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「自己都合退職」でもすぐに失業給付を受け取れるケース ポイントは「退職した理由」にある

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「自己都合退職」でもすぐに失業給付を受け取れるケース ポイントは「退職した理由」にある

夫の転勤で退職したA子さん

A子さんのご主人が、4月から東京から大阪への転勤を命じられました。

A子さん夫妻は結婚2年目で現在は東京在住です。転勤に伴いA子さんも一緒に大阪へ引っ越すことにしました。

結婚前から勤めていた営業事務の仕事は3月31日で退職。

大阪でも同じような仕事を探す予定でしたが、初めて住む大阪での生活にはさまざまな不安があります。

焦って仕事を探すよりは当面の生活費も失業給付があるため「自分の希望する仕事をじっくり探そう」と思っていました。

ところが、会社の事務担当から

「自己都合で退職する場合は、3か月間は失業給付がもらえないよ」

と言われました。

あてにしていた失業給付がすぐに受給できないことを知らされ、A子さんはすっかり落ち込んでしまいました。

旦那の転勤で仕事を辞めた

3か月の給付制限とは

失業給付は、原則としてすぐ出るものではありません

「失業」という保険事故に対する生活補償が目的であるため、失業に至った原因によって給付制限がかけられています

それでは給付制限はどのような場合にかかるのでしょうか。

(1) 正当な理由なく自己都合により退職した場合

(2) 自己の責めに帰すべき重大な事由によって解雇された場合

上記(1)、(2) の場合は3か月間の給付制限がかかります。

A子さんの会社の事務担当は、(1) に該当するため、3か月の給付制限がかかると思ってA子さんに伝えたようです。

原則として、自己都合の退職の場合は3か月の給付制限がかかります

ただし、(1) にある通り「正当な理由」がある場合は、自己都合であっても給付制限がかからない場合があるのです。

「正当な理由」に該当する場合(一部)

・ 結婚に伴う住所の変更(退職から住所の移転までおおむね1か月以内であること)

・ 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼

・ 事業所の通勤困難な地への移転( 船員については、「船舶に乗船すべき場所の変更」)

・ 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと

・ 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等

・ 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避

・ 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避

A子さんのケースでは、ご主人の転勤により別居を回避するためのものであり、

「配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避」

に該当しそうです。

ハローワークで退職理由を説明する

ハローワークで退職理由を説明する

離職票を住所地の管轄するハローワークへ届出ると、窓口で退職理由の確認をされます。

その際に「退職に至った経緯」を伝えたうえで正当な理由のある自己都合として認められれば、給付制限がかからずに失業給付がすぐに支給されるのです。

失業給付を受け取りながら仕事を探せるため、A子さんも安心です。

年度が変わるこの時期、転勤や出向など異動が多くなります。

退職の経緯によっては自己都合だと思っていても、正当な理由のある自己都合に該当する場合もあります。

給付制限がかかるか、かからないかの判断は、上記のような判断基準のもと、住所地の管轄するハローワークの判断に委ねられているため、個別の案件については窓口に相談してみるとよいでしょう。(執筆者:土井 裕介)

《土井 裕介》
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土井 裕介

土井 裕介

1980年1月12日生まれ。2007年11月に社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所入所。2010年に社会保険労務士登録。2013年に特定社会保険労務士付記。数名規模から数千人規模の事業規模、業種ともさまざまなクライアントを担当し、サテライト勤務や在宅勤務をはじめとしたテレワークを生かした働き方のアドバイスを得意とする。また、M&Aの案件も数多く担当し、クライアントのニーズに応えたサービスを提供する。月刊人事マネジメント3月号 働き方激変時代の人事対策~転換期の重要トピックと求められる対応指針~では「ハラスメント問題への対応」の執筆を担当した。 <保有資格>:特定社会保険労務士 寄稿者にメッセージを送る

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