自己破産をすると何もかも失ってしまい、人生が終わってしまうのではないかと考える方も多いでしょう。
自己破産と聞くと悪いイメージが先行し、今まで努力して築いた資産を一瞬にして差し押さえられてしまうと思ってしまいがちです。
実は自己破産をしてもすべての資産を没収されるわけではありません。自己破産では差し押さえられる資産と、手元に残せる資産が明確に決められています。
本記事では自己破産をした場合、差し押さえに該当する財産と対象外の財産を紹介します。
自身の財産のうち差し押さえの対象となるものを把握するために、ぜひ参考にしてください。
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そもそも自己破産とは?

自己破産について真剣に向き合った機会がある方は少ないでしょう。
自己破産は、借金の免除や減額を目的とした「債務整理」の一つです。借金を背負ってしまい、返済の目途が立たなくなった場合に活用するケースが多くあります。
自己破産が認められた場合、借金がすべて帳消しになります。ただし一部の財産は差し押さえとなるため、注意しておきましょう。
自己破産ですべての財産は差し押さえられない!

自己破産をすると財産の差し押さえを受けますが、すべてを失うわけではありません。
自己破産は法律によっておこなわれます。民事執行法第131条7項では、差し押さえの対象が次のとおり定められています。
- 現金や預金、保険などの金融資産(99万円以下は対象外)
- 不動産
- 20万円以上の高額な財産
上記の定めから外れる場合は差し押さえを受けません。
自己破産で差し押さえられる財産

自己破産で差し押さえられてしまう財産にも決まりがあります。具体的には、次の財産が差し押さえの対象です。
- 持ち家
- 自動車
- 20万円以上の価値がある財産
上記の財産は破産管財人が処分し、債権者に分配します。
差し押さえ対象の財産について、それぞれ詳しく解説します。
持ち家
自己破産すると、本人名義の持ち家が差し押さえられてしまいます。持ち家は競売にかけられて売却処分となり、債権者に配当されるからです。
住宅ローンが残っている場合は、抵当権を持つローン会社に持ち家が回収されます。
持ち家を回収されないケースは、所有者が家族名義になっている場合です。
ただし自己破産の直前に名義人を変更すると、財産を隠していると見なされ罪に問われる可能性があります。
また、賃貸物件にお住まいの場合、自身の所有している家ではないため、そのまま住み続けられます。
自動車
自動車やバイクなども自己破産の差し押さえ対象です。しかし、場合によっては自己破産をしても所有できるケースがあります。
自動車やバイクが差し押さえを受けないケースは次のとおりです。
- 価値が20万円以下
- 自由財産拡張の申し立てが認められる
自由財産拡張の申し立ては、生活にどうしても自動車やバイクが必要な場合にのみ認められます。
もし自動車のローンが残っている場合、持ち家と同様にローン会社が自動車を回収します。
その他20万円以上の財産
自己破産をすると、原則として20万円以上の価値を持つ財産はすべて差し押さえの対象となります。
その他の財産の一例は次のとおりです。
- 株式や債券などの有価証券
- 不動産
- 仮想通貨、FX
- ブランド品
- 生命保険
自己破産をする際は、自身が所有している財産で何が差し押さえの対象になるのかを把握しておきましょう。
自己破産で差し押さえられない財産

