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年金と老後の暮しについて FP協会の調査と私のケースを交えて

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年金と老後の暮しについて FP協会の調査と私のケースを交えて

 現在公立大学の他、私立大学の講師を務めているI氏は私宛メールで下記の如く述べています。皆様、下記のI氏の年金制度への見解に賛同しますか?

「今年3月末3度目のフィリピンから帰国し、首都マニラはものすごい活気です。建築ラッシュもハンパでない。そんなフィリピンの平均年齢は21歳。キレイな人口ピラミッドができています。それに比べて日本は…。はっきり言って、年金制度は崩壊しています。今のままで行くと、国があなたやあなたの大事な人たちの老後を守ってくれることはありません。個人が稼ぐ力を身につけなければならない時代です。だから、学びをお金に変える最短距離であるビジネス大学が今なら格安の値段で受講できます」

 と、ビジネス大学へのお誘いの枕詞として、先の見解を述べています。

 私は、I氏の講演会にも行き、懇親会では会話も交わし氏の数10冊ある中から、推薦する1冊を求め読みました。立派な内容の本でした。しかし皆さんは、氏の「年金制度の見解」をどう思いますか?

 賛同される方もいるかも知れませんが、私は背景を理解できるものの、「年金制度は崩壊しています」は言い過ぎであると思っています。特に公立大学の他の講師を務めているI氏の発言は年金制度の崩壊を助長するもので、若者の年金への誤った概念を植え付け、軽率であると思います。

 私は日本の年金制度が崩壊する時は、日本が崩壊する時だと思っています。日本は崩壊しますか?確かに制度の改革に時間がかかり、財源や世代間不均衡の問題は遅々として進まないきらいはありますが、私は政治家・官僚・国民の英知に少なからず期待していますし、信頼しています。今後、各位の英知ですこしずつあるべき姿に近づいてゆくと信じています。

 次にここ数か月の、年金改革の検討具合を日経新聞より確認して見ます。そして6月から少しずつ、5年に一度の検証の結果が出てきます。確り確認しましょう。

年金(公的年金、企業年金、個人年金)について

 年金について考察しますが、公的年金はご存知のように基礎年金と厚生年金・共済年金に分けられます。国民年金保険料・平成25年4月~平成16年1月分の
納付率は、59.4% です。(対前年同期比+1.8%)

公的年金

 2014年3月20日までに纏めた2012年度の財政状況によると、収入総額43兆円、支出50兆円で約7兆円の赤字。株高で積立金の運用益は増えているが積立金を取り崩して赤字分を埋める構造は持続。2015年4月には年金の支給額を自動的に減らす「マクロ経済スライド」が初めて発動する可能性がある。

(1) 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用を国債偏重から見直し。

 世界最大の年金基金。現在国内債6割、国内株、外国債、外国株各1割強。2月末カナダの公的年金基金と共同で5年間・最大2800億円投じる。新分野の投資の第一弾になる。今回の額は約130兆円の0.2%に過ぎない。幹部は今後プライベートエクイティ(PE)や不動産投資も検討すると言明。

(2) 今回の改革案では欧米並みに受給開始年齢を67か68才に上げることも検討中。田村厚労相は現在選択70才の引上げを75才も可能にしたいと言明。

(3) 5年に1度の改革案では、支え手を増やす方策として、保険料の納付期間を5年延ばす方向で検討を始める。

 もう一つの改革として、週20時間以上働き月収8.8万以上で501人以上の大企業で働く25万人のパート労働者を2016年10月から厚生年金に入れる。

(4) 2014年4月から公的年金制度に残る男女差の一つ遺族年金の支給対象に父子家庭にも広がった。年収が850万未満の人対象。 

企業年金・確定拠出年金(企業型・個人型)・確定給付年金・国民年金基金

(1) 厚生年金基金の解散加速(420万人)

 厚労省は3月18日全国に534ある厚生年金基金の内3分の1にあたる195基金が解散などの検討をしていると発表した。残っている基金の9割は中小企業が集まって作っている。厚労省は損失を抱える厚生年金基金には5年以内に解散を促す方針。企業年金を持たない中小企業が増える可能性大。

(2) 確定拠出年金(企業型の401k)確定拠出年金(個人型)

 現在前者は439万人が利用し、後者は16万人。注)人数は2013年3月末現在(企業型)企業がその従業員のために資産管理機関に拠出した掛金を、従業員ごとに積み立て、従業員自らが運営管理機関を通じて資産管理機関に運用の指図を行い、老齢厚生年金の上乗せ給付を行うもの。拠出限度額の枠内かつ事業主の掛金を越えない範囲で、加入者の拠出(マッチング拠出)が可能で掛金・運用益が非課税。

