ヨーロッパ各国の過去1年間(2012年6月1日~2013年5月31日)の株価の動きを追っています。
下図は、ヨーロッパを代表するETFのストリートトラックスヨーロッパETF(黄色)とバンガードMSCIヨーロッパETF(紫色)とTOPIX(ブルー)の1年間の動きを比較したものです。
両ETFはいずれも、MSCIヨーロッパインデックスに連動するETFなのですが、トレースするための手法の違いや、組み入れの株式銘柄の違いから、若干動きが異なっています。
また、バンガードETFは取引当日の価格が、楽天証券で表示されますが、ストリートトラックスは、取引翌日に日興証券の資産管理表に掲載されます。このことが両者の価格の動きに影響を与えている可能性もあります。
なお、MSCIヨーロッパインデックスの対象国として、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国が含まれています。
上記の国のインデックスを各国の浮動株ベースの時価総額で合成(加重平均)したものです。対象国の株式時価総額の約85%をカバーします。MSCI EUROPE インデックス(指数)は、毎日の時価総額を基準日の時価総額で割って算出され、1998年12月31日の時価総額を100として計算しています。
日本の新聞紙面では、経済的な混迷から抜け出していないように、受け取られやすいのですが、実はヨーロッパの株価は堅実な上昇を描き、過去1年間で30%の上昇を果たしています。前回紹介した、アジアの新興国の株価指数よりも、伸長率は高いのです。
上記で紹介した各国の中で、通貨が異なる主要三国を比較したものが下図です。ユーロ圏を代表するのがフランクフルトDAX(黄色)で、世界最強の通貨とされるスイスSMI(ブルー)、そしてヨーロッパと中近東の顧客・ヘッジファンドの資金が集まる、シティーのFTSE100の動きです。期間は上記と同じ期間です。
これら3国の中で、一番の上昇はスイスの株価指数です。昨年末まではDAXの後塵を拝していましたが、2013年に入りDAXを追い越して、40%の情緒に②届いています。5月末の下落で40%を切り、DAXと並びました。
一方、3国の中で終始、振るわなかったのが、英国です。当初から伸び率で2国に引き離されていて、年間で20%の上昇で終わりました。
では、ユーロ圏のトップ3の状況はと言いますと、やはり最終5月で、フランクフルトDAX(黄色)が若干抜け出したように見えます。昨年12月から本年1月の間は、あのイタリア(ブルー)が3国では一番上昇率が高かかったのです。フランスのCAC40指数も最終的にはこのイタリアに追いつき35%レベルに上昇をしています。
これらの動きをみますと、同じヨーロッパの国でも、パフォーマンスは異なります。たまたま5月に株価指数は収斂していますが、途中の違いは明らかです。従いまして、分散を図るには、複数の指数に投資するか、それとも地域のインデックス(分散が図られています)に投資するかの検討が必要になります。