~アメリカに亡霊が出る―ピケティという亡霊が。~
~フランス人の経済学者トマ・ピケティがワシントンにやって来ると、
ロックスター並みの聴衆が集まりました。~

 先頃、日本にも来日し、話題を呼んだ『トマ・ピケティ』 その彼の著書『21世紀の資本』は世界的な大ベストセラー。上記の書き出しは、トマ・ピケティ著書の『21世紀の資本』ではなく、その解説本、池田信夫 著『日本人のためのピケティ入門』の冒頭です。


≪トマ・ピケティ氏 画像の出典: livedoor.blogimg.jp

 『21世紀の資本』は700ページにも及ぶ経済専門書にもかかわらず、何故こんなに話題になり『トマ・ピケティ』は世界的なブームにまでなったのか。

 この本の主題は、「r > g」。「r」は、資本(財産)からの収益率「g」は、国民所得の増加率。技術的フロンティアに到達した国の経済成長率は1%~1.5%程度に落ち着くのに対し、資産からの収益は4%~5%得られる。

 つまり、r=株や債券、投資信託、不動産等からのリターンは、g=働いて得られる収入より大きい。ピケティ氏は、過去200年間に遡り、検証の結果、資本主義では常に「r > g」であると、言っております。

 そこから見えてくるのは、ほら、アレです。“我々は99%”とプラカードを掲げた、ウォール街のデモは、『格差』拡大に抗議するものでした。働いて得られる収入は伸び率ゼロ。ところが、資産を持っている人はそれだけで収益が得られる。

 ちなみに、1月26日の日経新聞朝刊(9面特集)には、米CEO報酬ランキングTOP30が出ておりました。

1位 1億4195万ドル
30位 3049万ドル

 現在の為替レートを掛けてみて下さい。資産ではなく、年収ですよ。私には、天文学的数字です。

 米国ほどではないにせよ、日本も他の国々も、(資産を)持てる者と、持たざる者の『格差』拡大を意識するようになっていたところに、ピケティ著『21世紀の資本』は、論証を与え、こうした状態が続くことへの危惧が共有され、世界的なブームを呼んでいるのではないでしょうか

 ピケティ氏は、今のグローバル資本主義を放置することの弊害を指摘し『資産格差』に対して、「グローバルな累進課税(資産税)」と金融情報の共有を提案しております。

 解説本を斜め読みした程度でおこがましい限りですが、「r > g」であるなら、せめて、庶民にもできること、昨年から始まったNISA(少額投資非課税制度)や、今後制度拡充が予定されている「確定拠出年金」を見逃す手はありません。「NISA」や「確定拠出年金」は「r > g」の門を叩く重要なツールになり得ます。(執筆者:平賀 初恵)