突然のメッセージ

不倫相手からの宣戦布告

最近、夫の不倫相手から突然「妻」宛にLINEメッセージが届く事件が頻発しているようです。

堂々と

「いい加減、離婚していただけませんでしょうか?」

「往生際が悪すぎます」

などと言ってくるので、多くの妻は困惑します。

そんなメッセージを受け取ったとき、妻としてはどのように対応するのが良いのでしょうか?

・ LINEメッセージは不倫の証拠になるのか?

・ 夫と離婚すべきか許して元さやに収まるべきか?

・ 夫や不倫相手に慰謝料請求できるのか、できるとすればどの程度払ってもらえるのか?

考え始めるとたくさんの問題があります。

今回は、夫の不倫相手から突然LINEで宣戦布告された場合の妻としての対処方法を、弁護士が解説します。

1. 不倫相手がLINEでメッセージを送ってくるパターン

不倫相手の女性が妻にLINEを送ってくる場合、どういった内容が多いのでしょうか?

いくつかパターンを紹介します。

直接離婚を迫ってくるパターン

「いい加減離婚してくださいよ。往生際が悪い」

妻に対し、直接離婚を迫ってくるパターンです。

相手もかなり感情的になっていると考えられます。

本当のことを聞かせて欲しいと連絡してくるパターン

最初に「お話があります。〇〇さん(夫)とのことで、本当のことを教えてください。」などと切り出してきた上で、何のことかを尋ねると、

・ 夫と不倫していること

・ 自分が夫から聞き及んでいる夫婦関係について

などを話したうえで、夫が自分に話した内容が真実か否かを確認してくるパターンです。

この場合、夫が不倫相手に対し、夫婦関係が破綻していると話していたり、不倫相手との再婚話をチラつかせ、不倫関係を開始、維持していると考えられます。

自分の存在を知らしめ、妻を恐怖に陥れるパターン

「これからあなたの住んでいるマンションへ行って、あなたのマンションの屋上から飛び降りる」

「私と〇〇さんが不倫しているのに気づかないなんて、あなたは本当にバカ」

直接離婚を求めるわけではありませんが、自分の存在を知らしめ、妻を恐怖に陥れるパターンです。

以上のように、バリエーションはさまざまですが、不倫相手が妻へ堂々と宣戦布告してくるケースは決して少なくはありません

2. なぜ不倫相手が堂々と宣戦布告してくるのか

一般に、不倫相手というと「日陰の存在」であり、妻に対して堂々と離婚を申し入れはしません。

夫とのやりとりも妻に見つからないようにこっそり行うのが通常です。

それにもかかわらず、最近の不倫相手の女性はなぜ堂々と妻にLINEでメッセージを送ってくるのでしょうか?

直接離婚を迫ってくるパターン

直接離婚を迫る

夫が不倫相手に対し以下のような説明をしている可能性があります。

・ 妻との関係は完全に終わっていて、離婚寸前である

・ それにもかかわらず、妻がなかなか離婚に応じない

・ 離婚することは決まっているが、離婚条件が合致しない

・ 離婚調停が長びいている

つまり、もう妻との夫婦関係は終わっているけれど、妻がなかなか離婚に応じないために離婚できないと説明し、不倫相手は鵜呑みにしている場合です。

「奧さんが往生際悪くいつまでも離婚に応じないから〇〇さんが自分のものにならないのだ」と感情的になり、妻へ直談判を申し入れてしまいます。

また、夫が、不倫相手に上記のような説明をしていなくても、不倫相手が、勝手に、夫が自分と結婚してくれないのは妻のせいだと思い込んで、妻に勝手に離婚を迫ったり、妊娠等により、不倫相手も後に引けない状況になって、妻に離婚を迫ることもあります。

本当のことを聞かせて欲しいと連絡してくるパターン

不倫相手も、夫の本心を疑っている場合です。

この場合には、夫が、不倫相手には、夫婦関係は破綻している、不倫相手と再婚するつもりだと言っていても、なかなか行動に移さなかったり、楽しそうに家族と旅行やイベントに参加していることを不倫相手が知り、自分は遊ばれているのではないかと不安になった不倫相手が、本当のことを確かめようと妻に連絡をしてきます。

直接離婚を迫ってくるパターン

妻に自分の存在を知らしめるとともに、妻を恐怖に陥れるパターンは、既に、夫から不倫相手が別れを切り出されていたり、夫から遊ばれていたことが判明している場合に多いパターンです。

この場合、不倫相手は破れかぶれになっており、妻や夫も道連れに破滅してやろうと考えて、連絡をしてきていると考えられます。

今後、ストーカー化しかねない危険なパターンです。

3. 宣戦布告があっても不倫は不倫

不倫相手から宣戦布告のLINEが送られてきたら、妻としてはどのようにとらえたら良いのでしょうか?

