ふるさと納税で人気の返礼品のひとつにタブレット端末やiPadなどのモバイル端末が挙げられます。
特に地域の特産品が少ない自治体や、より多くのふるさと納税の寄附を集めたい自治体から見ると、返礼率の高いモバイル端末を返礼品に用意しました。
結果として多くの寄附を集めることに成功しましたが、返礼品の高還元率化の原因となり、その結果、過度の返礼品を用意した自治体間の競争を招くことになりました。
これを受けて2017年4月には「ふるさと納税の趣旨に反する返礼品は送付しないこと」という総務省からの通達が行われ、「金銭類似性の高いもの(商品券・電子マネー・プリペイドカードなど)」と「資産性の高いもの(電気・電子機器や嗜好品、高額商品)」を返礼品から除外する動きが出てきました。
このタイミングで多くの自治体がiPadやタブレット端末の取り扱いを中止しました。
しかし、一部の自治体が通達に従わないこともあり、遂に2019年6月から「返礼率は寄附額の3割以下とする」「返礼品は地場産品に限る」という規制がスタートするに至り、モバイル端末やiPadを返礼品とする自治体は激減しました。
そんな現状の中で、ふるさと納税制度の中でのiPadやタブレットの現状を調査し、ご紹介していきたいと思います。
返礼品としてのiPadやタブレット端末の現状(2019年10月)
iPadの現状
かつて、ふるさと納税の返礼品としてiPadを用意していた自治体は数多く存在しました。
iPadは静岡県焼津市、神奈川県小田原市、群馬県前橋市、福岡県行橋市・直方市、佐賀県みやき町・上峰町など、数多くの自治体がiPadやiPad mini、iPad Pro、Apple Watchなどを返礼品として取り扱っていましたが、6月にスタートした規制と共に全ての自治体から姿を消しました。
返礼率はともかく「返礼品は地場産品に限る」という制限があるため、外国製(主に中国製)であるiPadが返礼品として復活するのは、製造元であるApple社の製造工場が日本に設置されない限り難しいでしょう。
タブレット端末の現状
iPad以外にも、タブレット端末を取り扱っている自治体が数多く存在しました。岡山県備前市、長野県喬木村、神奈川県小田原市・大井町、静岡県焼津市など多くの自治体で取り扱いを行なっていましたが、現在ではこれらの自治体は全て取り扱いをやめています。
ただし、全国でタブレット端末を取り扱っている自治体はゼロになった訳ではありません。
ふるさと納税の返礼品は「返礼率が3割以下であること」「返礼品は地場産品であること」がルールです。
つまり、この2つの条件をクリアしていれば現在でもふるさと納税の返礼品として取り扱うことが可能です。
2019年10月現在、全国でこの2つの条件をクリアしている自治体が全国で2自治体だけ存在します。
それぞれの自治体と、取り扱っているタブレット端末をご紹介していきましょう。
タブレット端末を現在も扱っている2自治体
神奈川県綾瀬市
神奈川県綾瀬市は神奈川県の中央に位置する市で、全国でも珍しい市内に駅のない街です。
市内の3分の1が厚木基地の敷地で占められており、最近は市役所や市立公園、協力する民間企業の施設を映画やドラマのロケ地として積極的に誘致していることから、誰もが一度は目にしたことがある建物が市内に点在している、という街です。
そんな綾瀬市には株式会社サードウェーブの綾瀬事業所が操業しており、綾瀬市で製造された地場産品をふるさと納税の返礼品として提供しています。
サードウェーブのタブレット端末
サードウェーブは、秋葉原で創業したパソコンショップをルーツにもち、全国チェーンのパソコンショップ「ドスパラ」を運営している会社です。
また、IT周辺機器の大手通販サイト「上海問屋」の運営も行うなど、コアなファンの多い老舗の企業です。また、パソコンのBTO(受注生産)を行なっており、その製造拠点が綾瀬市に設置されています。
綾瀬事業所では近年流行しつつある「eスポーツ」に対応したハイスペックPCの製造。
