親の収入や学歴と子どもの学力について、おそらくは収入が多いほど学力が高いであろうことはずっと言われてきたが、このたびはじめて全国規模で調査した文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のアンケート結果によると「親の年収や学歴が高いほど、子どもの学力が高い傾向にある。」ことがわかった。

 とくに小学6年生の算数の知識活用を問う問題では、家庭の年収(共働き含む)が1500万円以上の子どもの正答率が71.5%であったのに対して、家庭の年収200万円未満は45.7%で所得の高低により最大26ポイントもの差が出ている。

 もう1つ気になるデータがある。2001年に生まれた子ども約5万人を追跡調査している厚生労働省「21世紀出生児縦断調査」によると、低所得家庭の子どもほど入院割合が高く、一度入院したあとの再入院割合も低所得家庭ほど高いことがわかっている。

 低所得家庭では、住環境や食事のバランスが悪いことから病気になりやすく、回復力が低い可能性がある。生活に追われる親は子どもの体調悪化や変化に気付かず、入院するほど悪化する前に医師に受診させる時間的な余裕すらないのではないかと考えられている。

 低所得家庭の子どもの学力と健康は絶望的なのか、と言われれば 決してそうではない。困難な境遇の子どもの将来に希望が持てるライフプラン・マネープランを立案するのがFPの腕の見せどころである。

 まずは、社会保険制度、住んでいる自治体の子育て支援制度を使いこなすこと。子どもの教育資金はかかる時期と金額の推測がつくので、その時期に合わせた貯蓄を考える。子どもの個性にあわせて、収入のどれくらいを教育投資として投下するか考える。子どもの個性によっては、お金よりも子どもに目を行き届くようにする余裕が必要になる場合がある。

 その収入を補う手段を考える必要もある。教育資金が足りない場合の調達方法と返済方法も考えておきたい。ただし、プランとは夢の実現手段であって、手段を実行していくのはあくまでも親と子である。

 今回の文部科学省の調査では、「幼少期に本の読み聞かせをしてもらった。」、「家庭で本や新聞を読む習慣がある。」、「勉強や成績について親と話す。」といったことが学力向上につながっていることも判明している。

 困難な境遇は親だけで抱え込まず、子どもと共有したほうがよい。独りで集める情報よりも複数で集める情報のほうが多いし、一緒に話すことで分析も加わり、最適な判断をすることもできる。「子どもは親の背中を見て育つ」が、その背中は苦悩に満ちていていい。所得の多寡にかかわらず、子どもを育てるということは苦悩の連続なのだから。(執筆者:太矢 香苗)