12日の米国市場では一時フェイスブック株が急落。前日比8.40ドル安の179.37ドルで引けました。

パーセンテージで見ても、実に5%に迫る大幅下落。取引時間中には、2016年11月以来の下落を記録しました。

昨年初より堅調な推移を見せてきたフェイスブック株。今後の展開はどうなるのでしょうか。

直近の下落理由はニュースフィードの方針転換に起因

直近のフェイスブック株の下落は、ニュースフィードに表示される内容を方針転換したことに起因します。

企業やメディアの広告よりも、よりユーザーの投稿表示を重視するよう方針が転換されました。

この変化は、フェイスブックのユーザーに滞在時間の減少をもたらすと想定されています。よって、株価が大幅下落した訳です。

一方で、ザッカーバーグCEOはこの転換をポジティブに評価。中長期的には、ユーザーの満足度向上、企業業績にもプラスに作用すると予想しています。

モバイルシフトが功を奏す。業績は好調推移。

いまやフェイスブックは世界一の広告企業と言っても過言ではありません。

13億7,000万人のデイリーアクティブユーザーをターゲットに、各企業がフェイスブック上での広告掲載に躍起になっています。

CEOが増えすぎた広告表示を少しずつ抑える発言をしていることからも、フェイスブック上においては、今後、急激な広告収入増は見込めないかもしれません。

一方で、昨年発表された4-6月期の決算を見ると、インスタグラムからの広告収入が業績向上に大きく寄与しています。

これを背景に売上高は1兆円越え。今後は、メッセンジャーやインスタグラムが、成長が鈍化したフェイスブックの広告収入をカバーする展開になるでしょう。

2018年末には220ドルに到達するとの声も


昨夏より、証券各社がフェイスブックの目標株価を相次いで引き上げています。

JPモルガンは2018年12月までの目標株価を210ドルとし、クレディスイスも年末には220ドルまで目標株価を引き上げています。

ここもとのPERとEPS(ブルームバーグのホームページを参照)から換算した理論株価が170ドル程度であることを鑑みると、業績の成長率から見たバリューエーションはまだ割安水準にあると想定されます。

ニュースフィードやセキュリティ強化、さらには、人員増といった、株価を押し下げる要因はあるものの、直近の業績推移を見れば、ここからの押し目は積極的に拾いたいところでしょう。

フェイスブックは今後の成長にも期待できそうです。(執筆者:徳田 仁美)