自己破産した場合にも差し押さえの対象外となる財産があります。
自己破産した場合、原則として債務者の財産は換価処分されますが、自由財産に該当する財産は処分しなくてもよいとされています。
自由財産に該当する財産は、次のとおりです。
- 破産手続後に取得した財産
- 99万円以下の現金
- 破産管財人が放棄した財産
- 差押禁止財産に該当する財産
一つずつ順に詳しく解説していきます。
破産手続後に取得した財産
自己破産に関する法律として、破産法が定められています。
破産法第34条1項によると「差し押さえの対象となるのは、自己破産の開始手続きをした時点で破産者が所有している財産」だと記載されています。
そのため、自己破産の手続きが始まったあとに新たに財産を得た場合、原則として差し押さえの対象とはなりません。
自己破産の手続開始後に新たに得た財産は新得財産と呼ばれ、自由財産として扱われます。
99万円以下の現金
99万円以下の現金は自由財産に該当するため、処分の対象外です。
なお現金として勘定されるのは、銀行口座の預金のみでなく自宅で保管している現金も含まれます。
また、解釈によっては電子マネーも現金に準じた扱いがされることもあるため、注意しておきましょう。
破産管財人が放棄した財産
自由財産に該当しない差し押さえ対象の財産であっても、事情によっては破産管財人が放棄するケースがあります。
破産管財人が放棄するケースは次のとおりです。
- 処分費用が高い
- 買い手がつかない
上記のように、容易に換価処分ができない場合は放棄される可能性が高いです。
破産管財人は裁判所の許可を得たあとに、換価処分が困難な財産を破産財団から放棄できます。破産財団から放棄された財産は破産財団所属の財産ではなくなり、自由財産になります。
差押禁止財産に該当する財産
日本の破産法では、自己破産をした破産者の最低限度の生活維持を目的に、あらかじめ特定の財産の差し押さえを禁止しています。
差し押さえが禁止されている財産は差押禁止財産と呼ばれます。具体的な差押禁止財産は次のとおりです。
- 衣服
- 家具
- 寝具
- 1か月間の生活に必要な食糧や燃料
- 66万円までの手持ちの現金
上記のように日常的な生活を送るうえで欠かせない財産は、自己破産後にも所有が認められています。
そのため、自己破産をしたあとも最低限の生活は続けられるでしょう。
差押禁止財産に該当する財産

差押禁止財産に該当する財産は次のとおりです。
- 1か月間の生活に必要な食料・燃料
- 身体の補助器具
- 生活に必要な印鑑
- 学業に欠かせない道具・器具
それぞれの差押禁止財産について詳しく解説していきます。
1か月間の生活に必要な食料・燃料
民事執行法第131条2項では、自己破産後の破産者に1か月間の生活に必要な食料や燃料を差押禁止財産として定めています。
破産者には1か月間の猶予が与えられますが、反対に捉えれば1か月間の期間に生活の立て直しをしなければなりません。
新たな生活を送るための期間として、与えられた時間を有効に活用しましょう。
身体の補助器具
民事執行法第131条13項では、破産者の身体補助に必要な物を差押禁止物として定めています。
身体の補助器具として多いものは次のとおりです。
- 義手、義足、義眼
- 補聴器
- 車いす
- 松葉杖
- 眼鏡
その他にも身体補助に必要な器具と判断されれば、差し押さえは受けません。
生活に必要な印鑑
民事執行法第131条7項では、実印やその他の印鑑を職業や生活をするうえで欠かせないものとし、差押禁止物に定めています。
日本で生活を送るうえで実印や印鑑はなくてはならないものです。そのため、生活に必要な印鑑が差し押さえられることはありません。
学業に欠かせない道具・器具
民事執行法第131条11項では、破産者家族の学校や教育施設における学習に必要な書類、器具などを差押禁止物として定めています。
学業を継続しておこなううえで欠かせない教科書や文房具などは、差し押さえられません。
自己破産で差し押さえられた際の家族への影響

