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6月は住民税の切り替わりの時期

勤務先や個人のお手元に住民税の納付書が届いているはずです。
ざっと金額を見て
と感じた人もいるかもしれません。
住民税が増える原因は所得税と同じ
その増税感の原因は、すでに体験済みのはずです。
というのも、住民税の課税ベースとなる所得額は、所得税の課税ベースとなる所得とほぼ同じだからです。
住民税も所得税と同じく、10種類の所得について計算し、所得税とほぼ同じような控除システムを持っています。
両者に大きな違いがあるとしたら、課税のタイミングと課税方式、税率くらいです。
つまり、所得税ですでに増税を経験しているはずなのですが、
・ 年末調整の数字を見ただけで終わっているためにあまり体感覚に残っていない
・ 確定申告の重圧からの解放感が大きかったか
のどちらかで、増税の事実を忘れていた可能性があるのです。
次の原因を見ると「そういえば」と思い出すかもしれません。
原因1:扶養対象の家族が減った

もっとも多いのが「扶養対象となる家族が減った」ことです。
高校生や大学生だった子どもが就職して扶養から外れたり、あるいは妻が就職して稼いだりするようになった場合、年末調整や確定申告でこういった異動を申告しているはずです。
また、生活費を仕送りしたり同居していたりした高齢の親が前年中に亡くなった場合も、扶養家族が減ったことになるので、その分税金は上がります。
原因2:住宅ローン控除の適用がなくなった
わりと気づきにくいのが「住宅ローン控除の適用が終わった」ケースです。
住宅ローン控除の制度は所得税の制度であって、原則として住民税から差し引かれることはないのですが、所得税で差し引いても引き切れなかった金額があった場合、住民税からも控除分が差し引かれることとなっています。
所得があまり高くない世帯ではもしかしたら住民税でも住宅ローン控除の恩恵を受けていたかもしれません。
住宅ローンに関しては、返済が長々と続いても、控除の適用を受けられる期間は10年あるいは15年と決まっています。
しかも、住宅ローン控除は税額控除なので、所得がそれほど大きくない世帯であればあるほど節税効果は大きいものです。
その分、住宅ローン控除の恩恵がなくなると、反動で住民税の負担感が増すのかもしれません。
原因3.副業収入があった

給料右肩上がりではなくなった今、週末バイトや週末起業、株式やFX、仮想通貨の運用や週末大家さんなど、副業で生活費をまかなう人が増えました。
「1つの勤務先にだけ勤めている方が、給与所得以外の所得の合計額20万円を超えたら確定申告をしなくてはならない」というのは有名ですが、これは所得税のハナシ。
住民税はこの規定がないので
となっています。
こういったことから、今年の3月に副業について確定申告をした人は住民税が高くなっています。
原因4.土地や建物などの売却収入があった
盲点になりやすいのですが土地や建物、金などを売却し、譲渡所得を申告した場合も住民税が増える原因です。
所得税の確定申告が大変だった分、完了すると「やれやれ、終わった」と一息つき、解放された気持ちになるからかもしれません。
が、先ほども書いたように住民税と所得税の課税のベースは基本的に同じです。
そのため、資産の売却益が多額だと、翌年の住民税が高くなります。
この他、急激に増えたのではないにしても、「思った以上に住民税が高い」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
その原因は「住民税の控除額の小ささ」

住民税の基礎控除額や配偶者控除額、基礎控除額は原則33万円(年齢や障害などにより変動あり)です。
所得税よりも5万円少ないのです。
この他、
・ 障害者控除や寡婦(夫)控除、勤労学生控除は所得税よりも控除額が1万円
・ 生命保険料控除は所得税よりも3~5万円
・ 地震保険料控除は所得税よりも2万5,000円
控除額が少なくなっています。
それぞれの差が小さくても、積み重なると大きく感じられます。
住民税の重圧感はそこからくるものなのかもしれません。(執筆者:鈴木 まゆ子)