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日経レバレッジETF(1570)
株式市場の売買代金上位銘柄ランキングの常連で、トヨタやソフトバンクと肩を並べる、個人投資家に大人気の銘柄です。
ETFは、短期売買を繰り返さない長期投資には不向きです。
個人投資家に人気だからというだけで手を出すと、思わぬ落とし穴があります。
その理由を、具体例を挙げながら詳しく紹介していきます。

日経レバレッジETFとは?
日経レバレッジETFとは何なのか?
下記の商品特性をご覧ください。
・日経平均株価に連動するETF
・値動きは通常の日経平均株価の2倍
日経平均株価に2倍のレバレッジがかかったETFです。
その日の日経平均株価が1%上昇すれば、日経レバレッジETFは2%上昇します。
日経平均株価が0.5%値下がりすれば、日経レバレッジETFは1%値下がります。
長期投資に向かない日経レバレッジETFの性質
2倍の値動きですから、値上がりすれば大きな利益を見込めます。
値下がりすれば、当然損失は大きく膨らみます。
これだけでは終わりません。
長期間もみ合いを続けると、損をします。
例えば、日経平均株価が10%上昇して、次の日に10%下落した場合の値動きです。
*わかりやすくするために、日経平均・日経レバレッジETFは2万円、値動きは大きくしてあります。
・ 日経平均株価 2万 → 2万2,000 → 1万9,800
・ 日経レバレッジETF 2万 → 2万4,000 → 1万9,200
日経平均株価が当初から200円安に対して、日経レバレッジETFは800円の大幅下落です。
レバレッジがかかっているこのETFは、上下に動けば動くほど、価格下落圧力がかかります。
1年間で約1%も損
架空の値動きではなく、実際の過去の事例を見ていきましょう。
2017年10月末と、2018年10月末の両方の価格です。
・ 日経平均株価 2万2,011.61(2017.10) → 2万1,920.46(2018.10)

・ 日経レバレッジETF 1万9,480(2017.10) → 1万9,170(2018.10)

日経平均株価は、当初からほぼ変わらずの-0.41%に対して、日経平均レバレッジETFは、-1.59%下落しています。
単純に2倍の下げなら-0.82%のはずなの、実際には1%近くも価格下落圧量がかかっていました。
長期投資の利益の源泉である配当利回りの度合いを考えれば、賢明な投資家なら1年で1%近くも不利な動きをするETFに、わざわざ投資はしないでしょう。
長期投資はレバレッジのないETFを選ぼう
下落するだけでなく、もみ合いでも損をしてしまう日経レバレッジETFは、投資対象として避けるべきだと理解していただけたと思います。
上昇を続ければ、大きな利益が見込めます。
株価上昇に自信があるのなら、レバレッジ型のETFを買うのではなく、通常のETFを2倍購入すればいいだけです。
投資は一発逆転を狙うものではありません。
少しでも不利な要因を取り除いて、どっしり構えていきましょう。(執筆者:三田 亮)