本年より、いよいよ相続税の増税が施行されました。50年に1度の大改正と呼ばれ、実務家の間では議論しつくされたような感慨がありますが、その細かな内容までは、一般にはまだ認知されていない部分もあるようです。

 相続税は、納税者側が納税額を計算し、税務署に申告する「申告納税制度」です。固定資産税のように、自動的に役所から通知が届くわけではありません。もっとも、税務署は亡くなった方の不動産等の財産内容を把握していますから、申告義務があるのに申告しなかった場合、相続が発生して数か月後に「お尋ね」等が届く場合があります。

 相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。また、相続税申告のための作業には時間がかかるものもあります。「お尋ね」が届かないからといって放っておくと、申告期限間際になって慌てることになりかねません。

 相続する財産が明らかに基礎控除額以下であるならともかく、微妙なラインなら、少なくとも申告の必要があるかどうかくらいは相続が起こる前に確認しておきましょう。

 相続税をいくら払わなければならないのか、あらかじめ把握しておけば安心です。それを知るためには、相続財産の内容を知ることが先決ですが、中でも申告義務の判定や納税額に最も大きな影響を与えるのは、多くの場合不動産です。

 不動産を所有していれば、毎年4~5月頃に固定資産税の課税明細書が届いているかと思いますので、ある程度の目安にすることができます。相続税申告における土地の価額は、相続税特有の評価方法により計算しますので、固定資産税評価額とは異なる可能性が高いですが、一般に固定資産税評価額は相続税評価額よりも低く設定されています。

 一般的な宅地の場合、固定資産税評価額×1.2で相続税評価額を概算することができますが、できることならきちんとした相続税評価額を知っておくのが望ましいでしょう。

 巷間にはいろいろな相続対策があふれていますが、今年より新たな課税対象とされる方々の中には、「小規模宅地等の特例」等の特例の適用により、納税額はゼロとなる方が相当数いらっしゃると思われます(ただし、特例適用のためには相続税申告が必要です)。

 相続対策には不動産や保険の活用、生前贈与など様々なものがありますが、実際それらを実行するかどうか以前に、現状の財産内容とその価値を正確に把握することも、立派な相続対策のひとつです。ぜひ、早めに取り組んでいただきたいと思います。(執筆者:髙原 誠)