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NISA(少額投資非課税制度)初級編 概要を会話形式でわかりやすく説明

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NISA(少額投資非課税制度)初級編 概要を会話形式でわかりやすく説明
日本版ISAの正式名称がNISAに統一されました。3ヵ月後に迫った申込受付開始にそなえ、改めてこの制度内容を会話形式で考えてみたい。

【会話の登場人物】
・お金に詳しい先生
・勉強嫌いだけど“お得”に敏感な女子生徒さん

NISA

生徒さん 「先生! 私、来年から本格的に投資しようと思います」

先生 「やぶからぼうにどうしたんだい?」

生徒さん 「なんか銀行で聞いたんですけど、来年から投資すると非課税になる制度が始まるそうじゃないですか? アメリカ航空宇宙局NASAに似た名前の…」

先生 「ああ、ニーサ(NISA)のことね。いいんじゃないかな、投資初心者にはまさにぴったりの制度だと思うよ」

生徒さん 「そうなんですか? よし。それじゃあ、先生。さっそくニーサについてご指導お願いします!」

NISAって何?

先生 「わかったよ。じゃあ、まずは制度概要を見てみようか」


生徒さん 「う~ん、なんか憶えることがいっぱいでよくわかんないんですけど…」

先生 「左側に番号を振ってあるだろう。それぞれのパートで考えていくとわかりやすいと思うよ」

生徒さん 「①は…金額に関すること。②は期間、③は口座開設、④は運用ですね」

先生 「そういうこと。じゃあ、さっそく金額から見ていこうか」


先生 「非課税投資額に関しては毎年100万円分の非課税枠があるのだけれど、売買手数料等を差し引いた投資額がこれに該当する

  例えば、50万円分の投資信託を買うのに、申込手数料が2万円必要だったとしよう。この場合、実際に支払う金額は52万円なのだけど、NISA口座の枠は50万円だけしか使わない。上場株式も同様だ。証券会社によって手数料は違うけれど、このように手数料を差し引いた額面分の非課税枠が利用できることになる」

生徒さん 「え? 投資信託や上場株式の手数料って、各金融機関で違うんですか?」

先生 「うん、違う。大きく分ければ、ネット系と対面系。そしてネット系内、対面系内でも手数料は各社異なってくる。金融機関の選び方なんかは③の口座開設で詳しく説明するから、今は違うということだけ憶えておけばいいよ」

生徒さん 「なるほど、後のお楽しみですね。ところで途中で売却した場合の枠は戻ってこないんですか?」

先生 「残念ながら戻ってこないし、使わなかったからといって翌年に繰り越すこともできないんだ」

生徒さん 「それじゃ、売却せずに枠を使い切った方が得ですね。ところで、毎年新規投資額でってありますが、新たに買い付けるものが対象という意味ですか? 今もっている株や投資信託は移せないの? 」

先生 「その通りだよ。だから、今保有している有価証券(上場株式や公募株式投信)を移すことは、残念ながらできないんだ。唯一の例外はロールオーバーだね」

ロールオーバーって何?

生徒さん 「それそれ、さっきから気になってました。このロールオーバーって何ですか? 」

先生 「ここからは期間に関わる部分でもあるので、話を期間に移そうか」


先生 「本来、NISA口座に投資対象が預けられるのは最長5年だ。1年目に買った有価証券は途中売却しなければ、5年後に払い出されることになる」

生徒さん 「あ、だから100万円×5年で、さっきの非課税総額が最大500万円までなんですね」

先生 「そういうこと。1年目に購入した有価証券は必ず5年後に払い出される。2年目以降も同様だ。しかし特別に、翌年(この場合6年目)の枠を使えば、この払い出される予定だった1年目の有価証券はもう5年、つまり合計10年NISA口座に入れておくことができるようになる。このしくみをロールオーバーというんだ」

