現在、米国の新型コロナウイルスの感染者数は世界一であり、米国経済は大きく落ち込んでいます。

それでも最近は徐々に経済活動は持ち直し、実際の指標も下げ止まりつつあります。

しかし、米国経済が実際には「どの程度落ち込み、回復しているのか」ということを説明できる方は少ないのではないでしょうか。

そこで、今回の記事では、実際の指標を参考に米国経済の落ち込み幅を紹介していきます。

GDP世界1位である米国の経済状況を把握しておきたいという方はぜひご覧ください。

消費者心理は下げ止まり

消費者心理は下げ止まり回復傾向

米国の民間調査機関であるコンファレンスボードが毎月発表している消費者信頼感指数を確認すると、5月の数字は4月のものよりも改善しており、消費者マインドが下げ止まりつつあることを示唆しています。

今後についても、全米で経済活動の再開が徐々に進む中で回復していくことが見込まれており、緩やかに回復していくことが予想されます。

雇用環境も最悪期を脱する

米国の雇用環境を毎週把握できる「新規失業保険申請件数」を確認すると、新規で失業保険を申請している人数は高水準にはあるものの、横ばいもしくは減少基調に転じており、米国の重要指標の1つである失業率についても改善していくことが見込まれます

雇用環境が最悪期を脱することで消費者の消費行動が喚起され、さらには企業活動の活発化にもつながるため、雇用の状況が回復しつつあるということは米国経済にとって追い風と言えます。

金融市場は第3四半期以降の大幅回復を見込む

米国経済に徐々に回復の兆しが見えており、金融市場は第2四半期(4~6月期)において米国経済が大きく落ち込んだ後、第3四半期(7~9月期)での回復を見込んでいます。

しかし、きれいなV字回復が見込まれているというわけではなく、「V」の右側の水準が少し低いバランスの悪いV字回復が予想されています。

新型コロナウイルスの感染拡大によって失われた経済価値は3か月で取り戻すことは難しく、もう少し長い期間がかかるということです。

V字回復も少し見えてきている

リスクは2次感染の拡大

米国は徐々に経済活動の再開を進めており、米国内ではマスクをつける習慣も薄れつつあります。

日本で言われている「3密」のような環境が米国内で再度復活するようになることも想像に難くないのです。

そうなると、2次・3次感染が拡大したとしても全く不思議ではありません。

当然のことながら、感染拡大が再発すれば米国経済のさらなる落ち込みは避けられず、金融市場は再び悲観に包まれてしまいます。

収束に向かいつつあることを楽観するだけでなく、発生確率が高いというリスクも潜んでいるということを留意しておく必要があると言えます。

投資家はリスクに注意すべき

米国株式は、経済が回復基調に進むことを見越して、S&P500指数が直近の安値から35%以上反発するなど大幅な上昇を続けています。

しかしながら、上述したように2次感染拡大のリスクが払拭しきれない中で、さらなる株価の上昇を見込むことは難しいと考えられます。

市場では大規模な金融緩和政策の実施に伴う流動性の供給によって、株価の緩やかな上昇は続いていくのではないかという見方が徐々に増えてきましたが、再度感染が拡大すれば再び株価が調整に入る可能性は相当程度高いと思われます。

そのため、さらなる株価の上昇を見込むのではなく、再度下落した際に積み増すことができる余資を用意しておくことが、投資戦略上は適切であると言えます。

「米国経済は回復基調にあるものの、再度落ち込むリスク有り」

という理解でよいと思います。(執筆者:日本証券アナリスト協会認定アナリスト 草山 拓也)