2022年12月1日より、国税サイトでの納税がQRコード決済に対応することとなりました。
国税庁サイトで公表されています。
目次
スマホアプリ納付の利用開始について
地方税はすでにQRコード決済が対応しています。さらに国税にも対応で、納税はどんどん便利になっていきます。
いっぽう気になるのは、キャッシュレスで税金を支払った際のポイント付与が、縮小されていくばかりの点です。
今回のニュースを機に、税金をキャッシュレスで効果的に支払う方法を、振り返ってみます。
そしてこれからの見通しも合わせて見てみます。
国税サイトでQRコード決済納付開始
2022年12月よりQRコード決済で国税が支払えるようになります。
クレジットカード払いと異なり、手数料が無料なのは大きなメリットです。
2022年10月現在わかっているところを見ていきます。
国税の例
国に支払う税金、国税には以下のものがあります(一例)。
・ 所得税
・ 法人税
・ 贈与税
・ 消費税
副業に励む人が増え、そちらで所得20万円以上ある場合に確定申告し、所得税を納付している会社員も多いでしょう。
現在もオンラインにより、クレジットカードで納税することは可能ですが、手数料を納税者が負担しなければなりません(後述)。
専用サイトから支払う
現在すでに「国税クレジットカードお支払サイト」が存在します。
これと別に「国税スマートフォン決済専用サイト」が12月から運用開始となります。
e-Taxで情報を送信した後の、受信通知にサイトのリンクが載るそうで、申告後の納付がスムーズです。
地方税(自動車税や固定資産税等が代表)の場合、納付書のバーコードをQRコード決済アプリで読み取る方式(公共料金と)なので、税金支払サイトを開かず支払えるという違いはあります。
使えるQRコード決済
以下のQRコード決済が使えます。
★は、チャージ時または支払時にポイントがつく決済です。
・ PayPay
・ d払い
・ au PAY★
・ LINE Pay★
・ メルペイ
・ Amazon Pay★
楽天ペイはここに入っていませんが、「ITmedia」の取材によると、楽天ペイも対応していく予定とのことです。
現状対応していない地方税も併せて対応するようです。
楽天ペイの場合、「楽天キャッシュ」をチャージしてから税金を支払うことになるでしょう。
通常の決済と同様にWポイントになるなら、楽しみです。
Amazon Payは厳密にいうとQRコード決済の仲間ではありません。
スマホかPCかを問わない、オンライン決済の方法です。
クレジットカード登録をしないと使えない決済ですが、税金支払いに使う場合はQRコード決済と同様、あらかじめチャージする必要があります。
クレジットカードの紐付け不可
現行の地方税とまったく同じ注意点があります。
QRコード決済各アプリに紐づけたクレジットカードでの支払いはできません。
必ず、事前に残高を作っておき、そちらから支払う必要があります。
クレジットカードで支払えてしまうと、カード直接払いで手数料を徴収している事実と整合性が取れなくなってしまいます。
ただし後述しますが、LINE Pay(チャージ&ペイ)に関しては実質的なカード払いです。
ポイント派には厳しい状況
ポイント派は、少々面倒でも決済に意味を持たせたいものです。
その点、QRコード決済での税金支払は、あまり魅力がないと映るかもしれません。
個別に見ていきましょう。
PayPay、d払いはポイントゼロ
PayPayはPayPayカード、PayPayあと払い以外のカードでチャージができません。
PayPayカードもチャージ時のポイント対象外のため、税金支払に関してはまったくポイントが付きません(PayPayステップの対象にはなる)。
d払いは、カードチャージ不可で銀行・現金のみチャージ対応です。
こちらも税金については支払い時ポイントが付かないので、いわば現金を、アプリを経由させて支払うだけです。
メリットはほとんどありません。
au PAYはWポイントだが、悪いニュースも
au PAYは税金には珍しく、チャージと支払い(0.5%)双方でポイントが付いてWポイントになります。
ただし同じ12月から、au PAYカード(スタンダード)からのチャージがポイント対象外になってしまうことがアナウンスされています。
エポス、オリコ、セゾン等のカードからチャージしてポイントが付くためまだ問題は小さいですが、将来的にはチャージのポイント付与が、au PAYゴールドカード(12月から還元率1.0%)を除いて消滅する可能性があります。
