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今、『アジア中小型株』への投資に注目が集まる理由とは?

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  足元、日本の安倍政権が大胆な「金融緩和」、機動的な「財政出動」、民間投資を喚起する「成長戦略」を“3本の矢”とする経済政策を打ち出したことで、円安基調、日本株の活況、及び市場のセンチメントの急速な回復をもたらしています。

  国内の投資家はリスク許容度の拡大を背景に内外の株式市場に積極的に資金を投じており、高いリターンを目指す動きが顕著となってきています。そうした中、投資家の間で『アジアの中小型株』への関心が急速に高まってきています。

 今、なぜ、『アジア中小型株』に市場の関心がそそがれているのでしょうか?その理由を以下3つの流れに沿って、わかりやすく解説していきたいと思います。

1.2013年のアジア経済の見通しについて
2.アジア株式市場の見通しについて
3.アジアの中小型株が注目される理由
 

1.『2013年のアジア経済の見通しについて』

   旺盛な内需の伸びが成長を牽引するアセアンを中心に2012年のアジア諸国は概ね高い経済成長を達成してきました。洪水被害に対する積極的な復興支援策が奏効したタイでは、2012年に年率6.4%の実質GDP成長率を達成しました。

  また、インドネシアでは、輸出の伸びが鈍化したものの、旺盛な個人消費とインフラを中心とした投資が成長を後押しし、3年連続で実質GDP成長率が年率6%を超えるなど経済の好調が続いています。さらに、フィリピンでは、海外就労者からの本国送金の増加により個人消費が拡大したことに加え、官民共同パートナーシップによるインフラ投資が牽引したことから、2012年の実質GDP成長率が年率6.6%となり、政府の年間目標を上回る成長を達成しました。

  一方、欧米を中心とした先進国経済の伸び悩みから、外需依存度の高いシンガポールや韓国、台湾などでは、実質GDP成長率が1~2%の低成長にとどまりました。

  2013年においては、アジア各国政府による財政支出や中央銀行による緩和的な金融政策が景気の下支え効果となり、内需依存度の高い国を中心にインフラ投資や個人消費の伸びなどが牽引し、高成長を維持すると見込まれています。また、米国や中国の緩やかな景気回復を背景に外需の持ち直しの動きも期待され、アジア地域の広い範囲で経済が好調に推移すると考えます。

2.『アジア株式市場の見通しについて』

  足元のアジアの株式市場は、好調な内需を背景とした企業業績の高い伸びが牽引し、アセアンを中心に堅調な展開となっています。日本・米国・欧州の主要先進国による積極的な金融緩和を受け、外国人投資家のリスク許容度が高まり、資金流入が継続していることも株価上昇をもたらしています。

  アジア地域は、豊富な人口を抱え、市場の高い潜在力のある中国、インドやハイテク産業の競争力の高さを備える韓国、台湾に加え、2015年の共同体構築に向け、さらなるインフラ投資の増加や消費の拡大が見込まれるアセアンを抱えていることから、今後も高い経済成長が見込まれ、企業業績の高い伸びがダイナミックな株価上昇のサポート要因になると考えられます。

3.『アジアの中小型株が注目される理由』

  このようにアジア株投資に追い風が吹く中、『アジア中小型株』に市場の注目が集まる理由として、

(1)世界的な景気回復・拡大局面では中小型株が大型株をアウトパフォームしやすい
(2)外部環境の影響に左右されにくく、アジアの内需の成長をより享受しやすい
(3)飛躍的に成長し、高いリターンをもたらす可能性がある

  点が挙げられると考えます。

 (1)世界的な景気回復・拡大局面では中小型株が大型株をアウトパフォームしやすい

  MSCIオール・カントリー・アジア指数(除く日本)を用い、世界的な景気回復・拡大局面におけるアジア株の規模別(大型株、中型株、小型株)の株価騰落率(2000年1月から2013年の2月末までの期間で景気回復・拡大局面のデータを使用して分析)を見てみると、アジアの中小型株は大型株の上昇を上回る傾向を示しています。

  IMFの予想によると2013年、2014年は世界的な景気回復・拡大局面が予想されており、今後、アジアの中小型株へ投資を行うことでより高いリターンを目指す動きが強まっていくと思われます。

