【不動産投資】初心者は注意! 「サブリース業者」が建物オーナーよりも保護されているという真実

区分所有建物(マンション等)やアパート(一棟)などの投資物件を所有し、毎月その賃料を手にすることができる「大家業」に憧れる人は少なくありません。

ただし、実際の大家業は空室のリスクや不定期に訪れる建物の修繕・補修費用の負担、賃料の延滞リスクなど、常に心配事が絶えないものです。

そんな大家さんにとって、建物を事業者が一括で借り上げ、その管理や運営も事業者が行ってくれる「サブリース」というシステムはとても魅力的に映るのではないでしょうか。

しかし、サブリースの目的や仕組みをしっかり理解していないと、将来的に賃貸経営が破綻する可能性があります。

不動産投資初心者は注意!

サブリース業者の目的は「2つ」ある

大家さん(建物オーナー)がサブリースを行う理由は、将来に向かっての「空室リスクの解消」と、建物の維持や管理などの「煩雑業務からの解放」等であり、その目的と動機は極めてシンプルです。

対して、事業者がサブリース契約を行う目的は「小資本で賃貸業を営むため」もしくは、「サブリース契約が投資物件売買(建築請負)の条件であるため」の2つです。

小資本で賃貸業を営むためのサブリース

建物オーナーから建物を一括で借り上げ、それを入居者に又貸しすることで、その事業者は不動産を購入(所有)しなくても賃貸業を営むことができます。

建物オーナーは、直に入居者を募集するよりも低い金額でサブリース業者に貸し付けることになりますが、その分、空室リスクを回避し収入の安定を図ることができます。

それを望む建物オーナーとサブリース業者が行うサブリース契約は、とても合理的な契約だといえるでしょう。

ただしここで重要なのは、この形態のサブリース事業者は

「市場価格よりも安く借りて市場価格で貸す」という前提が成り立たなければ、サブリース契約を結ばない

ということです。

サブリース契約の目的が、投資物件売買(建築請負)の条件である場合

賃貸経営を始める場合に、やはり1番心配されるのが継続的に入居者を確保できるかどうかという点です。

賃貸用の建物を購入(または建設)する場合、ほとんどの方は銀行等から借り入れを行い、その返済の一部(或いは全部)に家賃収入を充てるので、その収入が安定しないと賃貸経営が成り立ちません。

投資物件の購入を躊躇しているときに、分譲主(または建築業者)から、

「当社では20年から35年、長期での一括借り上げを行っていますので、安心の賃貸経営が可能です。運営管理もすべて当社が行います。」

と言われると、憧れの大家業を始めたい方なら、つい

「ではすべてお任せします。」

となってしまいがちです。

また、賃貸経営を目的とした業者が提示する一括借り上げ金額より、投資物件の分譲主(または建設業者)が提示する一括借り上げ金額の方が大きい場合があります。

しかし実は、借り上げ金額が高いだけのサブリース契約が「お得」だとは限りません

「安心」だったはずのサブリース契約が…

先述のように、そもそもサブリースの大きな枠組みは、「市場価格よりも安く借りて、市場価格で貸す」ことです。

これが成り立たないサブリース契約は必ず破綻します。

借り上げ金額が高いサブリース契約があるからと安心して投資物件を購入したにもかかわらず、サブリース業者は又貸しによって利益が出ない場合、購入から数年で「借り上げ賃料の減額」やサブリース契約の「打ち切り」を提示してくる可能性もあるのです。

実は以前からサブリース契約に関しては、国が注意喚起をしています。

以下は国が出している注意喚起の一部です。


長期のサブリース契約で賃料が減額されたり解約される理由

「長期一括借り上げ」のはずだったサブリース契約で賃料が減額されたり、途中解約されたりする大きな理由は、建物オーナーとサブリース業者の関係が「貸主と借主」である以上、借地借家法により借主(サブリース業者)が保護され、賃料減額請求権が排除されないためです。

例えば、サブリース契約で「10年間は賃料の減額請求はできません」と謳われていても、借地借家法の賃料減額請求権(同法32条)は強行法規なので、これに反する契約条項は無効とされるのです。

サブリース契約でのトラブルが少なくない現状を踏まえ、国土交通省では2018年3月に「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」の改定を行い、初回の賃料改定日を明記する条項を設けたり、サブリース業者側からの解約を制限する期間を明記する条項を設けていますが、下の画像のように借地借家法32条を排除していません。


サブリース契約を上手に活用するためにやるべきこと

サブリース契約を上手に活用するために必要なことは、しっかりした市場調査を行うことです。

市場調査を業者任せにせず、物件の規模・地域・構造・設備・需給バランスなどから、物件の市場競争力を見極め、市場価格を把握しましょう。

ネット上にはたくさんの不動産検索サイトがありますので、それらを利用すれば市場価格の把握は決して難しくありません。

サブリース業者から提案された借り上げ金額と、自分で調査した市場価格があまりにかけ離れているなら、そのサブリース契約は要注意だといえるでしょう。(執筆者:高幡 和也)

この記事を書いた人

高幡 和也 高幡 和也(たかはたかずや)»筆者の記事一覧 (4)

宅地建物取引士。住宅・不動産ライター。不動産業界で約30年、大企業の事業用地売買や未利用地の有効活用、個人住宅のディベロップメント、事業用・居住用の賃貸管理まで多種多様な業務を経験。「不動産取引の専門士」の視点で様々な記事、コラムを多数執筆。
<保有資格>: 宅地建物取引士
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