日頃、ご相談を受けていると、

「資産形成をちゃんとしていきたいのだけれど、買い増していった持ち株をどうすればよいのか」

という質問をよく受けます。

43歳女性の 老後資産シミュレーション

自社株を社員持株会で買い続けている緑川さん

会社員の緑川美絵さん(43歳)も、社員持株会で自社株を買い続けてきました。

退職の予定はないそうで、このまま続けてもよいのか悩んでいます。

老後のことが気になる年齢にもなってきたそうで、「老後に困らないように資産形成をしていきたい」とおっしゃいます。

社員持ち株制度というのは、従業員が会社の自社株を取得することを奨励する社内的な制度です。

安定的で会社経営者よりの株主として社員株主に期待して、上場企業が導入することが多いようです。

ご相談者の中には、未上場のベンチャー企業の社員持ち株会で取得し、結果、上場して一財産築いたというケースもありました。

いずれにしても、社員が会社を応援したくなる心理的プラス面があります。

しかし、ファイナンシャルプラン的には注意点もあります

勤めている会社の持ち株を持つということは、会社の盛衰と資産価値が同方向に動くので、リスクが集中することになるのです。

預貯金と自社株の資産割合を確認

緑川さんは、企業型DCでは定期預金を選択し、預貯金と自社株の資産割合は、現在「7対3」という状況です。

自社株の保有率は高いと言えます。

コロナ禍で業績の悪化も心配しているということで、いったん買い付けるのを止めることにしました

原則として、早めに売る方向で考えるとよいことでしょう。

自社株は少しは持っていてもよいとは思いますが、リスクはより分散させましょう

緑川さんの望ましい資産形成とは

リスクはより分散させる

では、緑川さんはどのように資産形成をしていくのがよいのでしょうか。

緑川さんのこれまでの平均貯蓄額は年間約65万円で、全部定期預金にしています。

その結果、現在の預金残高は1,000万円です。

ここで考えなければならないのは「老後の生活費」です。

このまま今後も手取りの約16%を貯蓄していきます。

65歳まで働き、老後を95歳までの30年間とすると、老後生活費は約16万円になる見込みです。

退職一時金が仮に2,000万円くらい出るとすれば、企業型DCと合わせて月額5万~6万円くらいは生活費を増やせる

ことでしょう。

1,000万円なら生活は18万円前後です。

今後インフレ(モノの値段が上がる)になることも想定して、少し運用していくことも考えてはいかがでしょう。

運用成果ありきで老後生活費を想定しない

もちろん、運用に過度な期待をするのは困ります。

運用成果ありきで、老後生活費を想定してはいけません。

実際に増えた段階で使えるお金のことを考えましょう

まずは、「つみたてNISA」を使って少額ずつ低コストのインデックスファンドを購入して、分散投資をしていくとよいのではないでしょうか。

これから始めれば、リタイアまで20年あまりの時間をかけられます

仮に、限度額800万円を国内外の株式に投資をするインデックスファンドで運用した場合のこれらのファンドのリスクを20%、リターンを5%と考えた時に最大損失率は-35%です。

最悪の場合、1年間で280万円の損を覚悟しなければなりません

良い時にはプラス360万円です。

最悪280万円を損した場合には、老後の生活費は月額約8,000円ほど減ります

リスクを分散しながら、長期で資産形成していく

老後の生活費の考え方は、基本的には現在の支出と将来の支出のバランスをとることです。

今のお金は将来の自分を支えるお金であるということです。そこに、運用を介在させるのです。

皮算用はせず、自分がどれだけのリスクを取れるのか考えて、かつ、リスク分散しながら長期で資産形成していきましょう。(執筆者:CFP® 認定者 岩城 みずほ)