自己破産にはすべてを失うイメージがありますが、自己破産で処分の対象になるのは、自身の所有財産のみです。家族の財産が差し押さえられることはありません。
しかし、自身の所有財産とは単に名義のみで判断するわけではなく、自身によって築かれた財産であるのかどうかが判断のポイントになります。
自己破産で差し押さえられた際の家族への影響について、次の3つの項目に分けて解説します。
- こども名義の預金通帳が差し押さえられる可能性
- 持ち家が差し押さえになると新たな住居を探さなければいけない
- 生活が不便になる
家族へ与える影響が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
子ども名義の預金通帳が差し押さえられる可能性
自己破産した破産者が子ども名義で預金していた場合、破産者自身が築いた財産と見なされます。子どもはあくまでも名義人に過ぎないため、処分の対象になります。
なお、子どもがすでに成人しており、自身で口座を管理している場合は処分の対象にはなりません。
処分の対象となるのは、保護者が子どもの将来のために積立をしているケースです。
持ち家が差し押さえになると新たな住居を探さなければいけない
自己破産をした場合には、自身の持ち家が差し押さえの対象となるため、家族は転居を余儀なくされます。
自己破産で処分されるのはあくまでも破産者本人の財産であるため、持ち家が破産者の名義でなければ処分はされません。
しかし、次の事項に該当する場合には、実質的に破産者の財産とみなされ、処分の対象になる可能性があるので注意しておきましょう。
- 破産者以外の財産に費用を出している場合
- 破産者以外の口座に入金している場合
たとえば、持ち家や車、学資保険などは破産者以外の家族名義であっても、破産者が費用を出していれば、裁判所が家族に費用の返済を求める可能性があります。
破産者の借金が増えた原因に、家族名義の財産を購入した費用が関係している場合には注意が必要です。
生活が不便になる
自己破産をすれば借金は一旦ゼロになります。しかし、自己破産によって生活が不便になるのは事実です。
自己破産したことによる生活の主なデメリットは次のとおりです。
- 借り入れやローン契約ができない
- マイホームや高額な車を失う
- クレジットカードの利用ができない
- スマートフォンの分割購入ができない
- 賃貸契約の審査が通らない可能性が高い
- 保証人に迷惑がかかる
自己破産をすると信用情報に記録されるため、一定期間はローン契約やクレジットカード利用、スマートフォンの分割支払いなどができません。また、賃貸契約をする際の審査にも影響を与えます。
自己破産には多数のデメリットがありますが、借金の返済が滞っていた事情に鑑みればリスタートを切るための選択肢の1つといえます。
また、自己破産は借金をゼロにする代償として所有している財産を処分する制度ですが、生活に必要なものまで差し押さえられるわけではありません。
借金の返済に追われており生活が苦しい場合は、自己破産をした方が生活がよくなるケースもあります。
自己破産での差し押さえに関するよくある質問

自己破産での差し押さえに関して、よくある質問は次のとおりです。
自己破産した際給料は差し押さえられる?
自己破産後も差し押さえは継続される?
退職金は差し押さえられる?
自己破産を検討している方は事前に確認しておきましょう。
自己破産した際給料は差し押さえられる?
自己破産の手続きを開始したあとに得た給料は、原則として差し押さえを受けません。自己破産後に得た財産は新得財産と呼ばれ、自由財産に該当するためです。
しかし、自己破産開始手続き前に受け取りが確定している給料や賞与は給与債権に該当し、4分の1程度を差し押さえられるケースがあります。
たとえば月末締め、月末支払いの会社に属している場合、先月末の時点で月末に給与を受け取ることが確定しています。そのため、当月末に受け取る給料は給与債権となり、差し押さえの対象です。
自己破産後も差し押さえは継続される?
自己破産後に取得した財産は新得財産と呼ばれ、価値の高い財産や給与であっても差し押さえられることはありません。
なお自己破産の申し立て前に取得が決定していた財産は、差し押さえの対象になります。
たとえば、自己破産の開始決定前に発生した売掛金を自己破産後に回収した場合、差し押さえの対象になる可能性があります。
取得が決定している財産については、裁判所に申告をしなくてはなりません。もし隠していたことが発覚した場合、自己破産の免責許可がおりない可能性があります。
自己破産の開始手続き後に財産を取得する予定がないか、事前に確認しておきましょう。
退職金は差し押さえられる?
退職金を受け取る予定がある場合、一部または全額を差し押さえられるケースがあります。
退職金は財産の1つとして扱われるため、会社を退職する予定がなかったとしても差し押さえを受けます。
なお、差し押さえの金額は状況によって左右されるため、弁護士に確認を取りましょう。
まとめ

自己破産の差し押さえについて、対象となる財産や生活への影響について解説しました。
自己破産をすると持ち家や車などの財産が差し押さえられるため、少なからず生活に影響が出ます。
しかし、日本の法律では差し押さえの対象外としている財産も多く、最低限度の生活が送れるように組まれています。
法律の目的も経済的な構築を図ることを理念としているため、借金の返済に苦しみ続けている方は自己破産も選択肢に入れることでリスタートのきっかけになるでしょう。
自己破産で差し押さえられるものをあらかじめ正しく理解し、整理したうえで検討してみてください。
※本記事の情報は2023年2月時点のものです。
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