原油価格が1バレル30ドルを割り込みました。執筆時点での原油先物価格はなんとか30ドル台にリバウンドしているものの、今後は1バレル20ドル台で推移するというのが大方の予測となっています。

なぜここまで原油相場が下落したのか、世界同時株安とどう関係しているのか、解説したいと思います。

この記事の結論

中国景気後退、アメリカ利上げ、米シェール革命、対イラン経済制裁解除という4つの理由が絡み合い、原油安と世界株安が進行しています。世界経済好転の鍵を握っているのは中国だと見ています。

原油安の要因4つ


原油安が一段と進行していますが、その主な理由は4つあり、それらが絡み合って負のスパイラルに陥っている状況です。

原油安の主な理由4つは、以下の通りです。

1.中国景気後退

中国景気後退が原油安を引き起こしている最大の理由と言っても過言ではありません。

中国は世界第2位の経済大国で、景気が良いときは石油の消費量が多くなります。2014年度のデータになりますが、世界の石油消費量の国別順位をご覧ください。

1位:米国(836,070,000トン)
2位:中国(520,261,000トン)
3位:日本(196,850,000トン)
4位:インド(180,684,000トン)
5位:ロシア(148,120,000トン)
(出典:BP http://www.bp.com/)

石油消費量世界第2位は中国です。その中国の景気が後退となれば、消費される石油量が少なくなるのは必至です。

2.米利上げの副作用

2015年12月、アメリカは大規模金融緩和政策と別れを告げ、金利0.25~0.50%への利上げを決定。アメリカ経済は新たなステージに突入しました。

アメリカ利上げで大きな影響を受けているのが、新興国です。市場がアメリカ利上げを意識し始めたときから言われていたことですが、アメリカが利上げを実行すると新興国への投資マネーがアメリカに流れます。

水は高いところから低いところへ流れますが、金利はその逆で、低いところから高いところへ流れるのです。

預金金利が高い銀行が好まれるのと同様、政策金利が高い国で投資をしたいと思うのは自然な流れです。

また、経済基盤が不安定な新興国に投資をするより、ほんのわずか金利が低くても経済大国のアメリカに投資したほうが安全と、市場は思うわけです。

アメリカ利上げにより人気急落の新興国は経済面で打撃を受け、不景気の波との戦いに。結果、石油の需要が減少し、原油価格下落に拍車をかけることになっています。

3.イラン経済制裁解除

16日、欧米は対イラン経済制裁解除を発表しました。イランの経済制裁が解かれると、予測されるのはイラン産原油の輸出拡大です。

実際、「制裁解除後、原油輸出を増やす」旨を、イランの石油相は表明しています。

すでに170万バレルほどの過剰供給(2015年10~12月期)になっている原油市場ですが、イランが原油輸出を実行するなら、原油市場の供給過多が増すばかり。

対イラン経済制裁解除も一段の原油安を招いているのです。

4.米シェールオイルの台頭

新エネルギー、米シェールオイルが原油市場に宣戦布告。シェール革命が原油安の要因となっています。

IEA(国際エネルギー機関)はシェールオイルの生産量は、あと4年ほどで頭打ちになると予測しているものの、今後の展開は見えにくいのが現状です。

石油があらためて必要とされていくのか、それともシェールオイルがエネルギーの基軸になっていくのか。少なくとも、現時点で、米シェールオイルの台頭と勢いを無視することはできません。

世界株安からの回復は中国次第か


原油安4つの要因が絡み合い、結果、世界株安が生じています。

今の世界経済を良くも悪くも動かしているのは中国であり、この深刻な状況を打破できるのも、中国、だと見ています。

12月分の米雇用統計が発表されてから間もない1月9日、日経新聞の清水功哉氏はツイッターで「今の世界経済を動かしているのは米国ではなく中国」と、コメントしています。

経済の “中心” にいる中国。先にあげたように、石油消費量世界第2位の中国。その中国が如何に景気対策を打ち出すか、これに原油安と世界株安の動向がかかっているのです。

中国が景気刺激策を打ち出し、今後の展開にある程度の目途がつけば、原油価格下落の歯止めとなり、市場の “対中国不安” が引き起こしている世界株安も好転に向かうと思われます。

中国の一挙手一投足に注目が集まる世界経済。今後も中国の動向から目が離せません。(執筆者:堀 聖人)