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【住宅ローン】残債のある自宅を賃貸に出してもよいのか? 現役銀行員がお答えします

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【住宅ローン】残債のある自宅を賃貸に出してもよいのか? 現役銀行員がお答えします

生活様式は日々変化していますが、今も多くのサラリーマンには転居転勤がつきものです。

「急な転勤で家族揃って遠くの社宅に引っ越しが決まりました。せっかく住宅ローンを組んで手に入れたのに、自宅は空き家になってしまいます」

「空き家にローンを返すのはもったいない。それなら自宅を貸して家賃をもらい、そのお金で住宅ローンを返していこう」

この行動について、銀行員が説明します。

自分の家をどう使うかは個人の自由ですが、住宅ローンがあるのであれば他人に貸してはいけません

いきなり否定から入って恐縮ですが、大事なお話です。どうか最後までお付き合いください。

【住宅ローン】 残債のある自宅を 賃貸に出してもよいのか?

住宅ローンのある家は他人に貸してはいけません

冒頭で申しあげたとおり、自分の家をどう使おうとそれは個人の自由です。しかし、住宅ローンがあると話はそう簡単にはいきません。

住宅ローンで手に入れた自宅は、他人に貸してはいけないという決まりになっています。

どうしても貸したいのであれば、ローンを返すか、あるいは銀行と話をして対処するしかないのです(対処については後ほど詳しく説明します)。

では、なぜ他人に貸してはいけないのでしょうか。

そして、面倒だからと銀行にだまって他人に貸したことが判明したら、いったいどうなるのでしょうか。

他人に貸してはいけない理由

個人が住み、生活するための自宅を手に入れるのが住宅ローンです。

人間が生きていくうえで根幹になる衣食住の「住」をまかなうお金の使いみちなので、さまざまに優遇されています。

たとえば、35年という長期でゆっくりと返済できるのは住宅ローンくらいのものです。

金利も低金利で利用できますし、住宅取得控除(住宅ローン減税)など税制面でも優遇されているのは、やはり住宅ローンが特別扱いされているからです。

また、万が一返済できなくなったときには一時的に返済を減額するリスケ(リスケジュール、条件変更)など、銀行が柔軟に対応してくれるのも住宅ローンだからだと言えます。

しかし、こうした優遇のかわりに資金使途などルールは厳しく決められていて、他人に貸す(転貸、又貸し)行為は禁止されているのです。

第1条(住宅ローン規定の承認)

<中略>

4. 借主は、住宅ローン契約による借入金を住宅購入資金、住宅の新築資金、住宅の増改築・修
繕資金、住宅ローンの借換資金、自宅居住用の宅地購入資金またはこれらに供する諸費用とし
てのみ使用します。 住宅ローン規定 (pdf)

他人に貸したことが知られるとどうなるのか

繰り返しますが、住宅ローンで手に入れた自宅は他人に貸してはいけません。

では、だまって貸して、そのことが銀行に知られてしまった場合にはどうなるのでしょうか。

そこには大きなペナルティが待ち受けています。

他人に貸したことが銀行には分かるのか

質問「他人に貸していることは、銀行に知られてしまうのでしょうか?」

回答「はい、銀行にはわかります」

私は銀行員の仕事で何度もこういったケースにぶつかってきましたので、このように言えるのです。

ネットの記事などで「銀行は定期的にあなたの家を見に来ますので、他人に貸していることはバレてしまいます」といった記載を見かけますが、これには銀行員として疑問を感じます。

住宅ローンの顧客はそれこそ何万人もいるので銀行員が調査するのは不可能ですし、住宅ローンをふつうに返済しているお客さまを1軒1軒回るほど銀行員もヒマではありません。

ちなみに言及した記事では「でも、こうすればバレないですよ!」と説明していますが、私はバレると感じましたのでその内容については触れません。

話題が少し逸れましたので戻しますが、他人に賃貸していることは、いずれ銀行に知られてしまいます


どうしても貸したいときにはどうすればよいのか

うしても貸したいときにはどうすればよいのか

まずは銀行に話すことです。

可能性は低いのですが、賃貸に出すことを条件付きで認めてもらえる場合もあります。

その場合の条件とは、

・ 賃貸してよいのは、転勤している間のみ

・ 賃貸資金として、ローンの種類変える(この場合には金利が高くなるので、返済額も増える

居住していないので「住宅取得控除」を受けられなくなる可能性もあります。

他にもいろいろ条件が付加されますし、こちらもすべての人に適用されるわけではありません。

だまって他人に貸したことが銀行に知られたらどうなるのか

フラット35の引用にもある通り、だまって他人に貸していたことが判明すると、大きなペナルティが待ち受けています。

悪気がないと認められたケース

まず、本人がルール違反だと知らなかったのであれば、それほど大ごとにはならないこともあります。

これは私が実際に対処した人の話なのですが、住宅ローンで自宅を建てたあとで老親の面倒を見るため実家に戻らなくてはいけなくなり、空き家となった自宅を仕方なく知人に安い家賃で貸していたのです。

「え?貸しちゃダメなんですか? 知らなかった」

この人には悪意がなく、また安い家賃で知人に貸してあげていたといった点も考慮され、後述するようなペナルティは受けませんでした。

それでも金利が上がり、返済額は増えてしまいました(理由は上述)。

悪質な場合には全額返済を迫られる

ルール違反だと知っていたなど、悪質な場合には全額返済を求められる場合があります。

第17条(期限前の全額返済義務)

<中略>
2. 次の各号の事由が一つでも生じた場合には、借主は、銀行からの請求によって、住宅ローン契
約による債務全額について期限の利益を失い、借入要項記載の返済方法によらず、直ちに住
宅ローン契約による債務全額を返済するものとします。

<中略>

(8) 借主が住宅ローン契約により取得した不動産について、借入契約期間中に使用目的・用途
を変更したとき。

住宅ローン規定 (pdf)

ルール違反はルール違反です

住宅ローンのある家を他人に貸してもいいのかと問われれば、その答えはルール違反だからダメだということです。

銀行員として、この記事で強くお伝えします。

貸しても大丈夫という答えを期待していた人は、ガッカリして読まずに終わってしまわれたかもしれません。

しかし今、ここまで読んでくださったあなたには、もう一度お伝えしたいのです。

ルール違反はルール違反です。ルールを守らなければ、大きなペナルティがあるかも知れないのです。

「黙って他人に貸しても、銀行に知られたら家を失うかもしれません。

我慢して空き家にローンを払い続けるしかないのですが、いつか帰れる日を楽しみにセカンドハウスとして楽しむくらいの気持ちになれれば、大事な家も大事なご家族も守れますよ」

私はこのように説明して、お客さまに納得(がまん)してもらっています。

悩んだときには自分のこと、そして家族のことを思い浮かべて慎重に考えてください。この記事が少しでも参考になれば幸いです。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)

《加藤 隆二》
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執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二 加藤 隆二

バブル期に入社して、以来銀行一筋30年。お金にまつわるさまざまな相談にこたえてきました。時には返せなくなってしまった人からの相談にも、可能な限り親身になって対応してきたつもりです。銀行員として「あなたのために、なにができるか考えます」 最初の挨拶はいつもそう言ってきました。年を重ねた今も、気持ちは変わっていません。銀行員として、読者である「あなたのために」役に立つ文章を書いていきたいと思っています。 寄稿者にメッセージを送る

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