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日本版ISAは得か損か?制度の仕組みやデメリットも理解しよう

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  2013年10月1日に申し込みが開始され、2014年1月1日から制度が開始される日本版ISA(少額投資非課税制度)。1人につき1口座しか開設できないことから、金融機関では熾烈な口座獲得競争が展開されている。

  2013年12月末時点で、上場株式や株式投資信託等の優遇税制(10.147%・復興増税含む)が終了し、2014年1月以降に関しては、本来の税率(20.315%・復興増税含む)に戻されることが決定している。

  長年、優遇税制に慣れ親しんできた個人投資家にとっては、2014年以降は税額が2倍になるわけで、その分、正味の利益も減少してしまうことになる。そもそも、本来の税率に戻るわけだが、とても損をした気分になるのは私だけだろうか?

  ところが、日本版ISAを活用すれば、新規投資額で年間100万円(非課税投資総額・最大500万円:100万円×5年間)までの上場株式や株式投資信託等の配当金や分配金、譲渡益に対しては非課税(税金はゼロ)として扱われる。

 また、未使用枠に関しては、翌年以降の繰り越しはできないことになっている。例えば、ある年に70万円までしか新規で投資をしなかった場合でも、翌年以降に130万円まで非課税枠を使用できる訳ではない。このことから、非課税枠を使い切ってしまわないと“損”をしたという気分になってしまうことも予想される。

  しかし、気を付けておきたいことは、譲渡益が発生した場合には、この日本版ISAを活用することで、譲渡益が非課税として扱われるが、購入後、譲渡損が発生している状況であれば、この日本版ISAは絵に描いた餅になりかねないことである。

  昨年11月以降、株式市場は歴史に残る上昇を記録している。株式投資に参加するだけで、利益が上がる状況であるといっても言い過ぎではない。しかし、「山高ければ谷深し」といった相場の格言があるように、株式市場は暴騰することもあるが、その後、急落する危険もはらんでいる。

 そして、この日本版ISAでは、一度、金融機関を選択してしまうと一定期間は金融機関の変更ができない日本版ISA以外の口座で発生した譲渡益や配当等との損益通算(譲渡益と譲渡損を相殺する制度)ができない・・・場合によっては、デメリットとなる制度もあり、このような制度は後になって気付くことも多い。

 各金融機関のホームページには、日本版ISAに関する特集コーナーが組まれており、利用する側のメリット(非課税)について書かれている。しかし、上記のような、場合によってはデメリットになるような制度についても、日本版ISAの口座を開設する前に確認しておきたいところである。

 日本版ISAに限ったことではないが、何らかの制度を利用する場合、メリットばかりを見るのではなく、デメリットや制度の内容も理解しておくことが非常に重要である。

《岡田 佳久》
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岡田 佳久

執筆者:CFP、FP技能士1級 岡田 佳久 岡田 佳久

株式会社オーブレイン 代表取締役 (講演実績)一般向けセミナー、民間企業、高等学校、大学、資格専門学校、社団法人、NPO法人、商工会議所、男女共同参画センターなど(累計約1,000回以上)。(執筆実績)産経新聞、神戸新聞、Yahoo!JAPAN、ダイヤモンド社、わかさ出版など多数 ≪保有資格≫CFP、FP技能士1級、キャリアカウンセラー(CDA)、 1級DCプランナー(金融財政事情研究会) 、第二種証券外務員(未登録)、住宅ローンアドバイザー(金融検定協会) 寄稿者にメッセージを送る

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