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住宅ローン「変動金利」か「固定金利」損得はその人次第 銀行員の本音は「どちらでもよい」

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住宅ローン「変動金利」か「固定金利」損得はその人次第 銀行員の本音は「どちらでもよい」

住宅ローンを考えるときの大きな選択が、「変動金利」もしくは、「固定金利」という金利の種類(金利タイプ)の選択でしょう。

「どちらがトクか?」

「自分に合うのはどっち?」

「銀行ではなぜ変動金利をすすめるのか?」

こういった記事も見受けられ、銀行が収益などの理由で変動金利を強くすすめている、だから銀行の言うとおりはダメ、という論調が多いです。

そこで今回は、銀行員が住宅ローンの金利タイプについて解説します。

結論

「変動金利」と「固定金利」どちらが得か、という結論
・ 固定と変動どちらを選んでも損得はない、というより損得はその人次第

・ 銀行は固定でも変動でも儲かる、本音は借りてくれれば金利はどちらでも良い

損得はその人次第

固定と変動のどちらを選んでも損得はありません

これは、人それぞれで重視するポイントが違うからです。

例えばなるべく毎月返済額を少なくしたいと考えれば、1番金利の低い変動金利を選ぶでしょう。

しかし、変動を選んだ人は金利が上昇すれば損をします。

いっぽう、毎月を安くすることよりも将来の金利変動リスクを回避したいと考える人なら30年ローンで最後まで固定金利、といったタイプにするでしょう。

しかし、固定金利を選んだ場合で金利が上昇せず、あるいはもっと低くなった場合には「変動金利にしておけば享受できたメリット」を受け取らなかったことになり、機会損失として損をするとも言えます。

最近の金利例

最近の金利では、

・変動:0.475%~

に対し、

・30年間固定金利:1.28%~

の水準です。

※三井住友銀行、2020年8月の水準で、条件などは確認してください

3,000万円、30年ボーナスなし毎月返済の場合、毎月返済は変動で8万9,428円なのに対し30年固定金利では10万398円と毎月1万970円多くなります。

この差を「自分は高い」と固定の人が感じるか、「やっぱり変動のほうが安い」と変動の人が感じるか、これもその人次第なのです。

参照:三井住友銀行ホームページ / 金利 住宅ローン(新規)

銀行の本音は借りてくれればどちらでも良い

銀行の本音は借りてくれれば、変動金利でも固定金利でもどちらでも良い

住宅ローンの手続きは煩雑です。

経験した人はわかると思いますが、銀行員からいろいろ、長々と説明を受けて、その都度資料など何枚も見せられるウチに段々疲れてしまったという人も多いと思います。

でもこれ、銀行員も同じなのですが、どうしても外せない手順なのです。

住宅ローンの説明で共通していること

リスクのある金融商品でもそうですが、銀行には住宅ローンを取り扱う際に説明義務があります。

商品内容、返済について、団体信用生命保険、そして金利のタイプなど説明が義務づけられていることはたくさんあります。

ここで共通しているのは、

・「変動金利でも、金利は上昇しませんよ」といった断定的な説明をしてはいけない

・「変動金利にしましょうよ」などと、誘導してはいけない

・「今まで金利は上昇しなかったので変動も固定みたいなものです」といった、紛らわしい表現はしない

大事なのことは、メリットよりデメリットをちゃんとお客様に理解してもらうことです。

また、住宅ローンを借りてくれるならどちらも儲かるので、金利タイプはどちらでも良いのです。

銀行は固定でも変動でも儲かる

これは銀行がボロ儲けしている、と言う意味ではなく、変動金利でも固定金利でも利益が出るようになっているということです。

ただし、この部分は銀行内部の極秘事項です。

他の商売でもそうですが、儲かる秘訣(ひけつ)や仕組みは秘中の秘でバレると、いろいろ困ったことになります。

これは銀行も同じです。

ですから詳しくは明かせませんが、そこは商売の大原則「仕入れ値より高く売る」とだけ言っておきます。

変動金利を構築するコストは、その銀行の変動金利水準より当然安く、固定金利も同じです。

銀行住宅ローンで、銀行が損する金利提示はあり得ません。

銀行は変動金利をすすめているのか

銀行は変動金利をすすめているのか

冒頭紹介した「変動金利を銀行がすすめている」という論調には、次のように異論を唱えます。

実際、私も割合で言えば変動金利のほうを多く取り扱いました。

しかし、それは以下の理由があるからです。

・ お客様の多くは毎月返済を少しでも少なくしたいと考えている

・ 目の前に低金利と高金利を並べられたなら、低金利を選ぶのが多数派

・ あえて低金利を捨てて、高い金利と多い返済を選んだと後悔したくない

いろいろ説明をつくし、最後はお客様の選択に任せると、その多くが変動金利を選ばれました。

銀行員として固定、変動どちらかに誘導したことは1度もありません。

紹介した記事では、固定金利にしてしまうと、金利が上昇した場合に金利が引上げできないので銀行が損をする、だから銀行は変動金利をすすめたい。

銀行が変動金利ばかりすすめるには、必ずウラがあるから銀行員の言うとおりにしてはいけない、と結んで、「だからこの金利を選びましょう」というアドバイスはありません。

「読者のことを真剣に考えてるのか」と、疑問を感じます。

決められなかったらどうするか

「いろいろ説明を受けたけど、やっぱり固定と変動どっちが良いか決められない」

「銀行員さんならどっちにします?」

住宅ローンの説明で、良くある場面です。

私も数え切れないくらい経験があります。

銀行員の中には「個人的な意見ですが」と前置きして持論を述べる者もいますが、変動、固定それぞれに分かれ、正解はありません。

銀行員一筋30年 筆者の説明例

私の場合、次のように説明します。

「銀行員は変動、固定どちらを選ばれても困りません。困るのは、うちの銀行以外で借りてしまわれることだけです。

変動金利は固定よりも金利が低く、毎月返済も低くなるので今を重視するなら変動を選びます。

金利の上昇が心配で、そうした余計な心配で神経をする減らしたくないなら、変動より高くなってもその分は安心料と考えることもできます。

変動金利にして金利が上昇すれば、選ばなければ良かったと後悔します

いっぽう固定金利で金利が上昇しないと、変動にしておけば良かったと後悔するでしょう。

この場合、実際に損するのは変動です。

選ばなきゃ良かったと後悔したくないなら固定金利を選ぶのも、ひとつの考えです。」

変動か固定 やはり損得はその人次第

「このいくつかのアドバイスで、あなたならどうします?」

せひじっくり考えてください。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)

《加藤 隆二》
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執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二 加藤 隆二

バブル期に入社して、以来銀行一筋30年。お金にまつわるさまざまな相談にこたえてきました。時には返せなくなってしまった人からの相談にも、可能な限り親身になって対応してきたつもりです。銀行員として「あなたのために、なにができるか考えます」 最初の挨拶はいつもそう言ってきました。年を重ねた今も、気持ちは変わっていません。銀行員として、読者である「あなたのために」役に立つ文章を書いていきたいと思っています。 寄稿者にメッセージを送る

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