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複数の会社から報酬等を受ける場合の「社会保険」の取り扱い

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複数の会社から報酬等を受ける場合の「社会保険」の取り扱い

同時に複数の会社から給与などの報酬を受ける場合、いったいどういう取り扱いを行えばいいかわからないこともあると思います。

今回は複数の会社から給与などの報酬等を受ける場合の社会保険の取り扱いについて解説をしたいと思います。


被保険者資格の考え方

社会保険(健康保険、厚生年金)の被保険者になると、社会保険料を納めなければなりません。

しかし会社で働いていても、社会保険の被保険者にならなければ「健康保険料」や「厚生年金保険料」は納めることはできません。(「国民健康保険料」や「国民年金」は納めなければいけません。)

そこで、社会保険の被保険者の加入条件(※1)は、

・ 1日又は1週の所定労働時間が社員のおおむね4分の3以上

・ 1か月の所定労働日数が社員のおおむね4分の3以上

であれば、原則として被保険者となります。

一般的には複数の会社でこの要件を満たすことは難しいのではないでしょうか。しかし法人の役員などは複数の事業所にまたがって報酬をもらうことが多々あると思います。

法人の役員は、一般社員と違い労働日数や労働時間という概念がありません。

「昭和 24年7月 28 日保発第 74号通知」によれば、

「役員であっても、法人から労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者とする」

とされております。

日本年金機構が労務の対償として報酬を受けている法人の役員か、役員でないか判断の材料が以下のように示されています。

1. 当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか

2. 当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか

3. 当該法人の役員会等に出席しているかどうか

4. 当該法人の役員への連絡調整又は職員に対する指揮監督に従事しているかどうか

5. 当該法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか

6. 当該法人等より支払いを受ける報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであって実費弁償程度の水準にとどまっていないかどうか

あくまでも上記6項目は判断例であり、実質実態で判断をしていくこととされているので、最終的な判断は日本年金機構に確認する必要があります。

複数の法人の役員は、各法人から労務の対償として報酬を受けている法人の役員となれば、各法人において資格を取得することとなります。

このように、複数の会社で被保険者となることがある場合があります

※1 社会保険の被保険者の加入条件は、2015年12月24日の記事「社会保険の加入条件「130万円」の壁とは」をご参照下さい。


どのような手続きをすることになるか

被保険者が同時に複数の会社に使用され被保険者となる場合、被保険者が届出を行います。その時に、管轄する年金事務所等が複数になる場合は選択することになります。(複数の会社よりまずは1つ選択することになります。)

その後、被保険者が選択した年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を提出することになります。

複数の会社から報酬等を受ける場合の保険料の計算方法は?

複数の会社から報酬を受ける場合、標準報酬月額はどのように決めるのでしょうか。

「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を提出すると各会社での給与などの報酬をすべて合算した金額により一つの標準報酬月額が決められます。保険料は会社ごとの報酬月額で按分して請求されることになります。

特に法人の役員の方が複数の会社から報酬等を受けており、それぞれで被保険者資格を取得すると認められる場合は、「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を提出し、保険料の納付は報酬を合算し算出しなければいけせんので、注意が必要です。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)

《高橋 豊》
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高橋 豊

ゆたか社会保険労務士事務所 代表 大学卒業後、中堅企業にて労働関係法規や社会保険関係法規等に絡む業務、社内研修などの企画立案・実施、新卒採用などの人材採用・人事を経験。社会保険労務士事務所開業後は、企業に対して「人材がやめない企業づくり」をモットーに各種制度提案、就業規則等の作成、退職金制度設計、助成金申請などを行い、個人に対しては、遺族年金・障害年金等の複雑な年金請求のサポートを行っている。また、大学や短大でキャリア教育講座の講師を務めており、学生の就職活動支援なども行っている。 <保有資格> 社会保険労務士、宅地建物取引士、管理業務主任者 ・愛知県雇用労働相談センター 相談員 寄稿者にメッセージを送る

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