前回の記事は、返済不能となった融資について、債権譲渡という手続きを検討するところまでを説明しました。

今回は、その後に何が起きるのかを説明します。

※関連記事 銀行に返せなくなった借金は、どうなるの? 返済不能となった時に銀行が考えるパターン4つ

新しい債権者とは

新しい債権者

こうしたケースで、銀行から債権を購入することを本業としている会社があり、通常「サービサー」という名称で業務を行っています。

サービサーは銀行から1万円で債権を買い、正式な借主という立場になっています。

そして、借主に対して「私が新たな債権者なので、私にお金を返してください」という申し入れをします。

この時に、サービサーが借主に対して請求する金額は、当然6,000万円です。

(元々の借りた金額 1億円-銀行に返済した 4,000万円 =残り 6,000万円なので)

しかし、債権者(貸主)が変わったところで、借主として新たなお金が生まれるわけではありませんので、「返せない」という状態は大きくはかわりません

ではサービサーはどうするのでしょうか?

サービサーからの返済の要求とは

サービサーからの返済の要求って

サービサーとしては、元々1万円で買ってきた債権ですので、極端な話で言えば、1万円以上返してもらえれば、利益はでます。

そこで、サービサーはこんな要求をします。

「一括で100万円返してください、そうすればこれ以上の請求はしないこととします」

こうなりますと借主としては「100万円」というのは、非常に大きなお金ではありますが、何とか工面できない金額でもありません。

また、これによって、元々1億円借りていたお金が、銀行に4,000万円返し、そしてサービサーに100万円返す。

この合計4,100万円を返済したことで、借入が消えてしまうという事になります。

簡単に言えば、5,900万円かえす必要がなくなったというわけです。

こう考えますと、確かに100万円の用意は大変ではありますが、それによって、5,900万円得する訳ですので、借主にとって悪い話ではないのです。

一方で、サービサーとしては、元々1万円で買った債権により、100万円かえって来るわけですから、99万円得する計算になりますので、こちらも悪い話ではありません。

つまり、

銀行が損をした分、借主とサービサーが得をする

という話となります。

気を付けなくてはいけない点

だとしますと、誰もがこの手法を選びたがると思いますが、これには大きな落とし穴もあります。

上記のケースでは、「サービサーは100万円もらったことで、これ以上の返済を要求しない」という取り決めがありました。

しかし、サービサーによっては「自分としては100万円で終わりとするが、その後は知らない」という判断も可能なのです。

つまり、サービサーが100万円の返済を受けたのちに、別のサービサーにまた1万円で売却してしまうということも可能なのです。

こうなると、借主としては100万円で一旦終わったと思った返済が、また次の債権者との話し合いへと続いていく事となってしまいます。

一旦終わったと思った返済が、また次の債権者との話し合いへと続いていく

どうやったら、返済を終了できるのか

確実に、1つのサービサーへの返済で完了させるためには、結論としては

サービサーとの交渉次第

となります。

サービサーとしては少しでも多く返済を受けたいのですから、ひょっとすると「300万円一括で返すなら、次のサービサーには転売せずに終わらせる」という判断もあるかもしれません。

自身が返済可能な状態を説明して、サービサーからサービサーへの転売を止めさせるための話合いが非常に重要となるのです。(執筆者:松野 のりこ)