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相続税に詳しいベテランの税理士が少ない3つの理由

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相続税に詳しいベテランの税理士が少ない3つの理由
相続税の専門家を見つける、正確に表現すると相続税の申告を依頼するのに、本当に役に立つ税理士はどうしたら見つけられるのか。その手の税理士がゴロゴロしているのなら手間が省けるのですが、どうも自他ともに十分な相続税の専門知識と経験を有する税理士というのは少ないようです。
その原因は…。

相続税に詳しいベテランの税理士が少ない3つの理由

1. 相続税の仕事自体がそれほど多くない

高齢化に伴い、年間死亡者数は徐々に増えてはいますが、平成25年中に亡くなった方は127万人、そのうち相続税の課税対象となった被相続人の数は54,000人ほどです。全国で登録している税理士数はなんと75,000人、税理士一人当たり0.72件にしかなりません。

平成27年の基礎控除の引下げで被相続人の数が5割増しになったとしても、登録税理士1人当たりの件数は1.08件です(54,000×1.5÷75,000=1.08)。

意外に思われるかもしれませんが、相続税の申告書なんて、見たことも書いたこともないなんていう税理士はそれほど珍しくはないのです(多くの税理士は、主に法人税・所得税・消費税の仕事をしているのです。)。

2. 税理士試験に民法がない

いまひとつの理由は、「税理士試験の構成」。いわゆる資産税と言われる分野、相続税や譲渡所得の基礎となる法律は民法ですが、税理士の試験科目には民法がないのです。

「税理士のための民法」などという本はありますが、法学部の学生でも手を焼く民法を一から理解しようとするのは(それも独学に近い状態で)並大抵のことではありません

税理士試験の主要科目は簿記と財務諸表論なので、税理士には商学部や経済学部出身者が多い。「物権と債権の違いは?」などと聞かれても、もちろんチンプンカンプン。「相続させる旨の遺言」などと言われた日には、あさっての方向を向いている税理士だって珍しくはないのです。

3. 財産評価が難しい

三つ目は、相続税の申告に不可欠な「財産評価が難しい」ことです。

不動産の評価には、民法の物権編の知識が不可欠であり、都市計画に関する法令だって押さえておかなければなりません。加えて、非上場株式の評価は、国税庁が定める財産評価基本通達を理解しておくが必要あり、更に、いわゆる「借地権課税」の通達に文字どおり通じていなければなりません。多くの税理士にとって、日ごろ滅多にお目に係れない仕事のために、習得しなければならない専門知識の量が多すぎるのです。(執筆者:田中 耕司)

《田中 耕司》
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田中 耕司

田中 耕司

税理士法人日本税務総研 代表税理士 1975年 学習院大学法学部政治学科卒、大阪国税局にて相続税・贈与税、譲渡所得、大規模法人等の法人税・消費税調査を担当する。その間、大阪国税不服審判所において、3年、審査事務に従事。2000年、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)に転職。プライベートバンキング部の前身にあたる資産運用コンサルチーム(2003年よりプライベートバンキング部)に5年間勤務。上場企業や中小企業の会計実務、不服審査実務にも通じ、金融商品や信託税制にも明るい資産税の専門家。2005年9月から現職。 <保有資格>:税理士 寄稿者にメッセージを送る

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