生徒さん 「それで口座開設可能期間が10年なんですか。なんかロールオーバーって良いしくみですね!」

ロールオーバーの2つの欠点

先生 「良いしくみだけど、欠点もある」

生徒さん 「ロールオーバーの欠点って何ですか? 」

先生 「欠点は2つあるんだけれど、まず1つ目からみていこうか。仮に1株100万円の上場株式をNISA口座に入れていたとしよう。5年後、これが値上がりして120万円になっていた場合、ロールオーバーは利用できないんだ

生徒さん 「え? もともと100万円で購入しているから、いいんじゃないですか?」

先生 「さっきも言ったとおり、『1年目に買った有価証券は5年後に払い出されることになる』これは簡単にいうと、その時点で値洗いされることを意味するんだ」

生徒さん 「値洗いされるってことはそれまで100万円だった株が…」

先生 「そう、120万円で買った株として認識されるわけだ。すると当然、非課税枠には収まりきらないだろう? こういった場合、ロールオーバーは使用できなくなる」

生徒さん 「じゃあ、これが2株で120万円だった場合はどうなるんですか?」

先生 「その場合1株は非課税口座60万円分として入れることができるね。ちなみに話をわかりやすくするために1株を例に出したけど、実際は単元株ごとに見ることになる」

生徒さん 「単元株って、確か売買できる最小の株数単位のことですよね?」

先生 「その通り。ロールオーバーに限った話を言えば、投資信託の方が“金額指定”で100万円分だけ非課税口座に残せる分、枠を使い切ることができて有利だろうね」

生徒さん 「へ~、商品によっても有利不利があるんですね。なかなか奥深いかも…。運用商品のことについて早く知りたくなってきました」

先生 「はやる気持ちはわかるけど、順番に見ていった方が理解は早いよ」

生徒さん 「わかりました。じゃあ、2つ目は何ですか?」

先生 「実はね、このロールオーバー。1次選択権は金融機関にあるんだ」

生徒さん 「えっ? 私たちは選択できないんですか?」

先生 「私たち消費者にあるのは2次選択権なんだ。つまり、金融機関側がロールオーバーをサービスとして認めた(1次)場合には、私たちはこれを選択する(2次)ことができるんだけれど、金融機関側がこれを認めない場合は私たちは利用できないんだよ

生徒さん 「え~、法律で採用が定められていないんですか?」

先生 「残念ながら、この部分に関してはそこまでの強制力はないんだ」

生徒さん 「わー、そう考えると、金融機関選びもかなり重要ですね」

先生 「そうだね。金融機関選びや運用商品の考え方はとても重要だ。そこで、口座開設や運用に関しては具体的なポイントなんかも交えながら説明しようと思う。今より話が少し難しく(具体的に)なるから、ここでいったん、気分転換に休憩でも挟もうか?」

生徒さん 「あ、だったら私、珈琲淹れますよ。先生は珈琲ニー、サ糖は入れますか?」

先生 「いや、いらないよ。ありがとう」

生徒さん 「……私の渾身のオチを軽くあしらうとは。先生、なかなかやりますね!」

先生 「??」

次回、NISA 口座開設編~金融機関、運用商品の選び方を考える へ続く…

《石川 肇》
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石川 肇

「銀行・保険会社・証券会社」で培った実務経験を活かし、金融商品の多角的な分析・説明を得意としております。金融商品といえば何か難しいイメージがあるかも知れませんが、そんなに身構えることはありません。ただ押さえておくべきポイント、ルールがあるのも事実です。「金融商品はよく判らないのでつい情報を鵜呑みにしてしまう…」そんな方には、そこで一歩立ち止まり思考を広げる、そのためのお手伝いができればと考えております。また、日頃から講演活動にも積極的に取り組み、「正しいことを面白く、そしてわかりやすく伝えること」を目標に研鑽を積んでおります。 <保有資格>:CFP、1級FP技能士、証券アナリスト検定会員補、証券外務員一種 寄稿者にメッセージを送る

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