リーマンショック以降変動金利でローンを組んでマイホームを建てられる人が増え、住宅金融支援機構の調査によるとピーク時は約半数の人が変動金利を選択している。変動金利は年利1%を切っており、同じ金額を借りた場合固定金利と比べると月々の支払いに大きな差が出る。

 因みに3000万円を35年返済で借りた場合、固定金利2%では99,379円/月の返済が変動金利1%では84,686円/月と△14,693円/月も月々の支払いが少なくて済み、年間では△176,316円、5年間では881,580円もの差が出る。その金額を見せられたら、変動金利を選びたくなるのが人情である。

 変動金利は半年毎に金利は変動しても5年間は支払額は変動しないので、間違いなく5年間の支払金額の差は動かない。5年後の支払額は25%の上限が決まっているので、5年後の返済額は最悪でも84,686円/月×1.25=105,857円/月である。

 当初10年間でみると変動金利の支払金額は最悪のケースでも84,686円×60回+105,857円×60回=11,432,580円。2%の固定金利では99,379円×120回=11,925,480円となるので、変動金利の方が当初10年間の支払い額は492,900円少なくて済む。ここまで聞いたら変動金利で「決まり」である。

 しかし、「支払額」だけでは済まない。問題は「元金」である。変動金利は5年間は支払金額が変わらないので、その期間に金利が上昇すると元金が予定通りに減らなくなる。
5年後返済額が25%以上上がらないのも返済に関してはメリットのようだが、元金の減少にとってはデメリットになる。

 変動金利を選ぶ人には金利が上がったら固定に切り替えようと考えている人もいるが、変動金利よりも固定金利の方が金利が高いので、条件変更をすると支払いが上がってしまう。借り換えも同様の上、諸費用も考えると尚更である。

 支払いが将来上がることを心配して、今支払いが上がる選択ができるだろうか?

 当初金利が低く支払金額が少ないことはメリットだが、その後の選択肢を失ってしまうことを認識しなければならない。もし不動産価値よりも元金が減っていなければ金融機関も貸してくれない。

 変動金利は金利下降局面で選択するのが鉄則だと言われるが、もう十分金利は底で上昇はしても下降局面でもない。(執筆者:竹下 秀一)