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災害に遭ったら「罹災証明書」の準備
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9月になり、立て続けに関西の台風、北海道の震度6の地震が発生しました。
まずは復旧が大切ですが、このとき、今後の税金や保険料の減免のために、1つだけ気にしておいていただきたいことがあります。
それは「罹災証明書の準備」です。
「罹災証明書」は税金の免除や軽減の手続きに必須
罹災証明書とは、市区町村などといった各自治体が、風水害や地震などの災害に遭った人(以下「罹災者」と言います)に対して、その被害状況に関する証明を行った文書をいいます。
罹災証明書は、
・ 軽減や所得税での雑損控除
・ その他税金や保険料
・ 公的料金の免除や軽減、猶予
などの手続きを行う際に必要です。
また、被災者生活再建支援金の給付や災害援護資金の融資の手続きの際にも提出を求められます。
つまり、被害に遭った分の損失は、罹災証明書がないと埋め合わせることが難しくなるのです。
罹災証明書の発行手順
1. 罹災者による申請
2. 自治体による罹災者の家屋などの被害状況の調査
3. 「全壊」、「大規模半壊」、「半壊」、「一部損壊」などの認定
4. 罹災証明書の発行
最近の被害状況の調査は「罹災者のスマホ画像で判定」傾向
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特に重要になるのが(2) の調査です。
原則として職員が現地調査を行うことになっていますが、近年、その原則を徹底したことで罹災証明書の発行が遅れ、罹災者の生活復旧が滞るという事態が発生するようになりました。
この反省から、最近は、現地調査を省略し、「自己判定方式」という罹災者がスマホなどで撮影した画像などが被害判定に用いられる方式が採用されるようになっています。
自治体によっては、通常1週間程度かかる罹災証明書の発行が、その日のうちになされることもあります。
ただし、このスマホでOKなのは「半壊」に至らない「一部損壊」該当者のみ。
「全壊」、「半壊」といった重大な損壊については、原則通り、自治体職員などが現地調査を行ったうえで判定する流れです。
撮影の注意点
「自己判定方式」で一部損壊の罹災証明書を申請する場合、清掃や修理をする前に、次の3つの箇所の撮影を行います。
(1) 建物前景(外周4面)の写真
(2) 表札等所在地とその建物がわかる写真
(3) それぞれの損傷部位がわかる写真
また、申請の際は、運転免許証など本人確認ができる書類をあわせて自治体窓口に持参していく必要があります。
さらに、もしできれば自宅の図面を持っていくとよいでしょう。
自治体職員が画像と照合しながら判定することができます。
注意:すべての自治体が行っているわけではない
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6月の大阪北部地震の際には、災害救助法が適用された大阪府内13市町のうち、茨木市や高槻市などがこの自己判定方式を採用しました。
ただ、その一方、
と警戒して、職員による現地調査にこだわる自治体もあります。
自己判定方式で罹災証明書が交付されるかどうか、自治体に確認するとよいでしょう。(執筆者:鈴木 まゆ子)