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【聞きにくいお金の話】お金がないと美大には行けないのか 

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【聞きにくいお金の話】お金がないと美大には行けないのか 

美大とは、私立の美術大学の略です。

「美大はお金がかかる」というイメージが強く、お金がないと行けない大学と思っている人もいるのではないでしょうか。

今回は、筆者が実際に目にした「美大のお金事情」についてお話しします。

美大を目指したいけれどお金が心配と思っている人、今年は残念な結果だったけれど経済的に浪人するか迷っている人が、より現実的にお金の問題を解決する方法をお話しします。

「美大はお金がかかる」

美大の学費は初年度約187万円 高い学費にはわけがある

美大は私立の美術大学をいいます。

武蔵野美術大学や多摩美術大学が有名です。

国立もあります。芸大と呼ばれている芸術大学です。

美大より学費は安くなりますが、難易度はとても高く、合格を勝ち取るまでに相当のお金がかかるでしょう。

美大の学費は、初年度187万円から190万円(武蔵野美術大学の場合)です。

内訳をみると授業料と施設費が大部分を占めています。

美大には、さまざまな授業があります。

黒板に向かって座っているだけではなく、外国から講師を招いて作品制作することもあります。

そのときには通訳も必要です。

美術解剖学の授業では、生涯忘れることはないと思えるほど強烈なインパクトを受けた場所も訪れました。

美大といえば、好きな絵を黙々と描いている授業風景をイメージしますが、実際は経済や体育、英語や心理学の授業もあります。

一般教養を土台として、さらに専門的な授業を受けられるからこそ授業料は高くなっているのでしょう。

また、美大の設備は充実しています。

写真を現像する暗室やシルクスクリーンの工房、映像資料室やスタジオもあります。

美大は、座学だけでなく実習を行います。

そのため、講義室だけでなくアトリエも必要です。

「コロナ禍で設備や施設が使えないから施設費を値下げしてほしい」という意見があったと聞きました。

しかし美大の施設は、使用しない時でも維持管理が必要な繊細なものも多くあります。

美大の高い授業料と施設費には、個人では管理できない高度な設備と美大在学中にしか接することができない貴重な体験が含まれているのです。

お金がないのは当たり前 入学式後はそのまま奨学金説明会

「美大はお金持ちが行く大学」は伝説です。

お金持ちは一握りで、その他の学生はいつもお金に困っていました。

筆者の入学式は、式終了後にそのまま奨学金説明会がありました。

ほとんどの学生が会場に残り、奨学金の申込用紙を手にしていました。

美大の奨学金は種類が豊富です。

有名な育英会奨学金だけでなく、大学独自の奨学金、教授名の奨学金もありました

多くの学生は応募できる奨学金はとにかく応募して「当たり」を待ちます。

掲示板には、奨学金名と受ける学生の名前が張り出されました。

発表日には合格発表のときのように人だかりができていたものです。

お金がないと美大には行けないという時代は終わっています。

お金がなくても実力と調査力があれば美大には行くことができます。

「自分が受けられる奨学金はあるのか」を調査する力とバイタリティは必要です。

美大は大学内アルバイトの募集がたくさんある

美大生のほとんどはアルバイトをしています。

大学周辺の飲食店に行けば同級生が働いていました。

「美大生はイラスト描きや講師などの報酬が高いバイトができる」と聞きますが、ごくわずかな人です。

専門的なバイトは、倍率が高い事前審査があり突破した人しか仕事をもらうことができません。

筆者は一度も事前審査を突破することができませんでした。

一方で美大には、バイトの校内募集が豊富にあります

大学内の展示会準備のバイトや倉庫の片づけ、教授の手伝いや大学内カフェのバイト募集もありました。

いずれも外部のバイトよりも時給がよく、融通もききます。

筆者も入学直後に大学図書館のバイトが決まり、4年間大学内でバイトをすることができました。

勤務時間は16時半から20時までで、夕飯手当700円が別途支給されます。

当時の筆者は仕送りが7万円で家賃が3万円(風呂・洗濯機共同)でした。

1食700円はぜい沢だったため、700円で3食食べていました。

美大生はお金がない人が多いですが、クリエイティブな発想で上手に節約生活をしていました。

親が知っておきたい美大とお金の話

子どもが美大に行きたいと言ったとき「うちにはそんなお金はない」と言いたくなるかもしれません。

たしかに美大の学費だけをみれば高額です。

しかし美大を目指す人はあきらめきれない夢をもっていることが多く、経済的な理由で夢をあきらめることはお金以上の損失ではないでしょうか。

令和2年からは高等教育の修学支援新制度がスタートしました。

ほぼすべての美大が支援対象になっています。

住民税非課税世帯ならば最大で初年度が入学金26万円と授業料70万円ほどが減免され、授業料80万円ほど(自宅外生の場合)が給付されます。

「奨学金は優秀な一部の人が対象」という時代もありましたが、高等教育の修学支援新制度は成績だけでなく「本人のやる気」が重視されます。

さまざまな「手」を使おう

さまざまな「手」を使おう

美大は、入学後だけでなく入学前もお金がかかります。

しかし筆者が入学した時代とは比べ物にならないくらい、さまざまな「手」があります。

子どもが美大に行きたいと言ってきたときには、お金はなくても「手」は差し伸べて夢を現実にする策を一緒に考えてみてはいかがでしょうか。

筆者の同級生はみんなお金がありませんでした。

大学近くの肉屋さんは学生にはグラム単位ではなく「100円分ください」でも気持ちよく売ってくれました。

畑の隅には規格外の野菜が暗黙の了解で学生のために放置してありました。

お金はなかったけれど、今では体験できない貴重な体験が学生時代にはありました。

「お金がないから美大には行けない」のではなく、お金がなく先が見えない時代だからこそクリエイティブな生き方ができる美大が必要なのかもしれません。(執筆者:クリエイティブな節約家 式部 順子)

《式部 順子》
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式部 順子

執筆者:美大卒 式部 順子 式部 順子

武蔵野美術大学卒。クリエイティブな発想で芸術エッセイや子育てアイデア、経験に基づいた就職転職記事まで幅広く執筆中の個性派フリーライター。身近にあるものを活用した節約術と時代の流れを読みながらの大胆な節約術を組み合わせながら日々節約を楽しんでいる。節約のモットーは「使うべきお金は使う!無駄な節約はしない!」ストレスフリーな節約術をメインに紹介。 寄稿者にメッセージを送る

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