリスなど24か国が消費税(付加価値税)を減税しました

アメリカ合衆国は、「税金は儲かった人が払うもので、儲かっていない人から取るのはおかしい」という精神のもと消費税は導入していません(各州ごとには、売上税のようなものがあるところも)。

ただ、3回の現金給付で1人約35万円を配りました。

日本はどうだったかといえば、1人10万円とマスク2枚でお茶を濁しました。

ヨーロッパの国々のように、国民が大変な時には減税しようという発想はゼロのようです。

ガソリン価格高騰の中で、価格の4割が税金で、しかもガソリン税に消費税がかかっているというとんでもない二重課税であるにも関わらず、消費税を下げようとせず、大手元売りに補助金を出すというのですから、「聞く耳」がないだけでなく、いったい顔をどこに向けているんだと思います。

気がついたら、消費税率15%?!

「インボイス制度」の先に待ち構えているのは、さらなる消費税率のアップでしょう。

なぜなら、「インボイス制度」の導入で、政府はヨーロッパ並みの複数税率が使えるようになりますから、高いヨーロッパ並みの税率を目指せます。

たぶん、数年後に「皆さんの生活は今のままの消費税で、超高級なベンツだけが15%」などという法律を導入し、気がついたらベンツだけでなく軽自動車もぜんぶ税率15%になっているというようなことになるのではないかと思います。

なぜなら、税率の品目は、国会を通さなくても国が変えられるからです。

多くのご家庭は、ガソリンや電気代、ガス代の値上げに苦しんでいます。

そのどれもに、消費税がかかっています。

しかも、再生可能エネルギーを電力会社に売っている個人や小規模事業主の多くは消費税を払わない選択をするでしょうから、「インボイス」で徴収されるはずの税金は、私たちの電気料金にさらに上乗せされます

資源エネルギー庁の試算ではその額は58億円とそれほど多くありませんが、「インボイス」の導入で、ご家庭の電気代が上がるというのは釈然としません。

「インボイス制度」の導入で、この国の増税に拍車がかかり、国はますます潤うでしょうが、庶民生活は枯渇していく。

そんな恐ろしい未来を予測するのは、私だけでしょうか。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)

《荻原 博子》
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荻原 博子

執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子 荻原 博子

経済ジャーナリスト 1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「私たちはなぜ貧しくなってしまったのか」(文藝春秋)「一生お金に困らないお金ベスト100」(ダイヤモンド社)など著書多数。 寄稿者にメッセージを送る

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