株式市場に、アベノミクスへの期待に沸く投資家が戻ってきただけでなく、これから投資を始めようかと検討している方も増えてきました。そのような中、決算発表シーズンを迎えています。今期の企業業績は企業経営にとって節目ともいわれています。

  今回は、投資初心者の方が決算発表を投資判断に活かすために、知っておきたい基本的知識をお伝えしましょう。

3月期決算企業の集計が出揃う、4月下旬から5月中旬

  企業は、事業年度が終わるとその結果を集計しますが、上場企業はできるだけ早く公表しなければなりません。4月から5月は、3月期決算企業の決算発表が目白押しです。

  売上高や利益などを示す損益計算書や資産の一覧である貸借対照表などは、財務諸表と呼ばれます。決算発表では、終わった年度の財務諸表のほかに、既にスタートした今年度についても事業戦略や売上・利益の目標を発表します。

  なお、上場企業には、投資家のために証券取引所が決算発表を義務づけています。上場企業が証券取引所に「決算短信」を提出することが「決算発表」です。決算短信は「できたてホヤホヤの成績表」であり、情報発信をするマスコミや企業情報を分析するアナリストなどが重視する資料です。ニュースやアナリスト予想は、決算短信が元になって作られます。

決算短信は、個人投資家でも手に入れられる

  この決算短信は、インターネット環境が整っていれば個人投資家でも入手可能です。パソコン操作に不慣れな方でも、取引をしている証券会社に依頼して手に入れることができます。

  決算短信は、上場企業や証券取引所、証券会社のWEBサイトからダウンロードできます。上場企業のホームページで「IR(インベスター・リレーションズ)情報」「株主情報」などのページから、「決算短信」「財務データ」などに進めばたどり着けます。

  東京証券取引所の場合は、ホームページのTOPから「適時開示情報閲覧サービス」、証券会社のサイトからは目的の銘柄(企業名)のページに進んだ後、「適時開示情報」「決算」などのページに進むと見つかります。

  決算短信は証券取引所で決められた様式で、添付資料まで含めると30ページ前後ですが、冒頭の本文(通常2~3ページ)の表が最も重要です。多くの上場企業に「連結」という文字が見られますが、その企業グループ全体の事業成績を示します。

  対するのは「単体」です。連結決算短信にも(参考)として「個別業績の概要」つまり親会社の業績も掲載されています。個人投資家レベルの投資判断には「連結」を使うのが適しています。連結する子会社などがない企業の場合は「単体」の決算です。

決算短信のどこを見ればよいか

  投資経験が浅く、どこの何を見たらよいかわからない方は、まず「同じ項目間の年度の推移」に注目しましょう。一般に、数字の変化が良くなれば株価上昇につながります。項目の文字が難しいと感じるかもしれませんが、言葉の定義にこだわるよりも「良くなるか・悪くなるか」の変化に目を向けることです。

  とはいえ、数値が大きければいいのか、小さければいいのか、初心者さんはそれもわからないことでしょう。以下に、ざっくりと説明しますので、参考にしてみてください。

1.平成25年3月期の連結業績
(1)連結経営成績:損益計算書からの主な情報
売上高・営業利益・経常利益・当期純利益
  増えると良い、%で表示された増減率はプラスで数値が大きいほど前年比伸びているといえる
1株当たり当期純利益(2種)
  増えていると株主は嬉しい(=株価上昇要因)
自己資本当期純利益率・総資産経常利益率・売上高営業利益率
  効率良く儲けると増える

(2)連結財政状態:貸借対照表からの主な情報
総資産・純資産
  事業の規模を示す、単純に数字が大きければいいというものでもない  
自己資本比率・1株当たり純資産
  数値の増加は、財務の安定性の高まりを示す

(3)連結キャッシュ・フロー(以下、CF)の状況:お金の出入りを示す
  投資初心者が分析に使うには、
  (営業活動によるCF)+(投資活動によるCF ※通常はマイナス)=黒字
  であれば良い、という程度の判断で十分

2.配当の状況
年間配当金、配当性向
  適度に増えていれば株主は嬉しい(=株価上昇要因)

3.平成26年3月期の連結業績予想かなり重要!
  上記1.(1)連結経営成績の項目と照らし合わせて、各項目の「通期」の数値が上回っていると良い

  事業の結果、つまり25年3月期の数値も重要ですが、特に投資家やアナリストが注目するのは3.26年3月期の予想数字です。各項目を照合して25年3月期より良くなるようなら、新聞等で「今期増益の見通し」と表現されます。

  ただし、「26年3月期」について、少しだけ気をつけて頂きたいことがあります。先にアナリストなどがレポートなどで今期予想を発表していた場合、その数値より企業自身が予想する数値が見劣りすると「決算発表でフタを開けてみたらがっかりした」となります。投資家による見切り売りで株価が下がるかもしれません。

  傾向としては、企業自身が出す今期予想は比較的控えめで、アナリストや新聞社など外部の者が出す予想は実勢に見合う数字です。このあたりの雰囲気の嗅ぎ分けは、投資経験を積みながら身につきます。まずは基本的な決算短信の見方で、注目企業だけでなくできるだけ多くの企業の決算短信に目を通し、判断力を養っていきましょう。