政策金利を含めた金融政策に反応して株価が動いたり為替レートが変動したりしますが、この金融政策を決めているのはハト派とタカ派からなる政策委員たちです。

ですから、ハト派とタカ派とは何か理解しておくことは、今後の市場動向を予測する上で非常に重要なキーポイントとなります。

この記事の結論

金融政策におけるハト派は保守派、タカ派は強硬派または急進派を意味します。

日銀政策委員会メンバーに関しては、誰がハト派orタカ派であるかではなく、誰が理論派or実務派であるかの観点で見る必要があります。

ハト派とタカ派とは?


初めに理解しておきたいのは、ハト派とタカ派の意味です。

【ハト派】
鳩(ハト)に属するという意味のハト派ですが、ハト派は一般的に保守的で景気動向に対して慎重です。たいてい金融緩和を好みます

【タカ派】
鷹(タカ)に属するという意味のタカ派ですが、タカ派は一般的に景気動向に対し強気な姿勢です。保守的なハト派とは反対で、急進派、革新派とも言います。たいてい金融引き締めを推進します

本来、ハト派やタカ派という言葉は政治用語でした。平和の象徴とも言われているハト、つまり穏健であるハト派に対し、武力行使も辞さない構えを示すのが強硬派であるタカ派です。

そのハト派とタカ派という言葉を各国金融政策に関わる人たちに当てはめた、というわけですね。

15年11月末時点での日銀政策委員会メンバー9人

各国の中央銀行は、その国の金融政策を舵取り政策金利を設定しています。その金融政策を決めるのは、アメリカであればFRBのFOMC、日本では日本銀行の政策委員会になります。

それら金融政策を決めるメンバーがハト派かタカ派によって、決定される金融政策が違ってきます。ですから、それらメンバーが何派なのかを知っておくと、今後の市場動向が予測しやすいわけですね。

ちなみに、2015年11月末時点での日銀政策委員会のメンバーは9人です。日本銀行のホームページから画像をお借りして、どんな9人なのか見てみます。


≪日銀政策委員会メンバー 
画像元:https://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/index.htm/≫

錚々たるメンバーが出揃っていますね。では、このメンバーの誰がハト派でタカ派なのでしょうか?

結論を申し上げますと、誰がハトでタカかという視点よりも、メンバーが理論派か実務派かという観点で考えたほうが良さそうです。

ハト派orタカ派ではなく、理論派or実務派か


たとえば、今でも記憶に新しい2014年10月31日、日銀政策委員会は追加金融緩和の決定を発表しました。市場にとってビックサプライズとなり、これが引き金となり株価再上昇、ドル円レートも一気に円安へ動きました。

この追加金融緩和ですが、日銀政策委員会は満場一致で追加緩和を決めたわけではありません。実は賛成5人反対4人と、たった1票の差で追加緩和決定となったのです。

ここで注目したいのは、当時のメンバーの賛否結果です。

黒田総裁(理論派):賛成
岩田副総裁(理論派):賛成
中曽副総裁(理論派):賛成
宮尾氏(理論派):賛成
白井氏(理論派):賛成
森本氏(実務派):反対
石田氏(実務派):反対
佐藤氏(実務派):反対
木内氏(実務派):反対

ご覧の通り、学界出身者や日銀執行部で構成される理論派は追加緩和を賛成とし、逆に企業出やエコノミストたちで構成される実務派は反対にまわったのです。

実務派の中でも本来はハト派で金融緩和に肯定的な方の一部も、実務派として反対したということでしょう。

つまり、現在の日銀政策委員会メンバーを見るときは、ハト派かタカ派かという観点からではなく、理論派か実務派かという観点でみると、今後の金融政策を予測しやすいと思われます。

現メンバーの構成は?


では、2015年11月時点での日銀政策委員会メンバーの構成はどのようになっているのでしょうか?

黒田総裁:理論派
岩田副総裁:理論派
中曽副総裁:理論派
白井氏:理論派
石田氏:実務派
佐藤氏:実務派
木内氏:実務派
原田氏:理論派
布野氏:実務派

2名(宮尾氏と森尾氏)の任期満了にともない、新たに原田氏と布野氏が政策委員会メンバーに選出されました。

原田氏は経済企画庁や大蔵省にもいたことのある理論派であるのに対し、布野氏はトヨタ自動車出の実務派です。メンバー入れ替えがありましたが、相変わらずの理論派5人vs実務派4人で構成されています

もし、日本の景気が足踏みまたは下振れするようなことがあれば追加金融緩和がお題になる可能性が高いと思われますが、セオリー通りなら14年10月と同様、理論派が実務派よりも数で上回るため追加緩和になるかもしれません

しかし、実務派の中から一人でも ”反逆者” が出たとしたら、もしかしたら市場が期待する追加緩和が実行されない可能性もあるでしょう。

いずれにしろ、今後の日本の景気の舵取りを担う日銀政策委員会メンバーの9人には、今後の金融政策をしっかり話し合ってもらいたいですね。

ベストと言える金融政策を制定していただき、日本の景気が “タカ” のように高く舞い上がることを願っています。(執筆者:堀 聖人)