目次
解説
親会社として経営不振の子会社を金銭的に支援した場合、税務の取扱いにおいては、「寄付金と認定されるか否か」がポイントとなります。
1. 子会社に対する支援の具体例
通常、子会社の支援の形としては、具体的には、「金銭の無償貸付」「金銭の低利率での貸付」「子会社に対する債権の放棄」などが考えられます。
2. 税務上の取扱い
(原則)経済的な利益の供与として「寄付金」課税の対象
(特例)下記の「相当な理由」などがある場合、寄付金に該当しない
✔子会社が自力での再建は不可能であること
✔再建することにより、債権の回収可能性が高まり、倒産した場合に比べて損失が軽減されること。
✔損失負担額は再建のための必要最低額であることなど
3. 寄付金に該当してしまう場合
どうしても寄付金に該当してしまう場合、例えば、別の受皿会社を作って、その受皿会社に子会社の資産とそれに相当する負債を譲渡し、残った債務超過子会社を清算する方法が考えられます。ただし、下記の点に注意が必要です。
✔債務超過の子会社と受皿会社が実質的に同一と認定されないこと
✔事業譲渡するタイミングをいつにするかを慎重に検討すること
✔清算する際には、特別清算を選択すること
✔子会社に、繰越欠損金と資産の含み損が多額にある場合は適格合併を検討すること
要するに…
親会社が経営不振におちいっている子会社を金銭的に支援するのは、至極当然な行為と思いますが、税務上はこの行為についても、原則寄付金として課税されます。なお、100%グループ法人間で子会社支援で、寄付金と認定された場合は、グループ法人税制が適用されることから、支援した親会社では損金の額に算入されず、支援を受けた子会社では益金不算入となります。(執筆者:小嶋 大志)