相場全体が下落した今年から高配当株投資を始めたという人もいると思います。
日本を代表する大企業の「三井住友FG(8316)」や「三菱商事(8058)」の配当利回りは、現在(以下全て2020年7月22日を現在とします)なんと約6%もあります。
預金金利がほぼ0%に等しく貯金で資産を増やすことが厳しいなかで、高配当株投資がより魅力を増しているのは事実だと言えます。
しかし、配当利回りが高いからという理由だけで投資していると評価損の銘柄ばかり保有してしまう危険があります。
少しでも上手な高配当株投資を目指すため、私の失敗例を参考にしてください。

目次
失敗例1. 配当利回りが他の銘柄より高い
2018年に「ゲンダイAG(証券コード:2411)」という銘柄に投資しました。
当時の「ゲンダイAG」は配当利回りが5%あり、他に同水準の配当利回りの銘柄がほぼ存在しなかったために投資することを決定しました。
しかし、株価は右肩下がりで現在も40%もの評価損を抱えています。

「ゲンダイAG」での失敗の1番の原因は、業績を楽観的に考え過ぎたことでした。
「ゲンダイAG」はパチンコ業界向けの広告業で主な売上をあげており、2018年当時から不調であったのですが「ここが業績の底だろう」と安易に考えていました。
しかし、2020年にコロナの影響でパチンコ業界は休業要請などで大打撃を受けてしまいました。
パチンコ業界全体で広告費が大きく抑えられた結果、「ゲンダイAG」の今期業績予想は赤字予想で株価もとどめの一撃とも言える下落を見せています。
「ゲンダイAG」への投資から得た教訓
失敗例2. 連続増配銘柄の減配
2018年まで20年連続で増配を続けていた「明光ネットワークジャパン(4668)」(以下「明光ネット」)の話です。
今では株主優待目的で100株のみ保有していますが、他は損切しました。
結局は40%近い損失を出す結果となってしまいましたが、よい勉強になったと思っています。

2015年に「明光ネット」に1,252円で投資しました。
「明光ネット」は連続増配銘柄として有名であり、今後も増配が続くだろうという安易な考えがありました。
しかし、学習塾業界は少子化で競争激化もあり、「明光ネット」も業績の悪化からあっさりと連続増配を止めてしまいました。
さらに、2020年コロナでの業績への影響を理由として株主優待の改悪まで発表しています。
「明光ネット」への投資から得た教訓
失敗例3. 配当金の下限を設定している銘柄
「配当金を最低でも〇〇円出します」と会社が宣言していると安心感があります。
「出光興産(証券コード:5019)」は、2020~2022年度中期経営計画で今後160円を下限として配当を実施する予定と発表しました。

2019年に出光興産に3,020円で投資しました。
当時は5%を超える配当利回りが数年続くと思われるおいしい条件の高配当銘柄が他に見つからなかったことが投資理由です。
しかし、2020年に入り配当利回りが6%を超える銘柄も珍しくなくなり、「出光興産」の配当面の魅力が相対的に弱くなってしまいました。
さらに、世界的な経済活動の停止を受けて原油先物相場が一時的にマイナスになるなど、石油会社にとっては逆境を迎えています。
その影響で「出光興産」の株価は年初来に比べて約20%も下落しています。

「出光興産」での失敗の1番の原因は、「配当利回りが数年間5%もらえる安心感があるから、この株価水準から下がらないだろう」と考えてしまったことです。
株式市場全体の下落が起きると業績の悪くない銘柄も株価が下がり配当利回りが上昇するため、「出光興産を配当利回り5%で買うなら他を買う」という投資家が増えます。
そのため、現在では配当利回り約7%で買手が付く、という状況です。
〇%の配当利回りがあるからこの株価水準より下げることはないということはありません。
「出光興産」への投資から得た教訓
心構えが必要です。
高配当株投資では大減配に注意
今年は例年に比べて手元に資金を置いておきたい企業が多く、減配する企業の増加が見込まれます。
「高配当株だと思って投資したら、大減配の発表で全く高配当株じゃなくなってしまった」といったことも起こり得ます。
株式投資をする以上は完全にリスクを排除できませんが、たとえある銘柄で大減配を食らっても分散投資をしておくことで資産全体のダメージをやわらげることができます。
高配当株に投資する場合には、特に分散投資をおすすめします。(執筆者:株式ディーラー歴10年 勝越 晴)