映像、動画、音楽や作画などのPCを使ったデジタルクリエイティブに対応したPCなど、スペックの高い製品を生産しています。返礼品として提供されているタブレット端末も、高いスペックを誇っています。
【Diginnos DG-D08IW2SL 寄附額:104,000円】
「ドスパラタブレット」とも呼ばれるWindows10を搭載したタブレットです。
4コアCPUと4GBメモリを搭載しているので動画閲覧やWindowsアプリの動作にも活用できるスペックを持っています。
また、ハードディスクが64Gあり、MicroSDカードにも対応しています。Bluetoothのキーボードとマウスを利用すれば、最も携帯性の高いWindows端末としてパソコンに近い操作感で使用することもできます。
このタブレット端末を入手可能なふるさと納税サイトはこちら:
【raytrektab DG-D10IWP2 寄附額:307,000円】
タブレット端末ながら8GBメモリとWindowsProをOSに搭載しているハイエンドタブレットです。
「お絵かきタブレット」と呼ばれるように、付属のデザインペンを使ってタブレット上で絵を描いたり、ちょっとしたアイデアを纏めたりするのに便利な端末です。
また、別売りのキーボード付きカバーを装着すると、ちょっとしたWindowsPCとしての役割を果たすことができるので、外出先でイラストや文章などを作成したい。という方にはおすすめの一台です。
このタブレット端末を入手可能なふるさと納税サイトはこちら
長野県飯山市
長野県飯山市は長野県の北端にあり、新潟県との県境に位置する街です。
豪雪地帯として知られており、戸隠や斑尾のスキー場は全国的に人気のスキー場です。
豪雪地帯特有の良質な水と綺麗な空気は精密機器の製造に適していおり、飯山市の工業製造品出荷額の7割がパソコンや電子機器などの情報機器・通信機器で占められています。
そんな飯山市には複数のパソコンメーカーの製造拠点が置かれていますが、その一つがマウスコンピューターの飯山事業所です。
マウスコンピューターのパソコンやタブレットは、その全てが飯山で製造されていることから、ふるさと納税の返礼品としてマウスコンピューターの製品が提供されています。
マウスコンピューターのタブレット端末
マウスコンピューターは埼玉県の春日部市でオープンしたパソコンショップをルーツに持つ日本最大規模のパソコンのBTO(受注生産)メーカーです。
大手家電メーカーのパソコンに比べて高性能で安価な製品を提供することで知られています。
飯山事業所は、そのマウスコンピューターのブランドmouseシリーズの生産を一手に担う中核事業所で、製品の型番に「IIYAMA」を入れるほど、飯山産であることを強調しています。
現在は「飯山TRUST」のロゴマークを作り、「飯山産=高品質」というブランド認知を目指して質の高い製品作りに取り組んでいます。
【WN803 寄附額:80,000円】
マウスコンピューターのWindowsタブレット「WN803」は、マルチタッチに対応した8型液晶ディスプレイのタブレット端末です、5GHz帯に対応している無線LANを搭載しているので、室内で動画など映像ストリーミングを楽しむ際に、安定した通信を確保することができます。
2.5時間の充電でフル充電を行うことができ、最大6.1時間の稼働時間を確保することができます。310グラムと軽量で、別途でOfficeソフトをインストールしてキーボードを用意すればパソコンとしての機能も十分に果たすことができます。
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以上、タブレット端末を入手可能な2つの自治体をご紹介しました。残念ながらiPadを返礼品として入手することはかなり困難だと思われますが、ご紹介した自治体のように、タブレット端末を製造している工場のある自治体であれば、今後タブレット端末が返礼品として採用される可能性もあります。
年末になるとふるさと納税の需要が増えてくるので、タブレット端末を検討している方は、お早めに申し込むことをおすすめします。