【読者の質問に回答】再婚同士で結婚した場合、「年金分割」や「遺産分割」の対象となる遺産はどこまでなのか?

最近は世代を問わずに再婚をされる方が増えたという印象があります。

厚生労働省の人口動態統計「婚姻に関する統計」(平成28年度)では「離婚後5年以内に再婚をした男性の割合は、どの世代でも25%を超えている」という結果が出ています。

世代を問わずに再婚をされる方が増えた

このように統計でも件数が増えてきている再婚ですが、再婚をした場合に気になるのは、

再婚相手の前の配偶者のこと、その間の子供のこと。

再婚相手の前の配偶者との関係で、将来に関係することでは「年金分割」、子供との間では、再婚相手が死亡後の「遺産分け」の問題が挙げられます。

これらは別の問題になってきますから、以下それぞれで分けて見ていきましょう。

なお、似たような用語で「財産分与」がありますが、法律用語では離婚時に、結婚期間に2人で築き上げた財産の精算という意味で使われるのが普通です。

「遺産分け」は、なくなった人の名義の財産(遺産)を相続人の間で分ける点で、対象になっている財産や分けるときの当事者が全く異なってきます。

前婚について、離婚時に年金分割をしていたとき

「年金分割」は、年金受給額の多い方の年金保険料納付記録を分割して少ない方に移転する制度です。

合意分割: 婚姻期間の厚生年金の標準報酬が分割されるもの

3号分割: 平成20年4月1日以降の扶養に入っていた配偶者の、いわゆる第3号被保険期間中の厚生年金の標準報酬を分割するというもの

の2種類があります。

現在の国民年金制度では、国民年金(基礎年金)の上に、厚生年金部分が載っている形になっています。

しかし、分割対象となるのは、前述のように、厚生年金の被用者年金にかかわる報酬比例部分の、年金額算定の基礎になる標準報酬のみとなっています。

ですから、基礎年金部分や年金基金、企業年金などは対象となりません。

ただし、企業年金については、離婚時の財産分与の対象になることもあります。

(受け取り時期などにもよります)

ただ、将来の受け取り期間や受け取る額も不明な場合があり、どう分けるかは裁判でも結果が分かれているところです。

付加年金については、国民年金の第1号被保険者(自営業者などが加入)、任意加入被保険者が付加保険料として収めているものです。

なので、老齢基礎年金の受取額が増えるタイプのものを指している場合には、年金分割できる標準報酬等にあたらないため、年金分割の対象にはなりません。

ですから、ご質問者のご主人が上にいう付加年金を受け取るのであれば、分割の対象にならず、前の奥さんが受け取ることにはなりません。

このように、年金分割される場合でも、年金受給額の多い方が受け取る年金のすべてが分割されるわけではないことに注意が必要です。

離婚時に年金分割をしていたとき

年金分割したとき、受け取りはいつから? 元配偶者の受給の有無は関係ある?

分割を受けると、厚生年金受給資格に応じた年金を受給することになりますが、自分が年金を受け取る年齢に達するまでは、老齢厚生年金は支給されません。

また、基礎年金の額には影響しません。

ただ一旦分割をすれば、分割を行った元配偶者が死亡しても、自分の厚生年金受給は受けられることになります。

ですから、一度年金分割をすると、元配偶者(ご質問では前妻)が年金を受給しているかに拘らず、受給年齢になれば、再婚相手のご主人は分割された後の(減額した金額の)年金を受け取ることになります。

元配偶者との子供と遺産分けの話になったとき

元配偶者との子供と遺産分けの話になったとき

さらに話が進んで、もし再婚相手がなくなった場合、元配偶者の子供とは、どこまで「遺産」として話をしないといけないでしょうか?

再婚相手との間に子供がおらず、遺言書も残していないようですと、通常は法定相続分を前提にした話合いをすることになります。

残された配偶者が2分の1、元配偶者との間の子供がいれば、残り2分の1につき、人数に応じて相続分を持っていることになります。

分ける対象は、あくまでも再婚相手の遺産ですので、再婚相手の名義の不動産や預貯金、有価証券などになります。

ですから、残された配偶者が再婚後稼いだお金(給与)やidecoについては、なくなった再婚相手ではなく、残された配偶者名義になっている預金口座などにある限り、遺産分けの対象にはなりません。

ですから、結婚後の、残された配偶者名義の預金通帳を前妻の子供に見せる必要はありません。

なお、再婚相手の子供がいる場合には、今住んでいる不動産が再婚相手名義であると、もしなにかあったとき、再婚相手の前婚の子供と遺産の話合いがつかないと、引き続き住むことができるかといった問題も出てきます。

まだ何もない落ち着いた時期に、将来生じる可能性のあることについて、再婚相手の方とよく話し合っておくとよいでしょう。(執筆者:片島 由賀)

この記事を書いた人

片島 由賀 片島 由賀»筆者の記事一覧 (35) http://keiso-law.com/

勁草(けいそう)法律事務所 弁護士
平成20年弁護士登録。困った方に寄り添いながら仕事ができることに魅力を感じ、弁護士になる。離婚・相続など家族に関する案件、借金問題、交通事故、労働問題など幅広い分野を扱う。相談してよかったと思って頂けるよう、それぞれの立場に配慮しながら粘り強く対応している。
<保有資格>:弁護士
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