 (2)外部環境の影響に左右されにくく、アジアの内需の成長をより享受しやすい

  アジアの株式市場は今後も好調な内需が企業業績の伸びを牽引し、ダイナミックな動きを見せると考えています。一方、アジアを取り巻く外部環境には依然として不透明要因もみられます。例えば、米国においては強制歳出削減に伴う経済への悪影響が懸念されることに加え、欧州ではイタリアの総選挙の結果を受けて経済改革が後退する可能性やキプロスなどの混乱がその他の地域へ波及するリスクも残っています。

  アジアの中小型株は、大型株と比べるとインフラ関連や消費関連企業が多く、アジアの内需拡大の恩恵を受けやすく、外部環境の影響に左右されにくい点が特徴的と言えると思います。今後、投資家の間で、外部環境に不透明感が漂う中でも、それらの影響に左右されにくく、内需を牽引役とした高い成長機会を享受しようと、アジアの中小型株へより積極的な投資の動きが出てきてもおかしくはないと考えます。

 (3)飛躍的に成長し、高いリターンをもたらす可能性がある

  アジアの中小型株への投資を行う上でのメリットは、アジアの高い経済成長に加え、独自のビジネスモデルを展開することで、飛躍的に発展する可能性のある企業が多いという点が挙げられます。例えば、飛躍的に成長し、高いリターンをもたらしてきたアジア企業の例として、インドネシアのアストラ・インターナショナルを簡単に紹介します。

  アストラ・インターナショナルは、インドネシア最大手の自動車メーカーで、ホンダ、トヨタ、ダイハツ、いすゞ、日産ディーゼル、BMW、プジョー等の自動車メーカーと合弁会社を設立し、自動車の組み立て・販売を行っています。

  アストラ・インターナショナルは、約10年前には時価総額で約9億米ドル(1米ドル95円とした場合、日本円で約850億円)しかない中小型株でしたが、2013年2月末時点で約330億米ドル( 1 米ドル9 5 円とした場合、日本円で約3.1兆円)の時価総額を有するインドネシア・ナンバー1の大型株に成長しました。

  もし、当時、飛躍的に成長しダイナミックな株価の動きを見せる可能性のあるアジアの中小型株の特性を理解し、アストラ・インターナショナルの株式へ投資していたとしたら、約10年間で約36倍のリターンが得られたわけです。

  もう少しわかりやすいイメージをすると、もし、あなたが貯金1000万円を金利年率1%で10年間、銀行に預けていたら、100万円((単利・税抜き)の利息を得たにすぎなかった訳ですが、かたやアストラ・インターナショナルの株式に投資していたら3億円以上の資産になったわけです。

  もちろん、株式投資なので、企業が破綻して元本がゼロになってしまうリスクはありますが、個人で企業のファンダメンタルズをしっかり調べ、「未来のアストラ・インターナショナル」を長期で保有することができたなら・・または専門家が運用する投資信託を通じて「未来のアストラ・インターナショナル」を含む複数の中小型株へ分散投資することができたなら・・そうした高いリターンへの期待が膨らむことが、アジア中小型株に市場の注目が集まっている理由だと考えています。

  以上のように、日本の投資家による『アジア中小型株』への投資ニーズは非常に高く、今後、この分野の市場及びビジネスの拡大が大いに期待されると考えています。

  *上記のコメントは筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する会社または組織の見解ではございません。また個別銘柄の推奨、商品の投資勧誘を目的としたものではありませんのでご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。

《中村 貴司》
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中村 貴司

国内・外資系証券会社、損保系運用会社等を経て、現在、証券系運用会社でファンドマネージャーに従事。15年以上の金融・証券業界経験、運用会社では年金、投資信託などを通じて、アクティブ及びクオンツ手法を用いた外国株式への投資経験を持つ。また、現場の証券営業のキャリアもあり、そうした経験を活かし、現在では投資家心理も重視した運用を心掛けている。 <保有資格> 英国国立ウェールズ大学大学院MBA、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、CFP(日本FP協会認定)、FP技能士1級、国際テクニカルアナリスト連盟 検定テクニカルアナリスト®(MFTA)、英国王立勅許鑑定士(MRICS)、不動産証券化協会認定マスター、中小企業診断士 寄稿者にメッセージを送る

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