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「ふるさと納税」で節税したのに「6月からの住民税が増えた」のはなぜ? その理由を税理士の筆者が解説します。

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「ふるさと納税」で節税したのに「6月からの住民税が増えた」のはなぜ? その理由を税理士の筆者が解説します。

多くの人が活用するようになったふるさと納税。

「返礼品が楽しみ」と言いつつも、やはり最大の目玉は「節税」です。

ただ、それでも

「その節税を期待して、ふるさと納税をしたはずなのに、今年の6月からなぜか住民税が上がってしまった!」

という人がいます。

なぜなのでしょうか。

節税を気にするようになったAさん、2017年からふるさと納税開始

今回の相談者は都内でOLとして働くAさん。

節税を気にするようになったAさん、2017年からふるさと納税開始

Aさんは昨年の年末調整から、インターネットの情報で知ったふるさと納税を活用するようになりました。

返礼品の楽しみもさることながら、節税の必要性を感じるようになったのです。

源泉徴収票なども確認して、ポータルサイトで適正額のシミュレーションもきちっと行い、ワンストップ特例制度の手続きもして確定申告をしなくても済むようにしました。

すべては完璧なはずでした。

しかし、年が明けて6月、Aさんは給与明細を見たときにびっくりしました。

ふるさと納税をしたからこそ下がっているはずの住民税が、なぜか上がっているのです。

疑問に思い、私のところに相談しに来ました。

ふるさと納税をしたからこそ下がっているはずの住民税が、なぜか上がっている

原因は「住民税課税のタイムラグ」

Aさん: 先生、なんで住民税が上がったんでしょう。

税金安くするためにふるさと納税したのに、これじゃムダじゃないですか!

: あれー、なぜでしょうね。昨年、たくさん残業とかしました?

Aさん: やっていますけど、ウチの会社、残業代は出ないんですよ

: 2016年のときより2017年の方が、たぶん収入増えているかと思うんですけど、2017年に何かありましたか?

Aさん: そう言えば、私、昨年の春に昇進しました。

それで基本給が上がったんですよね。

: じゃあ、それが原因ですね

Aさん: え? どういうことですか?

給料上がったのは1年も前なのに、どうして今年の6月からの住民税が増える原因になるんですか?

Aさんの疑問は至極まっとうです。

というのも、一般的には「給料があがったら、その上昇分は、すぐに天引きされるものに反映されるはず」と感じとっているから。

源泉所得税も社会保険料も、昇給したら増えるのが普通です。

しかし、住民税は違います。

前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得をベースに計算された税金が、今年の6月から翌年5月までの給料から天引きされます。

つまり、他の公的負担と異なり、タイムラグがあるのです。

ただそれでも、Aさんは納得がいきません。

「税金を安くしたくて、ふるさと納税したのに期待通りでなかったから」です。

税金を安くしたくて、ふるさと納税したのに期待通りでなかったから

ふるさと納税しても、住民税が上がったのは「元々の住民税のケタが多いから」

節税目的でふるさと納税しても、昇給分を抑えるほどに効果がなかったのは、

「もともとの住民税額が、ふるさと納税の節税額よりケタが多いから」

に他なりません。

シミュレーションをするふるさと納税の上限額よりも、課税される住民税額の方が1ケタ多いのが普通です。

ケタ数が同じでなければ、前年と同程度に住民税を抑えることはできません

Aさんのケースを、ざっくりと分かりやすい数字に置き換えて説明しますと、次のようになります。

・2016年の1年間の給与所得:400万円
・2017年4月:昇進
・2017年の1年間の給与所得:600万円

※住民税の所得割:10%で課税
※Aさんのふるさと納税の金額:4万円
※控除などについては分かりやすくするため考慮外

すると、ふるさと納税を考慮にいれない場合の住民税は、次のようになります。

【2016年】
年額で400万円×10%=40万円→ 2017年6月~2018年5月の給与から天引き

【2017年】
年額で600万円×10%=60万円→ 2018年6月~2019年5月の給与から天引き

ここでふるさと納税を考慮したとすると、住民税から控除されるふるさと納税分の金額は「4万円-2,000円=3万8,000円」なので、次のようになります。

【2016年】
年額で40万円→ 2017年6月以降、毎月天引きされる住民税の額は約3万3,333円

【2017年】
年額で56万2,000円→ 2018年6月以降、毎月天引きされる住民税の額は約4万6,833円

つまり、ふるさと納税をしても住民税は上がってしまう結果になります。

なお余談ですが、Aさんがシミュレーションで参考にしたのは前年、つまり昇給前である2016年の源泉徴収票の金額。

節税効果をもっと出すなら、昇給後の金額でシミュレーションをし、より多くふるさと納税をした方がよかったのです。

ただそれでも、昇給によって増えた住民税額を、期待通りに節税できるかどうかは難しいところです。

寄附の上限がある以上、思ったほどの節税効果が実感できないこともある

ふるさと納税に節税効果を期待する人は、Aさんに限りません。

しかし、寄附の上限がある以上、思ったほどの節税効果が実感できないこともあるでしょう。

返礼品の楽しみを含め、「ちょっとトクできたらいいな」くらいの気持ちで、ふるさと納税を楽しむのがよいのかもしれません。(執筆者:鈴木 まゆ子)

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《鈴木 まゆ子》
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鈴木 まゆ子

鈴木 まゆ子

税理士・税務ライター 中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。朝日新聞『相続会議』、納税通信、KaikeiZineなどメディアで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著) 寄稿者にメッセージを送る

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