相続税対策で借金をする必要がある?

相続対策で借金をする必要がある

会社のオーナーとお話をしていると

「相続対策で借金をする必要がある」

といった意見を耳にします。

これは本当なのでしょうか?

結論からすると、借入をするだけでは全く効果はありません。

では、よく用いられている相続税対策としては、どのようなものがあるのでしょうか?

相続税の計算の仕方

相続税の大まかな計算方法について考えます。

1. 亡くなった方の資産、負債を調べます。

そして以下の方法で計算します。

保有資産全額(不動産、有価証券、現預金等)-負債(借入金、未払金等)を算出 …(A)

2. 上記の金額から一定の控除が認められているので下記の方法で計算します

3,000万円+600万円 × 法定相続人の数 …(B)

(A)-(B) が相続税の算出の元です。

これに一定の税率をかけたものが相続税です。

例)現金1億円保有 相続人2名 負債なし

総資産:1億円-負債0=1億円 …(A)

控除:3,000万円+600万円×2名=4,200万円 …(B)

1億円-4,200万円=5,800万円

5,800万円 に対して相続税がかかってきます。

現金1億円を使って、賃貸不動産を購入する

現金1億円を使って賃貸不動産を購入

この時に、あくまで不動産の時価(購入価格や売却価格)は1億円なのですが、税務上での評価が4割程度です。

つまり物件購入後の総資産は4,000万円です。

すると

総資産:4,000万円-負債0=4,000万円

控除:3,000万円+600万円 × 2名=4,200万円

4,000万円-4,200万円=▲200万円(相続税の支払なし

つまり、

「不動産の時価」と「税務上の評価額」の差を使う

ということです。

あくまで不動産は購入、売却は可能で、その時々の時価で決まります。

しかし、相続税を算出するルールにおいては、時価とは異なる算出方法が必要となるため、結果的に相続税を計算するに当たっては、現金等でもっているより、税金自体は低くなるということです。

借入だけでは相続税対策にはならない

詳細については、税理士、会計士さんへの相談が必要ですが、大枠の考え方としては上述の通りです。

この時、不動産購入に当たって、自己資金だけで購入するか、借入をしたうえで大型の不動産を購入するかという選択はあります

借入をしたら相続税が安くなると思われているのは、このような借入をして不動産を購入したケースの取り違えかと思われます。

注意点

市場価値が大幅に下がっていた

相続税のみを考慮した時には不動産購入は有効です。

しかし、不動産購入後に賃料収入は安定して推移するのか、または不動産価格は上下していきますので、気が付いたら市場価値が大幅に下がっていたなどというケースは多々発生します。

よって相続税への効果と、将来的な資産としての安定性の両面を考えて決定する必要があります。(執筆者:松野 のりこ)