株式投資をはじめるときに、もっとも大切なこと

 今の日本、多くの経済情報が氾濫しています。株式投資についても多くの情報を入手することができます。そして、これらの情報を基に多くの方が株式投資に取り組んでいます。

 その一方で、「株式投資は難しい。」、「株式投資は眉唾ものだ。」、「まともな生活者は株式投資など行うべきでない。」、「ギャンブルと同じようなものだ。」など前向きとは言えない意見が聞かれることも事実です。

 株式投資を強く推奨する私の立場からは耳の痛いご意見ですが、この要因は、株式投資においてもっとも基本となる、もっとも大切な部分が欠如していることにあると思えてなりません。

 株式投資初心者はもちろん、株式投資がどうもうまくいかないと感じている経験者の方にも、株式投資のもっとも基本であり、もっとも大切なことをお伝えします。

株式投資の本質

 人類が資本主義経済を考え、続けてきた歴史の結果として、株式投資は今なお存在し無くてはならないものです。ここは「株式投資には存在価値、利用価値があるから」だと素直に受け入れましょう。進化論ではありませんが、不要であり混乱の元凶としかならないものは歴史の中で消滅しているはずだからです。

 ならば株式投資を行うにあたって、表面的な事象だけでなく、どこに存在価値、利用価値があったのかを考えてみることも悪くありません。

 前置きが長くなりましたが、ここで株式投資の本質をもう一度確認してみます。株式にどんな特徴があるのか。株式を保有すると、どんな権利を受け取れるのか。商法上では…などの難しいことは抜きにして、現実の生活に関連する主な4つのポイントをあげてみます。

株式投資における特徴
1. 企業へ出資をすることで、株主として企業関係者になり、間接的に経営(株主総会)に参加できる。
2. 企業活動の成果(=利益)が配当として株主に還元される。
3. 企業の価値が株式の価値につながるため、企業が成長すると保有株式の資産価値も高まる。
4. 流通(=中古)市場が準備されているため、いつでも他の投資家に転売できる。

 このような特徴が、企業にとっても投資家にとってもメリットのある仕組みであったため、株式投資は今なお注目され続けています。であれば先人たちが構築してきた、1~4までのすべての特徴を上手に使いながら暮らしに役立てる。これが株式投資に望まれる姿だと言えます。

 少子高齢化による所得水準の低下懸念、社会保障費用や税の負担拡大懸念、公的年金の不安定さへの懸念、悪質インフレの進行懸念などが払拭できない、これからの日本で生活する上では、資産形成の一助となる株式投資は欠かすことができないものであると私は考えています。

 さらに、自分の本職と兼用できる点、大きな収益が期待できる点から、上記中、特に1~3の特徴を暮らしに取り入れることが大切であると考えています。

 資本主義経済が発展する中で、株式投資は1~3を基本としながら利用されてきました。利用価値が十分にあったからです。

 一方、期限のある資金の貸し出しでなく、出資の形で資本を提供する株式投資は、現金化の必要が生じた場合に大きなデメリットを抱えています。このデメリットを解消し、より利便性を高めるための仕組みである4の機能も充実が図られてきました。

もっとも大切な気付きは「投資」と「トレード」の区別

 株式投資を暮らしの中に上手に使ってみよう。先人の知恵を利用してみようと考えた場合、「1~3を基本的な利用目的としながら、いざというときには補助的に4の流通市場を利用する。」このようなアプローチが、株式投資利用の本筋であると私は考えています。

 4の流通市場を英語では「セカンダリーマーケット」と呼びます。単なる順番の問題でなく、株式投資の概念においても4の流通市場は「セカンダリー」であると考えるべきです。

 ただ残念なことに、4の機能だけに注目し利用するケースが、今の日本には多く見られます。本筋と補助的な部分をバランスよく使うどころか、補助的な利用方法だけが独り歩きをして突っ走っている。そんな状態です。

 そして、独り歩きをしている補助的な部分が今や主流派として「俺こそが株式投資」と堂々と名乗り、その屋号を奪い取ってしまった。そんな状態です。

 もちろん、私は4の流通市場を、そして4だけを利用する方を、否定などしていません。市場参加者の層を厚くするためにも不可欠なことです。

 しかし、同じ「株式投資」でも、4の流通市場だけを利用する場合と1~3の本来の株式投資の特徴を利用する場合では、違う点が往々にして見られると言うことを忘れてはいけません。この点を知らずに株式投資を行うため多くの方が失敗をしている。そう思っています。

 この2つのどちらを選んでもらっても構いませんが、明確な点は性格の異なる2つを混同すると失敗の原因となります。そもそも利用目的が違うのですから、もっとも効率的に利用できる銘柄の選択基準も変わってきます。同じ上場企業でも、その性格や特徴は全て異なっているからです。

 区別のためにすべきこと! それは1~3の利用となる「株式投資」と4だけを利用する「株式を使ったトレード」に分けることです。

 「株式投資」と「株式を使ったトレード」のどちらが優れているのかに答えはありません。私がどちらかを矯正する性質のものではありません。各市場参加者の好みであり、性格や目的によって決めてもらうことです。

 しかし、株式投資を上手に暮らしの中に利用するためのもっとも大切な気付きが、「投資」と「株式を使ったトレード」を区別することであるとお伝えします。

 今の日本では1~4のすべてを「株式投資」とひとまとめにし、かつ4が圧倒的な勢力を誇っています。このため、多くの方が4こそが株式投資と思い込み、勘違いをしています。その結果、株式市場における個人投資家の影響力が年々小さくなってきているではないでしょうか。別の見方では、多くの方が1~3の素晴らしい特徴の利用機会を逃しているとも言えます。

 「株式投資」と「株式を使ったトレード」のどちらを暮らしに利用するのか? この点をまず明確にすることが、株式投資の基本であり大切な点です。そして、自分の方針が決定した後で、それぞれの目的に見合った具体的な手法や情報収集方法を勉強することです。この部分を疎かにすると結局損をするのはあなたであることをもう一度認識して下さい。(執筆者:山副 耕一)