目次
1. 本年末までの期限付きの贈与税の非課税制度
「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与に関する非課税制度」は、2012年の税制改正により延長が決定された制度であり、本年末までに、20歳以上の者が父母・祖父母などの直系尊属から住宅資金等の贈与を受けた場合、500万円までは贈与税が非課税となる制度である。また、省エネ住宅の場合は、1,000万円までは贈与税が非課税となる。
若者世代への資金移転をすすめるための国の施策であり、500万円までは全く贈与税がかからないという意味で利用価値が高い制度であることは間違いない。
2. 上手に利用するためにも、注意点を理解しておきたい
(1) 配偶者の父母や祖父母は直系尊属には当たらない
贈与者である直系尊属とは父母や祖父母などであるが、配偶者の父母や祖父母は直系尊属にはあたらないので、これらの人からの贈与については制度の適用が受けられない(養親の場合は、直系尊属となる)。
(2) 家屋の贈与を受けた場合や、贈与を受けた金銭を住宅借入金の返済に充てた場合などは、制度の適用外
家屋自体の贈与や贈与を受けた金銭を住宅ローン返済に充てた場合は、対象外である。
(3) 家屋の引渡しが来年の3月15日以降になる場合
分譲マンションの購入なども家屋の「取得」に該当するが、贈与を受けた住宅取得等資金を手付金などの支払に充てたとしても、来年の3月15日までに引渡しを受けていなければ、制度の適用を受けることはできない。
(4) この非課税制度を利用した生前贈与は、相続時に加算されない
よく似た制度である相続時精算課税制度(住宅取得等資金に係る特例)を使った生前贈与財産は、相続時に精算されて課税価額に組み込まれる。
だが、直系尊属からの住宅資金の贈与を受けることにより贈与税が非課税となった金額は、その贈与者に係る相続税の計算において、相続税の課税価格に加算されない。(執筆者:釜口 博)