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仮想通貨(暗号資産)収益が「1億円」なら手元に残るのは半分 不利な税制について

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仮想通貨(暗号資産)収益が「1億円」なら手元に残るのは半分 不利な税制について

新型コロナウイルスの影響で、国内外を含めた株式相場は波乱の状況を呈しています。

他の運用として一時期ブームになった仮想通貨を検討している方も中にはいるのではないでしょうか。

また、仮想通貨に投資したことで、収益が1億円を超えたというニュースも以前にはありましたが、税金を考慮すると実際に手元にはどのぐらい残るのでしょうか

仮想通貨(暗号資産)収益が 「1億円」なら手元に残るのは半分

投資商品の内容と、手数料や税金の確認

投資を検討する時には、投資商品の内容や価格変動リスクをまずは確認するでしょう。

そして、次に必ず確認しておきたいのが、購入や保有中に必要となる手数料と収益が発生した時などの税金の課税方法です。

手数料や税金については、投資商品によって異なっており、それらが多ければ多いほど収益が発生しても、その分だけ自分の手元に残るお金は少なくなります。

原則として雑所得として課税

仮想通貨(暗号資産)の収益(所得)は、原則として雑所得(総合課税)として課税されます。

※事業のために保有、決済手段として用いている場合は事業所得です。

【雑所得(総合課税)の特徴】

・ 給与所得など他の総合課税の所得金額と合計して課税される。

・ 仮想通貨の所得を含む総合課税の所得が多くなればなるほど税率が高くなる(超過累進税率)

・ 給与の年間収入が2,000万円以内で、かつ給与所得の所得税額が年末調整により確定しており、給与所得や退職所得以外の仮想通貨による所得を含む所得金額合計額が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。

※この場合でも、住民税の計算をするために市区町村へ「市民税・県民税申告書」の提出は必要です。

なお、株式投資や投資信託、FXの収益に対しては、所得税・住民税が課税されますが(NISAを除く)、申告分離課税制度といった他の所得とは合計をしないで税額を計算します。

それぞれの税率は収益に対して一律20.315%(原則)となっています。

一方で、仮想通貨の収益に対する税率は所得税では所得額が多くなるほど税率が高くなる超過累進税率が適用されます。

収益が多くなればなるほど、株式投資などと比べると税金面では不利であると言えます。

たとえ仮想通貨で1億円の収益が発生しても、ほとんどの部分が所得税の最高税率である45%が適用され、さらに住民税が10%(所得に関係なく一律)適用されます

所得税や住民税を計算していく上で、生命保険料控除や社会保険料控除といった一定の所得控除を差し引くことはできます。

しかしそれを考慮しても1億円の収益に対して約半分の5,000万円ぐらいの税金が課税されます

仮想通貨で仮損失が発生

取引で損失が発生した場合

仮想通貨(暗号資産)の取引で損失が発生した場合には、その年に発生した他の仮想通貨の収益や雑所得(FXは不可)との通算(相殺)が可能です。

給与所得との通算はできません

なお、株式投資や投資信託の取引で損失が発生した場合には、その年の中で発生した他の株式投資や投資信託の収益と通算することができます。

例えば、投資信託の収益と株式投資の損失を相殺ができます

FXでは、その年の中で発生した他の「先物取引に係る雑所得等」の収益との通算が可能です。

他の「先物取引に係る雑所得等」の代表的なものでは、くりっく365、日経225先物取引、商品先物取引などが該当します。

そして、重要な部分は、仮想通貨の取引での損失は翌年以降に繰り越すことはできないことです。

昨年、仮想通貨の取引で50万円の損失があった場合

例えば、昨年、仮想通貨の取引で50万円の損失が発生したとします。

今年は仮想通貨の取引で50万円の収益が発生した場合で考えてみましょう。

昨年の50万円の損失が翌年以降も繰り越せるのであれば、今年の50万円の収益を差し引くとプラスマイナスゼロになり、所得は発生せず税金もゼロになります。

しかし、仮想通貨での取引による損失は翌年以降には繰り越せませんので、昨年の50万円の損失に関係なく、今年の50万円の収益に対して税金が課税されます

なお、株式投資や投資信託、FXでの取引での損失については、一定の要件を満たすことで翌年以降3年間その損失を繰り越すことができ、翌年以降に発生した収益と相殺できます。

仮想通貨課税方法が違うことを理解しよう

このように、仮想通貨に対する税制は、株式や投資信託、FXなどと比べると不利であると言えるでしょう。

もちろん、税金面を考える前に、仮想通貨は株式投資などと比べて大きな収益を得られる可能性もあるでしょう。

しかし、大きなリスクを取り大きな収益が発生しても、多額の税金が発生し、逆に損失が発生しても翌年以降に損失を繰り越すことはできないことは頭に入れておきましょう。(執筆者:CFP、FP技能士1級 岡田 佳久)

《岡田 佳久》
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株式会社オーブレイン 代表取締役 (講演実績)一般向けセミナー、民間企業、高等学校、大学、資格専門学校、社団法人、NPO法人、商工会議所、男女共同参画センターなど(累計約1,000回以上)。(執筆実績)産経新聞、神戸新聞、Yahoo!JAPAN、ダイヤモンド社、わかさ出版など多数 ≪保有資格≫CFP、FP技能士1級、キャリアカウンセラー(CDA)、 1級DCプランナー(金融財政事情研究会) 、第二種証券外務員(未登録)、住宅ローンアドバイザー(金融検定協会) 寄稿者にメッセージを送る

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