不倫相手の対応があまりに堂々としていると、不倫相手に恐怖を感じ、弱気になる人もいますが、弱気になる必要性はありません。

妻が弱気になれば、不倫相手の思うつぼです。

肉体関係を持っていたら法律上は「不貞」となって離婚原因になりますし、民法上、不法行為として慰謝料の支払義務も発生します。

不倫相手が、堂々と宣戦布告していても不倫は不倫なので、LINEメッセージを受け取ったとしても焦る必要はありません。

「不倫を調べる手間が省けた」と思って、慰謝料請求等の対応を進めていきましょう。

また、不倫相手が本当のことを教えて欲しいと言ってきているのであれば、妻側としても、不倫相手から、夫が不倫相手にどんな話をしていたのかや、不倫相手と夫との不倫の内容について聞き出すチャンスです。

ただ、不倫相手から、自殺をほのめかすような内容や、妻に危害を加えることをほのめかす内容を受け取った場合には、今後、ストーカー化する可能性がありますし、本当に危害を加えられる可能性もありますので、不倫相手への直接の接触には注意が必要です。

場合によっては、速やかに、弁護士や、警察に相談してください。

4. LINEメッセージは証拠になるのか

証拠として保存

夫の不倫が発覚したとき、重要なのは不倫の証拠です。

不倫相手から届いたLINEメッセージは証拠になるのでしょうか?

一般的に

LINEやメールでのやり取りの記録は不倫の証拠になる可能性があります。

法律上、不貞と評価されるには肉体関係が必要です。

LINEのメッセージでも直接肉体関係を推測させるものであれば証拠価値が高くなります。

不倫相手から「夫と別れてほしい」などと送ってくる場合、何か相当深い事情があることが推測されますが、はっきり肉体関係があるとまでは断定できないこともあります。

そのため、ご自身で判断できない場合には、弁護士に早めにご相談されることをお勧めします。

5. 夫の様子を観察しながら証拠を集める

不倫相手から宣戦布告のメッセージが届いたら、しばらく夫の様子を観察してみてもいいでしょう。

「不倫している」という前提でみていたら、不審な行動が見えてくるものです。

その中で気づいた他の証拠(クレジットカード明細書や電子マネー、交通ICカード利用記録)を集めたり、夫のスマホを見て怪しいメール、画像がないかなど確認し、あれば、後日の証拠として写メを撮影する等、保存しましょう。

6. 夫を問い詰める

夫に相手からのLINEメッセージを突きつけて問い詰めてもいいでしょう。

夫に「不貞行為をしました」という自認書を書かせたり、夫が不倫を認める内容の会話を録音すると、不倫の証拠にできます。

その後、夫と離婚するか夫婦関係を継続するか考えましょう。

7. 離婚すべきかしないか、判断基準

以下のような事情をもとに、夫婦関係を継続するか否か検討するといいでしょう。

・ 夫が反省しているか
・ 夫が不倫相手と別れるか
・ 未成年の子どもがいるか妻の感情
・ 妻の経済力

あなた自身の気持ちも大切なので、上記の事情を勘案しつつも「本当に離婚したいのか?」、「夫に未練はないか?」など考えてみるべきです。

8. 離婚しないなら誓約書を書かせる

もしも離婚しないなら、夫に誓約書を書かせることをお勧めします。

まずは今回不倫したことを認めて不倫相手と別れ接触しないことを約束させます。

そしてもう2度と不倫しないこと、などを記載します。

また、誓約書には、今回の件については妻が許したととられかねないような内容は記載しないように注意してください。

きっちり日付を入れて署名押印させ、見つからない場所に保管しておきましょう。

9. 慰謝料の相場と請求方法

慰謝料をきっちりともらう

不倫されたら、妻は夫や不倫相手に慰謝料を請求できます。

(1) 慰謝料の相場

慰謝料の金額は、夫と離婚するかしないかで大きく変わってきます。

離婚するなら100~300万円程度しないなら100万円前後の金額となります。

(2) 離婚する場合の対処方法

離婚するならば、夫と不倫相手の両名に対し、まずは300万円程度請求すると良いでしょう。

そこから話し合いを進めて具体的な金額や支払い方法を決定します。

(3) 離婚しない場合

離婚しない場合には、不倫相手に100~200万円程度の慰謝料を請求し、同時に夫とは2度と接触しないことも求めるのが良いでしょう。

この時不倫相手の求償権に注意が必要です。

求償権とは、不倫相手が慰謝料を支払った後に夫へ一部を返還請求できる権利です。

求償権を封じておかないと、不倫相手に慰謝料を払わせてもその後に夫に返還請求される可能性がありますす。

不倫相手と「慰謝料支払いについての合意書」を作成するときには、「求償権」を制限する条項を入れておいた方がいいでしょう。

不倫相手の女性からLINEで宣戦布告メッセージが届いても、相手が不利な立場であることに変わりはありません。

妻として堂々と振る舞い、今回ご紹介したように対応を進めていきましょう。

本当に困ったときには弁護士に相談してみてください。(執筆者:安部 直子)