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老後を心配するならNISAの前に考えておくべきこと

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老後を心配するならNISAの前に考えておくべきこと

平成26年1月からNISAがスタート

 NISA(少額投資非課税制度)は本来、株式や投資信託などから得られた配当や譲渡駅に対して20%(平成25年末までは10%の特例措置)の税金が適用されるのを毎年100万円の投資まで非課税にする制度です。主に若い人への資産形成が目的といわれています。平成25年4月時点でのNISANの認知度は14.7%(フィデリティ退職・投資研究所)。

 NISA自体については、既に他の達人が書かれているので、ここでは簡単にポイントのみ説明させていただきます。

・日本に住む20歳以上の方が、一人1口座開設のみ可能。
・複数持つことは当初の4年間できない。
・既に保有している株式や答申はNISA口座に移せない(新たに保有することはできる)
・他の特定口座との損益通算はできない
・年間100万円の投資上限を上回ると、このNISA口座で翌年まで投資はできない。
・非課税期間は最長5年間なので、最大500万円(100万円×5年)が投資枠になる。
・非課税期間終了後は申し出が無い限り、特定口座等の課税口座に遺憾される。
・非課税期間終了後、新たなNISA口座として繰り返すことができる。(最長 14年間 平成26年~平成39年)

基本的に投資であり、元手がなければできない。

 ざっくり説明すると、日本人には当分なじまないと私は予想しています。

 商品としては上場株式と株式投資信託のみです。上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)も購入できます。投資を既にしている人は、優遇税制が終了するので、非課税枠を利用しようという動きはあると予想されます。それ以外には大きな流れにならないと予想しています。

 一番の問題は投資する金融資産がなければどうにもならない。政府広報では全世帯の26%が金融資産ゼロです。(平成24年)今まで、投資の経験がある人はともかく、全く投資経験の無い人がNISAを利用するなら

1.投資先を分散させる
2.少額から始める

 繰り返しになりますが、年間の枠は100万円あっても、1年目から枠の全額を使う必要はありません。口座を開設した金融機関が積立型の商品を扱っていれば積立型の商品をコツコツ購入し、まとまった金額に投資ですから元本割れする可能性もあります。元本割れが嫌と考える人は例として401Kの元本保障型の商品や定期積立などの商品が向いています。

私自身の投資経験 

 単に投資はリスクがありますと言っていたのでは、単なる臆病ものと見られ説得力も何もないので、恥ずかしながら私の株式投資経験を少し書かせていただきます。

 私が株式投資を開始したのは、日経平均が3万円を超え、バブルが崩壊し、日経平均は1万9000円代の頃でした。バブルの金融メカニズム自体は、おかしいと考えていたので、いずれ株式は下がると読んでいました。

 最初は、鉄道関連の株式を当時100株、40万円前後だったと記憶しています。その後はインターネット上で100万円以内の株式投資を競争するグループに加入し、トータルでは、少し損をしていた程度でした。元本は100万円以内でしたから、最悪でも100万円以上の損はありえません。

 当時は既に、既にFPの資格を持っており、経済ニュースは毎晩欠かさず見ていましたから、経済の動きは自信を持って把握していたつもりでした。

 結末としては、「ライブドア」の株式を購入していた時に、「ライブドア」事件があり、株式はほぼ紙くずになりました。不幸中の幸いとして、事件の時に持っていたのは約9万円分だけであったので損害はそれだけで済みました。

 私の例は一部の例ですが、形の上では、上場企業ですから、情報は公開されていたはずです。その後、サブプライムローン問題の時も、ほとんどの専門家はリーマンショックまで予想していませんでした。投資はそれだけ、リスクがあり、「粉飾決算」や初めから騙そうという投資先は見抜くのは専門家でも困難です。

 お金の世界とは別ですが、有名百貨店の食材の偽装がニュースになりましたが、騙す意思のある相手を見破るのは、困難です。

 今年、問題になったMRIも私のHPに広告掲載の依頼が過去にありましたが、わざわざ、他人を儲けさせるなら、自分で運用しないのがおかしいと考え相手にしませんでした。大部分の企業の報告には「嘘」は無いのでしょうが、個人にとって、1000万円を超える損害を取り戻すのは困難です。やり直しはききません。

 NISAの場合、年100万円が限度ですが、夫婦で年間200万円の投資となると少ない金額ではありません。

老後資金はどうすれば良いか?

