前回は、「ダイヤモンド投資の概要」として、ダイヤモンドの資産価値、価格の推移、利益率などについてお話ししました。
2回目となる今回は、ダイヤモンドのマーケットについてお話しします。

目次
ダイヤモンドの生産量
まずは、ダイヤモンドの生産量から見ていきましょう。
ダイヤモンドのマーケットには、原石と研磨済の2種類のマーケットが存在します。
ダイヤモンドの約8割が工業用として使用されます。
天然ダイヤモンド:原石の生産量
下のグラフは2013年~2018年のダイヤモンド原石の生産量のグラフです。

天然ダイヤモンド:世界の鉱山の採掘量
下のグラフは2030年までの生産予測です。
今後新たな鉱山が見つかり採掘量が増えるという楽観的な予測を示した左の図に対して、右の図では基本的な現在の状況を踏まえたものであり、それによると生産量は減少することを示しています。

天然ダイヤモンドの価値の見通し
今後10年を見越したダイヤモンドの価格を考慮すると、
と予想されます。
合成ダイヤモンドの見通し
一方で、合成ダイヤモンドの価格の変動は下記のグラフの通りです。
2016年~2018年の価格の推移ですが、赤い棒線が小売価格グレーの棒線が卸売価格です。
可能性は大きいと思われます。

世界と日本のダイヤモンドマーケット
世界的にダイヤモンドは、ダイヤモンド取引所WFDBという組織で取引されます。
WFDBは1947年に設立され、本社はベルギーのアントワープにあります。
WFDBではダイヤモンド原石と研磨されたダイヤモンドの両方を取り扱っています。
世界中に取引所があり、日本にも組織として形はありますが現在は機能していません。
以前は大手商社もダイヤモンドビジネスに参入していましたが、今ではほとんどが撤退しています。
日本にはダイヤモンド採掘場がなく、ダイヤモンドの加工や研磨を産業として成り立たせることが難しかったという経緯があります。

日本でのタイヤモンド取引
それでは日本ではどのように取り引きされているのでしょうか。
現在、日本での取引は輸入業者が海外で仕入れてきたダイヤモンドをジュエリーメーカーおよび小売店に販売しています。
海外のダイヤモンド業者の日本法人などもありますが、卸売販売で小売をすることはありません。
国内でダイヤモンドを取引する業者は自社にない在庫を業者間で取引することもあり、そのためのオークション会場などを運営している会社もあります。
ジュエリーメーカーや小売店がそのような業者から供給されたダイヤモンドをジュエリーにしていくのです。
また、最近は少なくなってきたものの、買取屋で買い取られたダイヤモンドは海外へ輸出されることが多いのが現状です。
ダイヤモンドマーケットに一般から参入するには
このようなマーケットに一般の方が参入するるのは非常にハードルが高いでしょう。
しかし、現在ではインターネットによって世界のマーケットで販売される価格に沿って購入することができます。
ダイヤモンドはグレーディングを行い、一般的な基準4Cに基いて価格設定されます。
だた、すべてのダイヤモンドはそれぞれ色、形、傷の様子、特徴などすべて違いますので実物を見ずにグレードだけで判断するのは危険でもあります。
アメリカでは、Rapaport report(ラパポートレポート)という機関が配信しているダイヤモンドの価格表があります。
インドでもIdex(アイデックス)という機関が価格の推移を公表しています。
しかしながら、専門的なことについては、信頼できる専門家にアドバイスを求めるのが安心でしょう。
資産のリスク分散になるダイヤモンド
このように世界にはダイヤモンドのマーケットがあり、それぞれが機能しています。
一方、前述の通り、日本の取引組織は形骸化しているのが現状です。
日本は常に自然災害と隣り合わせです。
たんす貯金やへそくりでは災害リスクが高いと言えます。
そうした自然災害リスクが高いことを考慮すると、日本でも組織が機能してダイヤモンドの売買が身近なものになっていけばと思います。
資産の分散としてのダイヤモンドは日本人にとっても大事なものになるような気がします。(執筆者:菅 好男)