投資活動に携わる人なら誰もが気になる、米雇用統計。統計数値次第で、今後のアメリカと世界の景気の行方を左右すると言っても過言ではありません。

米雇用統計は、基本的に毎月第一金曜日に発表されますが(4月分は5月8日金曜日に発表)、それにさきがけて「ADP雇用統計」という経済指標が発表されるのはご存知でしょうか?

ADP雇用統計は米雇用統計の前哨戦となり、ADP雇用統計の2日後に発表される米雇用統計を予測する経済指標と言われています。そこで、ADP雇用統計がどの程度参考になるのか、ちょっと調べてみました。

ADP雇用統計とは

ADP雇用統計は、米ADP民間雇用者数とも呼ばれていますが、これはアメリカの民間会社「ADP社」が発表する雇用調査レポートです。米・労働省が発表する米雇用統計の2日前の水曜日に発表されます。

ADP雇用統計は民間会社が発表するのに対し、米雇用統計は米政府が発表する、という違いがあります。データ調査方法や調査機関の違いから、統計数値に差が生じることがあるようです。

ADP雇用統計を元に取引すれば儲けられる?

ここで考えたいのは、ADP雇用統計が2日後の米雇用統計の前哨戦と言われていることについて。

道理から言えば、ADP雇用統計が信頼できる数値ならば、米雇用統計の数値を容易に予測できるはずです。ということは、以下のような取引が可能になるはずです。

1)ADP雇用統計の数値を元に、米雇用統計の指標結果をあらかじめ予測
2)雇用者数増加ならば米ドルが買われ円安ドル高、雇用者数減少ならば円高ドル安
3)米雇用統計前の為替レートを鑑みながら、ドルを仕込んでおく
4)発表後、利益確定

このADP雇用統計数値を元に取引する手法は、果たして有効なのでしょうか?

次に見てみたいのが、過去1年間のADP雇用統計結果と米雇用統計(非農業部門雇用者数)データです。

2014年1月の数値を基準とし、青色の数値が前月比で雇用者数が増加、赤色は前月比で雇用者数が減少したことを示しています。ADP雇用統計数値と米雇用統計数値は、どの程度一致しているでしょうか?

ご覧の通り、雇用者数増加・減少のデータが一致したのは、14回中8回。確率で言うと、57.1%です。

57.1%という数値を高いと見るか否か。私見ですが、高いとは言えないと思います。雇用者数が増加するか、それとも減少か、2つの選択肢からやみくもに一つを選んだ場合、当る確率は50%。それよりもわずかに高い数値となります。

まとめ

・ADP雇用統計は米雇用統計の前哨戦
・ADP雇用統計は民間企業の、米雇用統計は米政府の発表数値
・ADP雇用統計と米雇用統計の雇用者数増加/減少データが一致する確率は、57.1%
・ADP雇用統計は参考程度にするのがベター

さて、次回ADP雇用統計が発表されるのは、5月6日(水)、日本時間22:15の予定です。雇用統計の前哨戦ではありますが、統計数値は参考程度に。(執筆者:堀 聖人)