LINE Payはチャージ&ペイで実質カード払い、ポイントも付く
LINE PayはPayPayと同じ陣営になってからやや影が薄いのですが、税金支払に関しては優れています。
三井住友カード発行のVISAカード(ANAカード除く)やLINEクレカと紐付けてチャージ&ペイで決済可能ですが、税金もこの方式で支払えます。
いったんチャージをしてからの支払いではあるものの、使い勝手は通常のカード決済と変わりません。
そして0.5%のポイントが付きます。
通常の買い物だと、合計0.5%のポイントだと物足りないのですが、税金で同じ数字だとうれしいものです。
Amazon Payは改悪続くがチャージ時にポイント付与あり
Amazon Payで支払っても、(税金以外も)ポイントが付きません。
ただし、チャージによりポイントを付ける方法は次の通りあります。
・ Amazonギフト券(チャージタイプ)にクレジットカードからチャージ(カードのポイントがたまる)
・ コンビニで楽天Edyを使ってチャージ(楽天Edyのポイント0.5%がたまる)
2022年12月31日までは、Amazonプライム会員対象に「クレジットカードチャージで0.5%の付与(5,000円以上のチャージの場合)」がありますが、これが終わるとチャージ時、Amazon側のポイントはもう付きません。
ただし現状、クレジットカードで、Amazonギフト券へのチャージをポイント対象外にしているものは少ないので、1.0%~1.5%程度得ることは可能です。
他には、コンビニでのチャージを楽天Edyで支払い、チャージ時の0.5%(楽天カードからチャージの場合)を得る方法があります。
Amazon Payでポイントを得るのはやや面倒で、しかもどことなく裏技のように思えます。
ですがこういった部分に手間を掛けるのは、ポイント派にとってさほど苦にならないのではないでしょうか。
ポイント派には従来の支払い方法も選択肢
QRコード決済での国税納付は簡単便利です。
ですがポイント派なら、たとえ手間が掛かってもポイントを付けるほうを選ぶ人も多いでしょう。
QRコード決済ではポイントが付くのが、au PAYとd払い、そして特殊なAmazon Payだけとなっています。
そしてその先行きも不透明です。
従来の、ポイントの付く税金支払方法も確認しておきましょう。
国税はコンビニ払いできるが電子マネーは不可
現在のように税金の支払い方法が多様化する前は、特定のコンビニと特定の電子マネーの組み合わせは大変貴重でした。
税金を納付してもポイントは付きませんが、クレジットカードからのチャージ(例:セブンカード・プラスからnanacoにチャージ)時にポイントの付く組み合わせがあります。
手数料無料ですし、今でもなお価値があります。
ただし現在、国税についてはnanacoやWAON、ファミペイでは支払えなくなっています。
とはいえ、地方税や公共料金、代行収納では依然便利です。
あえてクレジットカードの手数料を支払う
一般の買い物と異なり、自ら手数料を負担しなければならないクレジットカード払いにも、まだ価値はあります。
オンラインでのクレジットカード払いの、手数料は次の通りです。
・ 1万円以下 → 83円
・ 2万円以下 → 167円
・ 3万円以下 → 250円
・ 4万円以下 → 334円
・ 5万円以下 → 418円
これ以上高額の納付の場合も、金額に比例して手数料が発生します。
納付金額が1万円の区切りに近い数字の場合、還元率1.0%のクレジットカードの場合、還元額で手数料を埋め合わせられる場合があることがわかります。
たとえば、納付金額が4万5,000円の場合、還元額が450円相当のため、手数料418円をカバーできます。
手数料を取られたとしても、PayPayやd払いで支払うより得になることもあります。
ただ、もっと確実に得をする方法があります。
納付する税金のために新規にクレジットカードを取得し、支払いにより入会キャンペーンを達成することです。
たとえば、「10万円カードを利用して5,000円相当のポイントがもらえる」入会キャンペーンなど無数にあります。
納税でポイントを得るのは愉快なものです。
税金は楽しく支払うものではありません。
ですが工夫すると利益が得られます。
QRコード決済も、利便性に実益も兼ねてご利用ください。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)