 それでは、何も投資をしないほうが安全かといえば、具体的にシミュレーションしなければ、何ともいえません。老後に何千万円必用だから、何千万円を貯めようとするのが一番、危険です。川の深さを知らずに川を渡ろうとするのと同じようなものです。

 「安愚楽牧場」の事件では被害者総数7万3356人 4207億6700万円。一人当たりの平均投資額565万円です。1000万円以上の投資者は609人。1億円以上の投資者は一人。MRIインターナショナルの被害者数 4436名 被害総額 930億4400万円と報道されています。老後資金のシミュレーションのためにはライフプラン表(キャッシュフロー表)を作成するのが一番確実な方法です。

 キャッシュフロー表とは、毎年の収入・支出・貯蓄・ライフイベントを表にしたものです。何十年先のことをシミュレーションするのですから誤差があってもかまいません。キャッシュフロー表の作成自体の難易度は高くありません。無料のソフトをダウンロードできます。少なくとも老後の生活がイメージできるようになるはずです。

 但し、一生涯が赤字にならないようにするには、若い内から、準備が必要です。キャッシュフロー表を作ってみるとわかるはずですが、住宅を持つか持たないかで老後の余裕は大きく変わります。現在、持ち家の無い方は住宅購入を前提で貯蓄・住宅購入のシミュレーションもしてみてください。

 東京で働いている場合、住宅購入が難しい場合もあるかもしれませんが、思い切って、退職金で地方に住宅購入も検討すると良いでしょう。実際に私自身の老後をシミュレーションしてみました。ポイントだけ説明させていただくと、

・住宅の維持費は、固定資産税(約5万円)と火災保険料
・自宅の屋根・壁の塗り替えなどは自分で実施。(一部は既に実施済み。屋根は平らなのでケガの心配はほぼありません。)
・食費は夫婦二人であれば、食費は少ないと予想。
・電気代は契約のアンペア数を下げる。
・携帯電話はプリペイド式であれば、維持費は大幅に下がる。
・自分のお墓は立てない・家族葬の予定(維持が子供の負担になる)(葬儀の平均費用は全国平均 236.6万円 平成15年 日本消費者協会調査)

 結論として私自身の老後のシミュレーションでは、年金だけで毎月の生活は赤字にならない予定です。老後までの貯蓄は緊急予備費や夫婦で年一回程度の予定は可能と考えています。これが、老後は「国民年金」だけの収入で、住宅が無い場合は、本気で、地方への移住も考えなければならない人も出てくると予想します。

 逆に、会社員、公務員の方で、老後に住宅ローンの残らない人は、年金収入だけで毎月が黒字になる人は多いと予想されます。住宅といっても一戸建てでなく、マンションの場合は管理費、建替えの費用も考慮する必要があります。

 また、仮に同じ会社員で同じ年収であったとしても、現在、60歳の人と20歳の人では年金の仕組みが変わり、若い人のほうが受け取る年金額が少なくなっています。その意味では、若い人の方が、しっかりライフプランを立てる必要があります。尚、老後の生活費の中で、見落としやすい項目は

・健康保険料
・医療費(通院などの費用を予定しておく)
・自動車維持費(運転可能な間は買い物難民にならないようにする)

 おしまいに繰り返しになりますが、川を渡る前に、川の深さ・流れを知らなければ、歩いて渡れるか、船が必要かわかりません。それを知るためにライフプラン表(キャッシュフロー表)が必用なのです。

 FPに料金を支払っても相談料以上に損することはありません。仮に相談料が5万円だったとしても、50年間分の相談料と考えると一年当たり千円の相談料です。常識的に考えるとこの改善ができないということはほぼありえません。もし、改善できないとしたら、相談者の方がお金に詳しいことになります。

《金森 徹也》
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金森 徹也

金森 徹也

アルカディアFP事務所 代表 住宅ローンアドバイザー 北海道立岩見沢東高校卒業。群馬大学工学部機械工学科卒業。1997年 東京海上火災保険 研修社員として入社。研修卒業後、保険代理店として独立。2007年12月 FP事務所を開業。現在、保険を販売しないFP事務所として公平中立なアドバイスをしています。 長期間の「抗がん剤治療」から「命」を守る保険選び、保険の見直し方などの「講演」「執筆」中心に活動。マネーの相談件数は数えた分だけで1200件以上。「教えて保険」の実質的に一人で回答、All About Japanスーパーおすすめサイト大賞2004受賞に貢献。「よみうりプラザ」に「保険の見直し講座500万円の無駄を減らそう」を1年間連載。 寄稿者にメッセージを送る

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