昨年夏の民法の改正により、これまでの相続のあり方が大きく変わりました。

注目されている改正の1つが「長男の嫁も相続財産を受け取れる」というものです。

ただ、ここで気になるのは税金です。

受け取っても長男より相続税を多く払うことになります。

長男の嫁も相続財産の対象「特別寄与料」とは

親身に介護をした長男の嫁

「長男の嫁が相続財産をもらえるってどういうこと?」と思うかもしれません。

これまで、亡くなった親の生前、長男の嫁が親身になってその介護をしていたとしても、相続財産を分けてもらうことができませんでした。

世帯によっては、

何も世話を行っていない長男の兄弟姉妹が相続財産を受け取るのに、熱心に親の面倒をみた長男の嫁は「子どもではない」

という理由で1円も貰えませんでした。

この不公平を解消すべく、昨年の民法改正で行われたのが「特別寄与料制度の創設」です。

これにより、被相続人の生前の介護・看護を無償で行い、その財産の維持や増加に特別の貢献(寄与)をした親族(特別寄与者)が、その貢献分の金銭(特別寄与料)を相続人に対して請求できるようになりました。

なお、この特別寄与料請求権を行使できる親族は

・ 6親等内の血族
・ 配偶者
・ 3親等内の姻族

です。

そのため、長男の嫁(1親等の姻族)は特別寄与料を請求できます

ただし、相続の放棄をした者や相続人の欠格事由に該当する者、廃除された者(相続権を失った者)は対象外です。

特別寄与料は「みなし遺贈」として相続税の課税対象

ここで気になるのが税金です。

税法では、基本的に「何らかの金銭や財産、経済的な利益を得たのならば税金を払うべき」という考えを持っています。

長男の嫁が他の法定相続人から受け取った特別寄与料も課税の対象です。

一見、生きている人の間のお金の「あげます」、「もらいます」なので、贈与税が課税されるかのように思えます。

この特別寄与料については、「相続人から特別寄与者に対する遺贈とみなす」とされています。

遺贈とは、相続人以外の者に対し、遺言によって財産を無償であげることです。

実際には遺言はないのですが、「遺言によるもの」とみなすことで相続税の課税対象となります。

特別寄与料はみなし遺贈で課税対象

相続人以外の親族が支払いを受けた金銭は相続税2割加算

さらに、長男の嫁が他の法定相続人から特別寄与料を受け取った場合、他の法定相続人と異なり、通常の相続税にプラス2割を納めなくてはなりません。

これを「相続税の2割加算」と言います。

一般的に私たちがイメージする「相続税」で済むのは、法定相続人が配偶者や被相続人の1親等内の血族である場合のみです。

具体的に言えば、

・ 被相続人の配偶者
・ 子(代襲相続人となった孫を含みます)
・ 親

に限られます。

法定相続人は兄弟姉妹などがなる場合もありますが、兄弟姉妹は1親等内ではなく2親等になるため、2割加算の対象となります。

長男の嫁はいくら被相続人に近しい存在であっても「1親等の姻族」なので、2割加算の対象です。

今年の7月1日から特別寄与料の制度が始まります。

税法上でも、同日から上記の取り扱いが始まることになっています。

不公平感を解消するために始まった制度ですが、課税上の問題点を考えると、完全に不公平感がなくなったとは言い切れないかもしれません。(執筆者:鈴木 まゆ子)