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住宅の賃貸にも影響がある「インボイス制度」は賃料下落への転換点となるか?

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住宅の賃貸にも影響がある「インボイス制度」は賃料下落への転換点となるか?

2023年10月より始まったインボイス制度は、事業者が適格請求書を受け取ることで消費税の仕入税額控除ができるようになるという制度です。

従って、「事業者」や「仕入」という言葉から、一般の人々(消費者)にはあまり影響がないような制度と考えられています。

ましてや不動産に関しては居住用の家賃は消費税が非課税のため、全く影響がないと言い切っている専門家もいらっしゃいます。

本当にインボイス制度は、不動産には関係がないのでしょうか?

インボイス制度は不動産市場にも 影響があるか?

課税事業者と免税事業者の違いを浮き彫りにしたインボイス制度

現在でも事業者には課税事業者と免税事業者があり、その線引きが売り上げ1,000万円で分けられていることは常識です。

ただし、その免税事業者の割合は、国の推計によれば、日本国内の約823万社のうちの約513万社と免税事業者の方が多く、全体の6割を占めていることはあまり知られていません。

このインボイス制度の本当の怖い点は、いろいろ話題にのぼる事で、一般の消費者が以下のことに気付く点です。

「今までに事業者に払っていた消費税はすべて国に納められたと思っていたのに、実は6割の会社や店が国に納めず、“もらっていた”こと」

この“もらっていた”ことは法律上なんら問題がありません。

しかしその事実を知ることで免税事業者を「益税」とか「横取り」とか非難をするまでしなくても、今まで請求されたから何となく払っていたものが、今後免税事業者から請求されることに何とも言えない気持ちが芽生えると思います。

非課税の住宅の賃貸であっても影響はある

その結果、不動産において課税取引あたる店舗や事務所の場合は、大家さんが課税事業者かどうかを調べて、非課税事業者ならなぜ消費税を取るのかを説明させ、家賃の下落交渉をする可能性が高いです。

その結果、非課税の住宅の賃貸であっても、その影響は逃れられないと考えます。

なぜなら、共益費や管理費以外で、家賃とは別契約である駐車場やトランクルーム使用料などには消費税がかかることも多いので、やはり大家が課税事業者かどうかチェックされるからです。

ましてや社宅として法人が契約している場合には、その傾向が強くなると思います。

一方、家賃ではないですが、仲介手数料には消費税がかかっているので、今度は仲介会社が課税事業者かどうか気になる人も多くなるのではないでしょうか。

不動産にも影響のありそうなインボイス制度

賃料を押し下げる方向へ圧力が強まる懸念

このようにまだ始まったばかりの制度なので急に大きな変化はないものの、制度が浸透していくにつれ、不動産関係にもじわじわと影響が広がっていくように思います。

その影響は賃料を押し上げるものよりも押し下げる働きが強いものと感じます。

よって、今は好調な不動産市場の腰を折る転換点にならないかが懸念されます。(執筆者:田井 能久)

《田井 能久》
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田井 能久

執筆者:不動産鑑定士 田井 能久 田井 能久

株式会社 タイ・バリュエーション・サービシーズ 代表取締役/専任不動産鑑定士 大学卒業後、国内最大手の不動産鑑定事務所に勤務し、1995年に不動産鑑定士資格を取得。その後、米国系不動産投資ファンドに転職し、資産評価業務を担当。全国各地でさまざまな物件の現地調査と価格査定を行った。2006年に独立し、株式会社タイ・バリュエーション・サービシーズ(http://www.valuation.co.jp/)を設立。1,000件以上の評価実績を有し特に相続や訴訟に関連する案件を得意とする。海外事業では滞在型余暇を楽しむ人に助言する「ロングステイアドバイザー」業務を行い、2015年にマレーシアの企業と業務提携開始。MM2H取得アドバイス業務や海外不動産投資アドバイスを行い(https://malaysia-longstay.com/)自身も2018年にMM2Hを取得。元愛知大学非常勤講師で現在セミナー活動もしながら各種WEBメディアに記事提供を行う。 <保有資格>:不動産鑑定士 寄稿者にメッセージを送る

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