(個人型)企業の従業員のうち企業年金がない人や自営業者などが、自ら国民年金基金連合会に拠出した掛金を、加入者ごとに積み立て、加入者自らが運営管理機関を通じて同連合会の委託を受けた金融機関に運用の指図を行い、老齢厚生年金の上乗せ給付を行うもの。掛金所得控除。

(3) 確定給付年金(796万人)

 (規約型)労使が合意した年金規約に基づき、企業と信託会社・生命保険会社などが契約を結んで、母体企業の外で年金資金を管理・運用し、老齢厚生年金の上乗せ給付を行うもの。(基金型)母体企業とは別の法人格を有する基金を設立した上で、その基金が年金資産を管理・運用し、老齢厚生年金の上乗せ給付を行うもの。

(4) 国民年金基金(49万人)

医師や弁護士、自営業者らを対象とする基金は2014年4月以降に加入する人の保険料を7%程度引き上げる。利回りは1.75%→1.5%へ。制度の再設計が急務。全国47の地域型と25の職種型が有る。

個人年金

 生命保険会社等を個人が積立て、ある年齢に達した時から年金を受給する。

 かんぽ生命の年金額、60万を10年、90万を10年受給する例では、男女共50歳加入例、月払い47,400円(月払総額5,700万)71,100円(〃8、500 万)他、All About や 価格コム 保険市場等にて条件を入力して検索できます。

FP協会の調査と私の年金

老後の暮しを考える時、誰でもが「年金」を第一に考えると思います。

 日本FP協会の調査(注1)でも、年金(公的年金、個人年金、企業年金)と働いて得る、資産収入(家賃収入、預金の取り崩し・配当等)に大別出来ますが、「年金」が主力と言っても過言ではないと思います。

(注1)「老後に予定している収入源」(2010調査・複数回答)

1)公的年金            74.4%
2)自ら働いて得る収入       46.8%
3)個人年金・保険金        42.1%
4)預貯金の取り崩し        40.7%
5)企業年金            28.9%
6)配偶者の働いて得る収入     18.0%
7)配当金・利子          13.3%
8)所有不動産の家賃収入       5.8% 

私の年金のケース

 今から10数年前、サラリーマン生活を卒業した私は、当時日々の仕事をこなすのに精一杯で、将来の自分の生活の対策を考えるゆとりは有りませんでした。しかし、そんな中でも私なりの決断を2回しました。

 一つは、定年時の退職金をどれだけ企業年金に入れるかの決断でした。

 選択肢は、0%、25%、50%、75%、100%でした。私は多くの人と同じように50%を選びましたが、中には1001%の人も(50以上は適格年金でしたが)、0%の人も居ましたが、その人は今どんな思いでしょうか。

 前述のI氏と同様に、年金が信頼できないと当時も言われていたのを思い出します。企業年金と一言で言いますと、中身は100企業100種だと思います。その年金基金も代行返上が騒がれ出した2004年3月末解散し、約一年の清算手続きを経て、現在は厚生年金連合会から受給しています。

 二つ目は50歳当時、年金のことが頭をよぎり「年金は自分で作りなさい」都祐一著・KKロングセラーズ を求め、保険会社へ月一定額を10年間積立て、65才から年一度受給していますが、15年保障の終身であります。

 そして現在は、この年金で、何とか生活が出来ていることを感謝している次第です。(執筆者:河村 富夫)

参考文献
日本経済新聞 2014年3,4月「年金」記事
厚生労働省 「年金制度のポイント」平成26年
社会保障亡国論 鈴木亘著  講談社現代新書

《河村 富夫》
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NPO法人 FP武蔵野グループ理事  FPオフィス武蔵野・代表 静岡県袋井市浅羽生、新潟大学工学部卒業。2002年ファイナンシャルランナーとして独立し、現在CFP認定者・1級FP技能士、HLP(ハウジングライフプランナー)。P-PB(プライマリー・プライベイト・バンカー)。スタデイグループに3カ所所属。資産運用、リタアメントプラン、老人ホーム、相続遺言、を主に講演活動・相談業務を実施。5年前再婚を期に自宅建替え実施。水泳コーチ・スポーツ指導員として市民教室で11年間指導歴。 寄稿者にメッセージを送る

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